今日会いに行きたい!気になる土偶#072神奈川県埋蔵文化財センター
欠けた頭に修復の痕、
ちょっと痛々しい…
今日の土偶は、私が時折訪れる
「神奈川県埋蔵文化財センター」の展示室の
ニューフェイスです。
入館料は無料、または高くても200~300円
ととってもリーズナブル!
史跡に設置されていることも多く、休日には人気
のイベントで賑わっている所も多いようです。
「神奈川県埋蔵文化財センター」の展示室は、
整然と遺物が並ぶ大人向け。
事務室の職員の方に声をかけ、展示室の鍵を
開けてもらい観覧します。
自ずと訪れる人は少なく、毎度のこと、
ほぼ独占状態でゆっくりと観覧できるのは、
嬉しいような、寂しいような。
この日訪れた時も、訪問者は私一人、
観覧するために鍵を開けてもらいます。
展示室の中へ入ると職員の方が、
「この土偶は修復したばかりなんですよ」
と嬉しそうに紹介してくれました。
「筒形土偶」
今から約4000年前の短い期間だけに、関東地方、特に南部で多く作られた土偶です。
「筒」のような円筒形で手足はなく、
中は空洞になっている土偶は、
その形から「安定して自立すること」を一番に
考え作られたように見えます。
そしてこの土偶の特徴と言えば、
かなり上向きな顔!
土偶は、前をまっすぐ見つめる、または、
やや上向きに顔がついているものが多いですが、
この筒形土偶はそれ以上にかなり
上向きについています。
そして一般的には隣の筒形土偶のように、
「カップの把手」のようなもので首を支えている
のですが、
今日の土偶は何の支えもなく、
筒の上に顔がついている状態です!
この土偶作りには、顔を支える「カップの把手」
の情報が伝わらなかったのでしょうか。
それとも支えながなくても
「上向きに顔はつけられる!」といった、
作り手の挑戦の成果なのでしょうか。
天を仰ぎ、祈りのためにつけられた「上向きの顔」、
いずれにしてもその形は縄文人の
努力の賜物のようです。
展示室での「今日の土偶」は
ちょっと苦しそうな表情が気になりましたが、
それにも増して、
鍵をあけてくださった職員の方の
嬉しそうな笑顔がとても印象的でした!
*参考資料
縄文土偶ガイドブック 三上徹也 新泉社
最後までお読みくださり有難うございました☆彡
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?