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★ラガー箚記(41)★リーグワンD1 各チームの戦いぶりの総括 8位−5位(2024)

8位から5位は勝ち点差が12。試合を見ても、紙一重、展開次第、最後の最後で決まる、というようなものも多く、この4チームは、基本的には力は横一線ではないかな、と思います。


8位 静岡ブルーレブズ

ボールキャリーがリーグ1位、ディフェンス突破が2位、ゲインメーターは3位、オフロードパスが3位、順位が8位というのが信じられないです。それくらい、今季の静岡は、生まれ変わりました。

去年までは、どちらかというと、強いセットプレーと粘り強いディフェンス、という印象でしたが、今季は、ヘッドコーチが変わって、一気にオフェンスが激変。家村がタヒトゥア、ピウタウの強烈センターをうまく操縦し、縦へ突破し、外へ展開し、オフロードを多用し、大外まで積極的にボールを運ぶと、そこには、ツイタマや山口がいて、スペースがあると決定力を発揮する。リーグ随一とも言えるアタックの陣容になりました。

ただ、アタックのスタッツが素晴らしい割には、トライ数は7位になっていて、決定力という点において、上位に対して見劣りをするところがあるのが現実で、逆に、攻めに重きを置いたことで失点は劇的に増えてしまいました。513の失点はリーグ9位で、リコーよりも多くなっています。大量失点という試合も目立ってしまい、それも勝ちきれない原因に。

ただ、厳しいカンファレンスAで、東芝、神戸には勝てないけれども接戦、サントリーには勝ち損なったり、引き分けだったり、クボタに1勝1分だったりと、力はベスト4とも引けを取らないものを見せました。

家村、K・スミスなどが戻ってくる来季は、ディフェンスを修正すれば、いよいよTOP4に近づけるのでは。

反則数がリーグで最少というの素晴らしい。これだけ激しいプレーを見せながら、ですので。


7位 トヨタヴェルブリッツ

デュトイがいて、姫野がいて、そこにB・バレット、A・スミスというオールブラックスの重鎮が加わり、さらにバックスの核となるであろうフィフィタが加入して、いよいよ今季は優勝をも狙える布陣では、と思われた1年。

とにかく、印象としては、1試合を通じて安定したパフォーマンスが続かない、というところがあります。4節の埼玉戦では、前半に怒涛の4トライを浴びせ、埼玉を圧倒したのに、後半は0点で軽く逆転されるとか、6節の東芝との試合では、目の覚めるようなディフェンスで東芝を苦しめたかと思えば、後半はそのディフェンスが規律を乱してペナルティの嵐とか。サントリーとの試合では31−10から切り返されたり。

アタックも強烈だし、ディンフェンスも強いのだけど、どうしても「個で戦っている」ような印象が否めず、目立つのは、裏に出られた時のディフェンスの粘りのなさや、モールでのあっさりとした失トライ。チームとして、「ここ」という場面で踏ん張りが効かず、一度モメンタムを失うとズルズルと行ってしまう。

オフェンスのスタッツも悪くないのに、得点は静岡よりも少ない。

チームとして、バランスが悪い、平易な言葉で言えば、チームとしてまとまっていない、という印象が拭えない状況に見えます。

ラグビーはフィールド競技最大の人数が集まって戦います。今一度、トヨタとはどういうチームなのか、そのアイデンティティから見直し、ビッグネームに頼らないチーム作りをしてみて欲しいです。


6位 クボタスピアーズ

昨年の王者ではありますが、大黒柱のマークスの不在、監督の代表就任騒動、CTBの柱のクロティの対談など、正直今季はかなり入り口から厳しいだろうなという印象はありました。

そこに、初戦でサントリーに衝撃の敗戦をしてからチームとしての「不安」が顕在化していったと思います。

さらに、第3節でのフォーリーの怪我からのサヨナラトライによる敗戦、東芝への力負けあたりで、このチームが去年のようにはいかないのだろうなというところが確定的になりました。そこに、相模原、トヨタによもやの敗戦をし、去年のリベンジに燃える埼玉に圧敗して、ベスト4は厳しくなりました。

今年はとにかく、FWの圧力を全面に出した展開に対して、各チームがよく対応しており、オフロードが全体の7位など、去年できた攻撃ができていなかった印象があります。また、両翼の決定力を活かす展開、キックの活用なども、やはりフォーリーがいてこそか、、という印象も。(岸岡も、ブレイクスルーした姿が見えて嬉しかったですが)

ベスト4が難しくなってからの最後の3試合は、神戸を破り、サントリーを圧倒するなど、本来の力を見せてきており(これも、フォーリー復帰と機をいつにします)、来季に向けて若い有力なメンバーも多く、どんなチームを作ってくるのか、改めて楽しみにしたいです。

失点については、リーグ5位の少なさで、横浜と1点差です。ほぼ同じ。得点は横浜よりも上で、得失点差は横浜より上なのに、勝ち点は5違います。


5位 神戸スティーラーズ

アーディ・サベアとレタリックという、オールブラックスの中心メンバーが躍動し、そこにコストリーなどの若いメンバーも対等。具やイシレリの率いるスクラムも強い。バックスには、SOのガットランドが八面六臂の活躍をし、復活したラウマペとセンターへうつった李承信が魅力的なアタックを引き出し、さらにリトルだけではなく、ティモシーも完全に往時の力を取り戻している。アタッカーには、曲者の山下に加えて、松永弟が完全に独り立ちをしてラインブレイク、ディフェンス突破、ゲインメーターでいずれも3以内に入る。

得点は、埼玉に次いでの2位で、得失点差ですら、東芝も超えて2位。それでも、チームは5位。巨大な戦力に、得点力を持ちながら、とにかく「勝ちきれない」試合が多かったです。

3節の東芝戦はまだ力及ばない感もありましたが、、4節のサントリー戦、5節のクボタ戦ではトライ数で上回りながら、最後に堪えきれずに逆転負け。終盤での雑なプレーも目立ちました。

この数年苦しめられていた横浜にはリベンジし、トヨタは一蹴し、埼玉とも互角の展開をしながらも、やはり、同カンファレンスの東芝、サントリー、クボタには勝ちきれない。

特に、接戦を勝ちきれないところについては、チームとしての経験値の違いを感じるところもありました。14節の札幌でのクボタ戦などは、追い上げて最高のムードのところで、ガットランドのタッチキックミスで機を失いました。

ここ、という勝負どころでチームとして力を発揮できる、それも、普段以上の力を発揮できる、そういうところを見せられるようにならないと、この1つ上は難しいのかもしれません。そういう点では、トヨタと同じように、今一度「神戸とはどういうチームなのか」そのアイデンティティに立ち返った+アルファを見せて欲しいです。

得点がリーグ2位ですが、失点数はリーグ8位でおおくっています。この辺りも課題ですね。


ここの4チームは、どこがベスト4に入っていてもおかしくなかったと思います。ただ、上位、特に東芝や埼玉と比べると、「チームとして目指す姿」の統一からくる、底力、のようなものが感じられることが少なかったように思います。

ラグビーは、最後はメンタルと、そこからくる火事場のくそ力が必要です。トヨタや神戸などは、そういう、燃え盛る炎、のようなものを感じることが少なかったように感じます。


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