岡山FW小噺〜競り合いに注目〜
現地観戦していておぉ、これは面白いのでは?となったのでまとめてみた。
ミッチェルデューク(186㎝/84kg)
鋼鉄のフィジカル
純粋な高さ
デュークの強さを形容するなら、"剛"となるか。見た目からわかる通り、デカく、分厚い。世界の強者とも渡り合えるその体格は、当然日本でもトップクラスの武器だ。加えて、跳躍力にも優れているため、大抵の相手より頭一つ分上でボールをたたくことが可能だ。
競り合いの仕方もシンプルなものだ。その体格とパワーで相手を抑え込み、空陸において自分の空間を確保する。ゴールキックの時を見れば分かりやすい。
この競り方のいいところは、自分が競り勝てなかったとしても、相手が大きくはじき返すことを妨害できるところにある。大抵のマーカーはそのパワーの前では先に触るだけで精一杯なのだ。
一方、欠点もある。
ひとつは、その強さゆえに、ファールを取られやすいことである。こればっかりはデュークに限らないことであるが、デカいやつが競るとファール取られがちな風潮もあると個人的に感じている(笑)
もう一つは、ヘディングが強すぎることである。ゴール前では長所であり、山形戦の勝ち越し点のように助走の勢い以上の威力を生むが、一方でゴールキックにおける競り合いでは、競った後のボールの勢いが強すぎて相手に渡ってしまうことも多い。
ただ、今のファジはそれ込みで戦略をデザインしているので、細かく突っ込む必要は現時点ではないだろう。
永井龍(180cm/72kg)
バネのような筋肉
ポスト時の重心の低さ
永井の強さは"弾"と形容できるだろう。バネのような筋肉の弾力性をもち、スプリントや跳躍力に強さがある。相手の想像を一歩上回る跳躍の高さや俊敏性は日本人離れしている。
競り合いにおいては、落下地点に走りこみながら競ることが多い。走りこむことで、強みである跳躍力を最大限に活かすことができ、体格差も関係なく競ることができる。
その弾力性はプレス時にも発揮される。永井の走りは加速力が素晴らしく、奪取チャンスでは相手の予想を上回る早さで距離を詰めることが可能。加えて、俊敏性にも優れているので、全速力で追い詰めたあと、相手に交わされそうになっても完全に剥がされることはそうそうない。彼がスーパーサブとして重用されるのはこの辺りにも理由がある。
攻撃面でのデュークにも勝る特徴も上げよう。それはポストプレー時の重心の低さだ。
永井は相手を背負う時、しっかり腰を落としてパスを受ける。そのため、トラップがしっかり足元に落ち着き、次のプレーに繋げやすくなる。
デュークは重心が高く、相手を背負った時のトラップが荒れがちなところがあるので、ここは明確な長所と言える。(その代わり、デュークはワンタッチで落としてからとても早く次の動作に移行できるという利点がある)
チアゴアウベス(181cm/72kg)
身のこなし
空間確保能力
チアゴは"柔"。ブラジリアンらしく細身な体格を身のこなしでカバーしている。身のこなしの技術は競り合いに限らず、ファールを貰う際やシュートの際にも輝きを見せる。
基本的に、チアゴは"相手から"身体をぶつけさせない。それはドリブルの時のボールの置き所と、上体の柔らかさによって成し得る技である。更に、ぶつけられそうになった際はファールになるような受け身をとる。身のこなしによって、接触プレーにおける身体的ハンデを補っているのだ。
しかし、チアゴの上手い部分はロングボールを受ける時、1番際立つ。それが、空間確保能力である。
チアゴはロングボールが来ると、まず最初に相手に背中をぶつけるか、手を伸ばして相手を抑え、自分がきっちりトラップ出来るだけの空間を作る。相手を自分の背中に密着させないことで、トラップに集中しやすく、その後も前を向きやすい。
このシーンでは、まず相手を背中で弾いてボールを足元に収め、相手の密着がない状態で前を向く。そして、シュートフェイクを入れ相手の寄せを牽制することで、精密なシュートに繋げている。(このシュートフェイクも、シュートレンジが長いという印象を逆手にとって利用していて、本当に賢い選手だ)
いかがだっただろうか。あくまで僕自身が見たものではあるが、競り合い1つとっても1人1人に特徴がある。ここからの試合での観戦の役に立てば光栄だ。