
【妄想ライオンズ94】昨日の自分へのリベンジ
進塁打あり、ホームスチールあり、粘っての押出あり。細かく繋いで築いたリードは昨日と同じ4点。
その8回裏、昨日、平良の好投をふいにしてしまった佐藤隼が、リベンジのマウンドに上がる。 スタジアムは異様な雰囲気に。
しかし、新しいライオンズの8回を守る背番号19のその顔に迷いはなかった。
メガネを取り、好調のDeNA打線の中軸を迎える。
宮崎には、迷いを振り払うように、150キロを超えるストレートを4球続ける。4球目は首位打者の宮崎が空振りに大きく姿勢を崩す。 5球目のスライダーをうまく合わされランナーが出るが、今日の彼の気持ちは、「自分への怒り」で燃えていた。
昨日は、最終的には中途半端な自分の守備で自滅をし、チームとしてのモメンタムを失ってしまった。 自分のストレートを投げ込めば、必ず抑えられる。抑えてきたし、抑えられると信じているし、信じているから使ってもらっている。
中途半端に弱気になる自分を突き放す。
牧にはスライダーを見せ球に、一段とスイッチの入ったストレートを投げ込み詰まらせる。
ソトには全球ストレートで、これも詰まらせてライトフライに。
桑原も初球のスライダーを見せ球に、来るとわかっていたであろうところにストレートを投げ込み押し込む。
DeNAの中軸を力でねじ伏せる。
しかし、このピッチングは、彼らに向けたものではない。
昨日の自分、試合を壊し、逃げ腰になった自分への、怒りの気持ちを込めた投球だった。
相手は、バッターじゃないんだ。自分なんだ、と言わんばかりの、クールだけれど、熱い、熱い思いのこもった、自分へのリベンジだった。
ライオンズの8回には、この男がいる。改めてそう印象付ける、力強い投球だった。