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ポリアモリーな愛のはなし

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ラスベガスの旅 3日目

ブランケットの中で、彼に触れながらまどろめる朝は格別。太ももの後ろで感じる暖かい彼がまるっと私を抱き寄せて、柔らかく私を撫ではじめる。眠かったはずなのに少しずつ体のパーツが起き始める。まだまだ時間があることを確認してから、彼に向き直り、脚を絡める。

今日からは1日カンファレンスへの参加予定。シャワーを浴びて、ワンピースとピアスで仕事の私をつくる。ベッドの中の彼にハグ&長いキスをした。

ラスベガ

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ハヌマーンの彼との出逢い4

少し歩こうか、と彼が言い、海の見える博物館や、林の中の小道をいろいろ話しながら歩いた。このあたりは私のパートナーや子どもたちとの暖かい思い出もいろいろあって、なつかしくなる。こんなことあんなこといろいろあったよ、と話すと、彼も楽しそうに私の話を聞いていた。私自身、実は小さい頃から彼の国に縁を感じていた時期が長らくあったこと、彼と話しながら思い出してきた。

飲み物を買って、またバスタオルの木陰に戻

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ハヌマーンの彼との出逢い 3

料理は毎日作るんだよ、僕の家は貧しかったし、父親が高校生の頃に亡くなってしまったから、兄と僕で食事はなんとかしなくちゃいけなかったからね、と写真を見せてくれた。私の知っている彼の母国の料理とも違う、いろいろな料理が並んでいる。彩りよく野菜が載っていたりするから、なかなかの出来栄えに見える。YouTubeで色々見て作るんだけど、結局のところ基本は一緒なんだよ、とホールスパイスと玉ねぎから始まる手順を

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ハヌマーンの彼との出逢い 2

タトゥーにあるハヌマーンは彼の守護神とのこと。彼は毎日ハヌマーンにお祈りを捧げているらしい。色がまだとてもはっきりしているタトゥーを撫でながら聞いてみると、2週間くらい前、母国に帰った時に彫ったそう。ハヌマーンの額にあるオレンジと黄色の炎を彫る時が一番痛かった、と笑った。まだ心なしか炎には膨らみが感じられた。

思い立ったように、相性を見てみよう、と彼が、クンダリマッチというものを調べ始めた。ホロ

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ハヌマーンの彼との出逢い1

休日を楽しむ友人を探していた私が、エンジニアの彼に初めて会ったのは、公園横のスターバックスだった。夏後半の優しい太陽の下、道の反対側から近づいてきた彼は、エリーさんですね、はじめまして、と綺麗に笑った。

細身で筋肉質な体は、柄の入った白い半袖のシャツとハーフパンツに包まれていて、すっとひきしまった脛の先に、スウェード生地のベージュのハイカットのNIKEがフレッシュで上品な印象だった。美しくカール

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ポリアモラスな彼と、私と、彼女とのその後 (1)

さて、3人でのディナーの後、数日の間、彼は静かだった。多分いろいろ考えてるんだろう。私は彼が次に進むために必要と思って(おそらくリズにとってもこの会話が必要と思って)行動したけれど、あの場で彼は困惑の表情だった。私は彼が咀嚼する時間を待った。

仕事の後会えるかな、と彼から連絡が来たのは4日後、リズが来たいと話していたパーティーの3日前だった。私たちは、彼の家の近くのオープンエアのカフェバーで待ち

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ラスベガスの旅 2日目

さて仕事日だ。私の出張朝ごはんの定番、オートミールとバナナを食べてミーティングへ。今日は西海岸メンバーのみでこじんまりした会議なので気楽。途中、ロビーにコーヒーを買いに出たら、彼がいた。今日は昼間はプールに行きたいと言ってたから行くとこかな。そのままお互い目も合わさず通り過ぎる。こういうのはあんまり好きではないなー、もっと自由に彼とコミュニケーションしたいと思う。同じホテルのレストランでよくあるア

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ラスベガスの旅 初日

仕事でラスベガスに行くことになった。僕もついていきたい、と彼が言う。No kidding?と相手にしていなかったら、彼は、僕の仕事は数日なら調整できるし、エリーも夜僕がいたら楽しさもダブルで、仕事もはかどるしみんなハッピーじゃないか、I would miss you so much if you go alone, I just wanna spend time with you and enjo

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ある日のデートin ロサンゼルス(2)

私たちのお気に入りの町、パシフィックパリセーズ。マリブとサンタモニカの間にあるこの明るいこじんまりしたカリフォルニアらしい町は、ベルエアやビバリーヒルズなどに比べてあまり知られていないけれど、海に近く、きっぱり明るくて、セレブリティがカジュアルにその辺りにいるような高級住宅地。小さな個人商店が並ぶ町の中心は、軽いリゾートな雰囲気で、私は好き。

ある夏の午後、すぽっと時間が空いたので、ビーチに行く

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3人の奥さんと1人の旦那さん(2)

とはいえ、ポリアモリーにつきものの不公平感からくる不安や嫉妬の感情は時折激しく4人の関係を脅かす。

楽しいことを私とじゃなくて彼女とするなんてずるい、と不機嫌になったり、他の奥様とのデートの時間めがけてメールを大量に送ってその時間を台無しにしてしまったり。

彼女の方が何年も長く彼と過ごしている、私のことは彼女みたいに好きじゃないのかも、と静かに涙を流したり。

(決められた他の奥さんの定例日だ

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3人の奥さんと1人の旦那さん(1)

NetflixにThree Wives One Husband という、アメリカ ユタ州にあるポリアモリーの集落に迫るドキュメンタリーがあって、これが面白い。ポリアモリーに生きる人、またポリアモリーに興味関心のある方におすすめなので、少しだけ内容をシェア。

番組では、ここまでのところ、主に2つの家族が取り上げられていて、一人一人が素直に無条件に愛し愛される幸せを堪能している一方、ポリアモリーにつ

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元カノに会った話(4)

真剣に私の話に耳を傾けた後、リズは、こう言った。
『私たちの関係は私たちで決めるもの。エリーと彼との関係も、2人で決めるものと思う。エリーと彼との間に、何かさらにコミュニケーションしなければならないことがあるのかもと思うけれど、2人の間のことは、私が何かを言うものではないと思うの。
私が言えるのは、私と彼との関係は、2人の間の、特別で、かけがえがないもの。そしてこれからも続いていくもの。でもそれは

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元カノに会った話(3)

2人の絆の強さに諦めのような感情の一方、リズを好きになる気持ちもわかるなとも思いはじめていた。聡明で、愛情深く、さっぱりとして、セクシー(魅力的な、というようなセクシー)。こんな面倒な出会い方じゃなかったら、友達になれたかもしれない。

アルゼンチンから来ている彼女と面と向かって話せる機会も限られてるし、私もありのまま話してしまおう、と思って、彼に、“思ってること、話していい?”と聞いた。彼は、も

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ある日のデート in ロサンゼルス(1)

ある土曜日は、ヨガのクラスから始まった。その日のクラスはアイアンガーという、ロープやベルトやらを使う中級クラス。彼は膝の調子が良くないようで、少し調整しながらポーズをとっている。エクササイズを一緒にする彼はいつもながらセクシーで、ソワソワしてしまう。私はそのいたずらそうな目に弱い。なんで私の人生にこんな人が飛び込んできたんだろう?と考える。

それから、ビーチ沿いをドライブして、Big Duma

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