雨のよるのナイショのともだち
私は雨のよるが大好きだ。しとしとまどがぬれて、まちのあかりがぼんやりするぐらいがちょうどいい。そんなよるは、ナイショのともだちに会えるんだ。
お母さんに作ってもらったココアをゆっくりのみながら、まどの外をながめるの。
私がよるのあかりにぼんやりうつってる。雨で私がゆらゆらしてきて、ふと気がつくとコップをもったあの子がまどにうつってる。
初めて会ったときはほんとびっくりした。いつの間にか、私のすがたが知らない女の子に変わってるなんて!
でも、あの子も同じだったみたい。ふたりしてあんぐり口をあけたままかたまってた。それがなんだかおかしくて、ぷっと吹 き出して、いっしょにけらけら笑った。
それから、雨のよるはあの子とあそぶようになった。といってもあの子の声は聞こえない。だから、はぁっと息でまどをくもらして、指で絵をかくんだ。
ふねのりネコの冒険、くもの上でねているみかづき、山のてっぺんで火を吹くドラゴン。あの子がかいて、私がかいて、ひとつの絵を作っていく。どんな絵になるかわからないから、とってもドキドキする。
お絵かきにあきたら、へんがおをしたり、雨の音に耳をすましたり……そして、ココアをのみきった時にはもうあの子はいなくなってて元のぼんやりまちあかり。
あの子がだれかなんて、私はぜんぜんわからないけど、私だけのナイショのとくべつなともだち。
うそじゃないよ、ほんとだよ!
えっ、君にもとくべつなともだちがいるの?じゃあ、次は君のばん。お話をきかせてくれる?
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