夏の夜の調べ
あっという間に6月も半ば。そろそろ夏のイベントが気になり始めました。花火や音楽フェスなど、日暮れからの楽しみも夏ならではですね。
私が夏の夜で思い出すのが、随分前に観た静岡県・伊豆での僅かな観客に向けた「薪能」。
夜7時頃、完全に日が沈み、薪から炎が上がると、一気に笛や太鼓、謡と舞いが始まり、リズミカルでドラマチックな幽玄の世界が繰り広げられていきました。
そして呆然としている間に薪の炎が消え、もとの静寂と暗闇な現実へと戻ったのです。今振り返ってみると、どんな演目だったのかも記憶になく、ちょっともったいないようにも感じています。
日本の「能」の起源は平安時代と言われていますが、このような夏の夜の調べは、もっとずっと前からあったのかもしれません。
それは記録のない先史時代の遺物から想像できるようです。
これは弥生時代の楽器。
スギで作られた箱形であることから、「琴板」と呼ばれる打楽器、あるいは天板に弦を張った「琴」のような弦楽器と考えられています。
側板には魚やシカと思われる絵が彫られています。
こちらはココヤシの実で出来た笛で、小さな孔をふさぐことで音階を表現したようです。
さらにさかのぼると、縄文時代にも琴の原型と思われる遺物が出土しています。
ずっとずっと昔の夏の夜にも、燃えあがる炎を囲み、楽器を奏で、歌い、舞う光景が見られたのかもしれませんね。
今年の夏も、素敵な思い出が作れますように!
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