【recri体験レポ】演劇「アンチポデス」を観てきた
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今回は、演劇「アンチポデス」のチケットが届きました。
アンチポデスについて
小川絵梨子芸術監督4年目のシリーズ企画は「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話...の物語」。対面を避け言葉だけのコミュニケーションとそのツールを手に入れた現代人が、一方的に投げつける、あるいは、投げつけられる言葉の多くは、時に正論のようでただの批判になっていないだろうか、極論をぶつけるだけで議論として成立さえしていないのではないか。時として、相手を傷つけることが目的になっていないか。直接耳に届く声と、内なる声に耳を傾け、そこから始まる議論や対話を描く作品が並びます。
第一弾は、『フリック』で2014年ピュリッツァー賞も受賞したアニー・ベイカーによる『アンチポデス』。「地球の裏側」を意味するタイトルを冠した戯曲に登場するのは、閉ざされた部屋で物語を作り出す、という作業をしている8人の男女。人に渡す言葉の在り方を、他者との関係性を、今一度、立ち止まって考えたい、というテーマのもとにお届けする「だれかが"おはなしをする"お話、を描いた物語」。様々な危機に陥った世界にとって「ものがたり」がどのような価値を持つのか、観客と一緒に考えたいと、小川絵梨子自らが演出をいたします。
・story
ある会議室に男女8人が集められている。
そこがどこであるのか、いつであるのかも不明だが、リーダーであるサンディのもと、彼らは企画会議として「物語を考える」ためのブレインストーミングを始める。新たなヒット作を生むためである。
サンディは「ドワーフやエルフやトロルは無し」と言う。恐ろしさや怖さの中にも消費者が親近感を覚えるリアルな物語を採用したい、と。
既存の作品の焼き増しではない新しい物語を生み出すために、参加者たちは競うようにして自分の「リアル」な物語を披露していく。やがて会議室の外に世界の終末のような嵐が訪れる。
※公式HPより抜粋
アンチポデスの感想(※微ネタバレあり)
ここから先は少しネタバレを含みます。物語の核心的な内容には出来るだけ触れないように記載することを試みてはいますが、何卒ご了承お願い致します。
まず、演劇「アンチポデス」の観劇が終わったときに抱いた感想としては、面白かったというよりは、物語に当てられたーっという感じです。
目まぐるしい量の会話もそうですが、内容的に考えさせられることが多く、終わった瞬間は、物語についていけておらず、まだ自分の理解が追いついていなかったのが本音でした。
観劇後の今、アンチポデスとはどんな演劇だったのかと振り返ってみると、「演劇を通して、ヒトの本質を垣間見ることが出来る作品」という結論に至りました。
公式HPのストーリー概要にも書いてある通り、この演劇は「物語を考える」ためのブレインストーミングと称して、会議形式の対話劇が繰り広げられていくのですが、どうにもこうにも意見はまとまらず、締め切りだけが刻一刻と迫ってくるような状況になります。さらにキーマンも離脱していき、会議出席者はどんどん極限状態に追い込まれてしまいます。
ヒトの本質として、極限状態に陥ると、攻撃的になってしまう。アンチポデスを観劇中に何度も考えたことです。これはヒトの遺伝子的に組み込まれている生存本能が、そうさせてしまうのだと思いました。自分自身の保身のために、他者を攻撃する。本来はブレインストーミングで議論を交わしていきたいはずなのに、状況が変わってしまうと、その人の選択する行動も変わってしまう。会議形式の対話劇なので、自分のことにも重ねやすく、リアルな自分が、そうはならないようにと、教訓を得ることが出来ました。
また、劇中で、その人が一番大変だった時の話を他の会議参加者に共有するという展開があったのですが、その話を聞いていて、その人の一番不幸な話が出来るっていうのは、今が幸福な証なんだなと、感じました。何故なら本当の不幸に苛まれて、未だその状況から抜け出せてないときには、その人の一番不幸な話が出来る状態では無いと思うからです。(例えば鬱病に疾患している最中とか、近しい人の葬儀中とか)
この考え方は、アンチポデスを観る前には全く無かったもので、この感性を得ることが出来ただけでも、自分にとっては有意義な時間になりました。
総論、アンチポデスは良い作品だと、自分は思いました。
どの作品にも言えることですが、一つの作品をとっても、人によっていろんな感想が出てくると思いますが、ことアンチポデスに関しては、本当に色んな感じ方があるんだろうなと思いました。
アンチポデスを観劇した人と、ぜひブレインストーミングで感想を語り合いたいものです。
recriに加入して届いたチケット遍歴
1回目
2回目
3回目