〝わかりやすい〟が一番いい
日々と言えるほど、東京の街は生まれ変わっています。
惜しまれながら壊される建築物がある一方、新しい商業施設やマンションの建設の加速が止まりません。
話題になっている商業施設を訪れた時は、建物はもちろん、どんなショップや飲食店があるか見て廻るのが楽しみですが、最後に必ず訪れるのはトイレです。
トイレが使いやすいか否かは、私にとっての重要なポイントの一つだからです。
最近、そこで時々戸惑うことがあります。
それはトイレの男女の表示。
表示のデザインが分かりにくく、一瞬で女性用トイレを見分けることができないことがあるのです。
ピクトグラム
このトイレの表示などは、ピクトグラムと呼ばれる、文字や言葉の代わりに一目でわかるように抽象化された「絵文字」です。
誰にでも情報を伝えられるように簡略化されたデザインのことです。
非常口の表示で、〝扉から人が飛び出るようなデザイン〟が最も知られているかもしれませんね。
現在ではごく当たり前に使われていますが、日本では1964年の東京オリンピックをきっかけに、公共機関で広く使われ始めたそうです。
最古のピクトグラムは象形文字?
世界最古のピクトグラムは、古代エジプトで使われたエジプト文字の一つヒエログリフではないかという説があります。
ヒエログリフはエジプトの遺跡に多く記されており、神聖なものとして、神やファラオを称える石碑や神殿、墓などに刻まれたと考えられています。
しかしその読み方は分かっていないそうです。
ピクトグラムとは違いますが、世界遺産にもなっているノルウェーの〝アルタの岩絵〟も、一目でわかる動物や人の動きが描かれています。紀元前4,200年から紀元前500年ごろに描かれたものであると考えられています。
それまで岩に描かれた壁画は動物だけでしたが、ここで多くの人間が登場しました。
日本最古の棒人間
このように、ピクトグラムと思われる表現や、一目で人と分かる単純化された表現は、古くから世界各地で見られますが、その表現方法は日本でも縄文時代には既に存在していました。
下の写真は土器に描かれていた人体文(人の様な文様)です。
土器を平らにしてみたら、こんな文様になる…と説明してくれています。
見事なまでも人体をデフォルメした、よくある棒人間のようです。
〇と△で表した頭部分と、よく見てみると手の表現やお腹のあたり、下半身の表現が違います。
男女のようにも見えますが、もう一つの説として、△の頭が神、〇の頭が人物で、〝神とそれをあがめる人たち〟という風にも考えられています。
これらは、縄文人の生活の様子や信仰の在り方などを描いているのでしょうか?
それとも土器全体に施されているということは、何か物語が展開しているのでしょうか?
実際の土器がこちらです。
土器の周りにぐるりと棒人間が施されています。
こちら土器は、もう少し抽象化が進んだ表現になっています。
写真では見えませんが、この人体文と腕組した人体文が、土器の周りに交互に施されています。
約5,000年前に、このように人間を極端にデフォルメした表現がなされていることに、とても驚きました。
このように土器をキャンパスにして、場面の移り変りや時間の変化を表している可能性があるとしたら、新たな土器の役割も見つかるかもしれません。
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昨今は、女性用のトイレ表示に、スカートを表さないデザインが採用されることが多くなりました。
新しいビルのトイレのサインは、その建物のコンセプトに合った新しいデザインであることに加え、スカートを表さないデザインという要素もあり、難しいと思いますが…、
分かりやすい!が一番ではないでしょうか。
*「進化する縄文土器」信毎書籍出版センター・「トランジェット48号」講談社 参照 、*画像:Pinterest
最後まで読んでいただき有難うございました☆彡