コロナ禍のために気軽に美術館や博物館に行くことができなくなって、もう半年ほど経つだろうか。あの静かな空間を懐かしんでいた時、ふとビジュアル博物館を思い出した。 ビジュアル博物館をご存知だろうか?爬虫類、魚類、骨、昆虫など様々なテーマについて、古今東西の知識を紹介する映像作品である。大きな目玉マークがロゴとなっており、「タンタタタターン、タンタタタターン〜♪」というテーマソングが癖になる。「博物館」と名がついているように、真っ白な廊下に様々な動画が陳列?されており、視聴者
日記をつけることが昔から苦手である。いざ文字にしていこうとすると、その時々の心情が薄まり、蒸発し、消滅していくようで嫌なのだ。 と、早速嘘を述べたわけであるが、そんな詩的なかっこいいものではない。単純に書くことが思いつかないのである。夜、就寝前に筆をとる。さあ、どうだと、一日を振り返って自分は何もやっていない、何も得ることがなかったと気がついて虚しくなる。わざわざ、寝る前にそんな虚しい思いをし続けるほど自虐的な性格はしていない。 高校生の頃、日記を何年もつけ続け
北の北の山国の、深く静かな冬の前、短い紅葉の季節のお話です。山々は赤、黄、橙と色づき、まるで艶やかな着物を羽織ったようでありました。人もけものも木の実やきのこ、イワナといった秋の恵みを味わいながら、次第に近づく冬の足音を感じ取っていたのでした。こうした華やかで、でも少し寂しさの入り混じった空気が、山々に満ちているのでした。 そんな空気の中、暗い洞窟でのっそりと、大きな生き物が目を覚ましました。かたい毛皮に長い爪を持つ姿はまるで熊のようです。ですが、どんぐりまなこをパチパチ
私は雨のよるが大好きだ。しとしとまどがぬれて、まちのあかりがぼんやりするぐらいがちょうどいい。そんなよるは、ナイショのともだちに会えるんだ。 お母さんに作ってもらったココアをゆっくりのみながら、まどの外をながめるの。 私がよるのあかりにぼんやりうつってる。雨で私がゆらゆらしてきて、ふと気がつくとコップをもったあの子がまどにうつってる。 初めて会ったときはほんとびっくりした。いつの間にか、私のすがたが知らない女の子に変わってるなんて! でも、あの子も同じだったみたい。