6にんめのかぞく
わたしは5にんかぞくです。
おかあさんとおとうさんとおにいちゃんと、それにわたしといもうとです。
わたしたちかぞくはねるときは、2かいのつきあたりの6じょうのへやに5にんでねています。へやのにしがわにおにいちゃんとわたしとおとうさん、ひがしがわにおかあさんといもうとです。いもうとのふとんはいちおうあるいえれど、まだちいさくてよるがこわいいもうとはおかあさんのふとんで、わたしはおとうさんのふとんでいっしょにねることにしています。
ねるへやは2かいにあるから、わたしといもうとはいつもよるいちばんにかいだんをあがります。そしてへやにはいってふとんをかぶると、いもうとはすぐにす−す−とねいきをたてていました。わたしはいつもすぐにねむれなくて、おとうさんのふとんのくらやみのなかでずっとじっとしていました。そのうちにおにいちゃんのかいだんをあがるあしおとがきこえます。「あ、おにいちゃんがあがってきた」とおもいました。おにいちゃんはへやのドアをあけ、わたしのとなりのじぶんのふとんにはいりました。わたしはまだねむれません。すこしたってまたあしおとがきこえました。おかあさんです。わたしはまだおきていました。ずいぶんじかんがたったようにおもいました。そしてまたあしおとがきこえました。「おとうさんだ」おとうさんはわたしのいるふとんにはいってきました。わたしはまだおきていました。わたしはなにもいわずにおとうさんのうでをしっかりだきしめました。わたしはまだねむれません。
そうしているうちに、そのうちにです。もうひとつ、もうひとつあしおとがきこえてきたのです。6にんめのあしおとです。でもうちは5にんかぞくなのです。6にんめのかぞくはいないのです。わたしはこわくて、そっとてでおにいちゃんのあしをさわりました。「おにいちゃんは、いる」そのことをたしかめてから、わたしはあしをとなりのふとんのなかにいれてみました。「おかあさんもいもうともここにいる」おとうさんは? といえばわたしがしっかりうでにだきついているのです。
やみのなかで、わたしはこわくなりました。そのあしおとはだんだんちかづいてきて、このへやのまえでとまりました。
それから−−−−−−−−−−−−−−−−。
「あさよ、おきなさい」
おかあさんのこえがきこえて、ふとめをあけるとあさでした。わたしはいつのまにかねむっていたのです。
おにいちゃんはまだねていて、おとうさんはふとんのうえでしんぶんをよんでいて、めをあけたわたしに「おはよう」といいました。
わたしのうちは5にんかぞくです
おとうさんとおかあさんとおにいちゃん、それにわたしといもうとです。6にんかぞくになったことはいちどもありません。いちども。
小1の時に小説家になりたいと夢みて早35年。創作から暫く遠ざかって居ましたが、或るきっかけで少しずつ夢に近づく為に頑張って居ます。等身大の判り易い文章を心がけて居ます。