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世界遺産になった縄文遺跡群を廻る旅 /4つのストーンサークルといせどうくん -伊勢堂岱遺跡-
2021年に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」。
一昨年から訪ね始め今回で11カ所目。
訪れたのは秋田県北秋田市の4つの環状列石を伴う『伊勢堂岱遺跡』です。
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秋田内陸線で行く
『伊勢堂岱遺跡』の最寄り駅は秋田内陸線の『縄文小ケ田駅』。
秋田県を横断する電車は、田畑が広がるほのぼのした風景の中を進みます。車内は秋田犬の写真でいっぱい!
伊勢堂岱遺跡を見学すると、片道運賃が無料になるというサービスも。
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ここが最寄り駅「縄文小ケ田駅」。マスコットのいせどうくんが目印のまさに遺跡のための駅です。
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そしてホームから見えるのは内陸線に乗ったいせどうくんの田んぼアート。まるで全身で歓迎してくれているみたい!
これから向かう遺跡は、いせどうくんの後方に見えるこんもりとした小山にあります。
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4つのストーンサークル
駅からのんびり歩いて10分ほどで、遺跡の入口へ到着。
お天気が目まぐるしく変わるこの日、小雨の中を陽射しが差し込んでいます。
電気柵に囲まれた道を独り進むとカナヘビやトカゲに遭遇し、度々声にならない悲鳴を上げることに…!
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遊歩道を登っていくと、見晴らしの良い広い台地が現われます。
標高は約45m、広さ20haの台地からは、遠くに白神山地の山々が眺められます。
ここに作られた4つの環状列石はストーンサークルとも呼ばれ、たくさんの石を並べて作られた「縄文人の構造物」として知られています。
約4000年前の縄文時代後期に200年以上かけて作られたと考えられ、その下には死者を埋葬した墓、その廻りからは建物の跡や多数の祭祀などに使われる道具が見つかりました。
ここは縄文時代の共同墓地であるとともに、大規模な「祭祀や儀礼の場」であったと考えられています。
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ストーンサークル(環状列石)を持つ縄文遺跡は各地にありますが、4つものストーンサークルがあるのはここだけ。
大きさは直径30m~45m、その形状には少しづつ違いがあることから、それぞれに意味を持つストーンサークルであると考えられるのかもしれません。
また並べられた石は20種類以上で総数は4000個以上。
その色は青、黄、赤味を帯びたものと様々で、近くの川や5~6㎞離れた場所から採取されたようです。
これはとても珍しい現象で、他のストーンサークルでは同じような石を選んで並べているのが普通です。
特に緑色に帯びた石が好まれ、そのような石をわざわざ遠くから運んできて並べることも多いのです。
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それぞれ違いのある4つのストーンサークルと色とりどりの石。
「白神山地を神の住む山」と崇める、この地の縄文人だけの世界観なのかもしれません。
200分の1!唯一の完成形
もうお馴染みになったでしょうか?いせどうくん。
併設されているガイダンス施設「伊勢堂岱縄文館」では2mもあるいせどうくんのモニュメントがお出迎え。
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この遺跡からは約200点もの土偶が見つかっていますが、そのほとんどは破片でした。
唯一完全な形に復元できたのが、このいせどうくんなのです。
環状列石Bの墓から、頭と胴が分かれた状態で出土しました。
実物は高さ19㎝、肩幅16㎝、厚さ1㎝。
『目』が顔の上の方についている…ように見えますが、実はこれは髪型の表現。横一直線の眉の下に小さい鼻があり、その両脇にあるこれまた小さな穴が『目』であると推測されているのです。
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いせどうくんは東北北部で多く見られる「板状土偶」と呼ばれるもので、手足のないシンプルな板のような薄い作りの土偶です。
逆三角形の胴体は格子状の文様で埋め尽くされ、小さな乳房に臍、そして臍廻りは凹ませてあります。
この容姿から想像すると、女性を模した土偶ではないようです。
守られる4000年前の姿
『伊勢堂岱遺跡』は近くの大館能代空港へのアクセス道路建設に伴う調査で発見され、地域住民などの声もあり、道路計画を変更して遺跡として保存されたという経緯があります。
そのことを示すように、既に作られていた道路の橋脚が残されています。
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遺跡は全体の約10%のみが発掘され、後世に残すために未発掘の部分を守りながら公開されています。
まだまだ分からないことが多いのが現状ですが、いずれまた新たな姿が見えてくるのかもしれません。
約4000年前、ここでたくさんの縄文人が暮らし、祈り、祭りがおこなわれていた…そんな彼らの想いや世界観に思いを馳せる場として、これから大切にされていくことでしょう。
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*参考資料
世界遺産になった縄文遺跡 岡田康博編 (株)同成社
伊勢堂岱遺跡リーフレット
©2024 のんてり
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最後までお読みくださりありがとうございました☆彡