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今日会いに行きたい!気になる土偶#072神奈川県埋蔵文化財センター

欠けた頭に修復の痕、
ちょっと痛々しい…

今日の土偶は、私が時折訪れる
「神奈川県埋蔵文化財センター」の展示室の
ニューフェイスです。

皆さんは、「埋蔵文化財センター」に行かれた
ことはあるでしょうか。博物館などに比べて、
あまり馴染みがないかもしれませんね。

「埋蔵文化財センター」は、遺跡の発掘調査や
研修、収蔵、展示などを行う各地に設置されて
いる公共機関です。
〝埋蔵調査センター〟や〝調査センター〟また、
その後に愛称などが付く場合もあります。

博物館のように展示やイベントをしている所も
あれば、研究や保管、修復、普及活動を行い、
常時に公開されていない所もあります。

入館料は無料、または高くても200~300円
ととってもリーズナブル!
史跡に設置されていることも多く、休日には人気
のイベントで賑わっている所も多いようです。

ここは、6月に大雨の中訪れた
岩手県の「滝沢市埋蔵文化財センター」。
この手を振る土偶を見つけた時、
どれだけほっとしたことか。

「神奈川県埋蔵文化財センター」の展示室は、
整然と遺物が並ぶ大人向け。
事務室の職員の方に声をかけ、展示室の鍵を
開けてもらい観覧します。

自ずと訪れる人は少なく、毎度のこと、
ほぼ独占状態でゆっくりと観覧できるのは、
嬉しいような、寂しいような。

かなり控えめなサインです。

この日訪れた時も、訪問者は私一人、
観覧するために鍵を開けてもらいます。

展示室の中へ入ると職員の方が、
「この土偶は修復したばかりなんですよ」
と嬉しそうに紹介してくれました。

筒形土偶つつがたどぐう

今から約4000年前の短い期間だけに、関東地方、特に南部で多く作られた土偶です。

縄文時代の後期
左が〝今日の土偶〟神奈川県稲荷山貝塚 出土
右も同じく「筒形土偶」神奈川県 東正院遺跡 出土

「筒」のような円筒形で手足はなく、
中は空洞になっている土偶は、
その形から「安定して自立すること」を一番に
考え作られたように見えます。

そしてこの土偶の特徴と言えば、
かなり上向きな顔!

土偶は、前をまっすぐ見つめる、または、
やや上向きに顔がついているものが多いですが、
この筒形土偶つつがたどぐうはそれ以上にかなり
上向きについています。

そして一般的には隣の筒形土偶つつがたどぐうのように、
カップの把手」のようなもので首を支えている
のですが、

今日の土偶は何の支えもなく、
筒の上に顔がついている
状態です!


この土偶作りには、顔を支える「カップの把手」
の情報が伝わらなかったのでしょうか。
それとも支えながなくても
「上向きに顔はつけられる!」といった、
作り手の挑戦の成果なのでしょうか。

天を仰ぎ、祈りのためにつけられた「上向きの顔」、
いずれにしてもその形は縄文人の
努力の賜物のようです。

展示室での「今日の土偶」は
ちょっと苦しそうな表情が気になりましたが、

それにも増して、
鍵をあけてくださった職員の方の
嬉しそうな笑顔がとても印象的でした!

*参考資料
縄文土偶ガイドブック 三上徹也 新泉社

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

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