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なぜ人は葬儀をするのか

はじめに

私は葬祭業に携わり、かれこれ20年が過ぎようとしていますが、
20年前と明らかに違うと感じているのは、会社関係やご近所などの参列者が来るお葬式や世間体を気した葬儀が減ってきているということです。

ある書籍では「都市部では直葬が全体の3割近く」というのは事実なのか分かりませんが、葬儀の小規模化はますます進んでいるように感じているのは私だけではないと思います。

多くの葬祭業の方々はこの小規模化、低価格化に頭を悩まされていると思いますが、本質的には価格や規模という属性の話ではなく、「なぜ人は葬儀をするのだろうか」ということが重要ではないだろうかと考えています。

そこで今回は「なぜ人は葬儀をするのか」の答えを出すことを目的に、10分くらいで読めるnoteにしたいと思っております。
「葬儀」にご興味がある方は希少だと思いますので、弱小noteではございますが、ご興味のある方だけお読みいただければ幸いです。

それでは始めます。

生活者の持つお葬式のイメージとは

はじめに、そもそも現代の生活者は葬儀に対してどのようなイメージを持っているのか調査してみました。
生活者が直感的に持っている葬儀のイメージを、とある地域で500名に「お葬式にはどのようなイメージを持っているか」とWebアンケート調査を実施しました。
※イメージはフリーで記入していただきました。

そのテキストデータを、単語の出現頻度でのワードクラウド分析をしてみると、下記の画像ように最多はど真ん中にある「故人」でした。
その周りに「偲ぶ」「別れ」「悲しい」となっており、「故人を偲ぶ」「故人との悲しい別れ」というイメージが多いことがわかります。

しかし、その周りをさらにみていくと、「あわただしい」「忙しい」「めんどくさい」「大変」「お金」「費用」「かかる」というように「お葬式は忙しくあわただしい」「お葬式はお金がかかる」というようなイメージもあるようです。

このように葬儀にはネガティブなイメージも多く存在していることがわかりました。これが現在の低価格や規模縮小化にも影響しているのかもしれません。

今度は、最近増えている直葬や家族葬を選択した人の理由を調査してみると

①家族が高齢になった
②葬儀費用や労力などの負担を抑えたい
③死の理由を公開したくない
④人付き合いが無くなった 無かった
⑤コロナで人を呼べなくなった
⑥近しい人で見送ってあげたい

という理由にまとめられました。

このようなイメージや葬儀の規模縮小のような変化が進んでいるにも関わらず、なぜ人は葬儀をするのでしょうか。

人が葬儀をする6つの理由とは

ここからは、人がそもそも葬儀を上げる由について考えてみたいと思います。
一般的に葬儀をする理由は下記の6つと言われています。

①社会的な理由
人間は社会的な生き物であり、多くの人とかかわりながら生きています。
葬儀をすることで、関わりのあった人たちに故人の死を報告し確認させることで、遺された人たちは今後の故人のいない社会での身の振り方を考えていけるようになります。
死亡届を提出して戸籍から抹消することも社会的な処理ということです。

②物理的な理由
亡くなり動かなくなった遺体は時間の経過とともに腐敗が進行します。
そのため、何らかの形で処置・対応しなければばらないという物理的な処理が必要になります。
旧石器時代から、土をかけたり、草をかけたりなど、遺体に対して何らかの処置がなされた形跡があったと言われています。

③社会的心理の理由
昔の日本では、また死を穢れと考えられており、人が亡くなると、その原因がわからないので、その村で祟りが起き伝染するのではないかと恐れられ、その恐怖感を取り除くために死者を慰める儀礼が行われていたようです。

現代においても死=恐怖の心理は存在すると言われ、その解消のために葬儀の役割があります。

④精神的・心理的な理由
人の死は残された人に衝撃や悲しみをもたらします。
悲しみの感情だけでなく、拒否反応や怒りなどの様々な感情の変化があるようです。
葬儀にはその感情の処理という役割があります。
通夜、葬式、その後の法要などの一連の行事や時間の経過によって、残された人にあきらめや決別の意をもたらしてくれます。
特に親しい人がいなくなることによる変化に対する不安もあるようです。
葬儀にはそのような不安を解消する役目もあります。

⑤教育的な理由
身近な人の死によって、人は改めて生の大切さを知ります。
命の重さや尊さを教えてくれます。
また、いずれは自分にも訪れる死というものを考えさせられます。
葬儀は「生」や「命」について考えたり学ぶ教育的な側面もあります。

⑥文化的・宗教的理由
さまざまな国や宗教において“人が死んだら魂や霊が肉体を離れる”と考えられています。
そして、あの世でも安らかに幸せになれるようにと祈り弔ったことがお葬式の始まりだと言われています。
また、祈り弔うことで残された人たちの心の傷も癒されると言われています。

また、日本人は少なからず儒教の影響を受けており、儒教で最重要とされるコンセプトの「礼」において「人の道」として親の葬儀を上げることが重要とされています。
現在の日本でもこのような考え方が存在しており、葬儀には文化的・宗教的理由があります。

いかがでしょうか。
今度は別の視点で、人間以外に葬儀(弔う)を行う動物がいるのか調べてみました。
はじめにチンパンジーやゴリラです。

チンパンジーやゴリラなど、一部の霊長類は死を理解して悲しむと言われてます。
特に野生ではないチンパンジーは、グループのメンバーの死に対して、静かで大人しくなりまたは切実な声をあげるそうです。
猿やキツネザルは、特別な音を出して、何度も死体を訪れるといった行為が確認されています。

次はゾウです。

ゾウは死んだ仲間の体を鼻でなでるなどの行動をとることが多いと言われています。

たとえ自分の集団に属さないゾウであっても、たとえばたまたま通りかかった場所にゾウの遺体を見つけると、立ち止まって何が起きているのかを調べ、死んでいるとわかると、遺体を葉や草で覆う行動を取るというのです。

ゾウには群れの仲間ではなくても、同じゾウの死を悼む気持ちがあるようです。
人間でも路上で動物の死骸を見つければ、思わず合掌したくなるような感情をゾウも抱いているのでしょうか。

次はイルカです。

イルカは子供が死んでしまったとき、たとえ腐敗していても、数日間子供の遺体を持ち運ぶことが観測されています。
実際、イルカに関しては、遺体を非常に攻撃的に守り、研究者たちを寄せ付けないことで知られています。

鳥類ではカササギも葬儀のような行動をとるといわれています。

カササギは日本にも生息するスズメ目カラス科の留鳥(一年中ほぼ同じ地域にすむ鳥)です。
群れを作らず、主にツガイで行動し、鳥類の中ではもっとも大きな脳をもち、哺乳類以外では初めて「ミラーテスト」をパスした動物だと言われてます。
そんなカササギは遺体をクチバシでなでるようにしたり、黙とうをするような動作をしたり、遺体の上に草を置いたりするそうです。

このように死に対し、何らかの行動(弔うような)を起こす動物がいることがわかります。
これは本能的な行動なのではないでしょうか。

では最後に人間です。

人間は古代から人と支えあい、人が亡くなった時には弔いの儀式を行ってきたようです。
ネアンデルタール人の骨からは、葬儀の風習や障碍者をサポートしていた形跡が残っていると言われています。

ここには人は死者の亡骸をそのまま放置せず、何かしらの形で処理するという行動と哀悼の意を表したり、弔うという行動をしてきたということではないでしょうか。

昔から亡骸を前にして哀悼の意を表したい、永遠のお別れをしたいというのは人間の自然な感情なのでしょう。。

まとめ

最後にまとめます。人はなぜ葬儀をするのか・・・
葬儀を行う6つの理由を前述いたしましたが、一般的当てはまる理由だと思います。
しかしながら、本質的に葬儀をする→「死を悼み、死者を弔う」というのは人間の本能的行動からくる習慣なのではないかと考えています。

最後までお読みくださいましてありがとうございました。

私の葬祭業のマーケティングについてはご興味ある方は下記をお読みください。

過去のレポートは下記のサイトからもご覧いただけます。
https://plus-marketing.jimdosite.com/

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