ジョセフ・ヒース:The challenge of policing minorities in a liberal state | リベラル国家におけるマイノリティへの警察による取り締まりの課題
5月12日に行われたジョセフ・ヒースによるCCPでの講演について、
Abstract(概要)のみ翻訳
元記事:
2020年に米国で起きた警察官によるジョージ・フロイド殺害事件をきっかけに、同国の警察権力の問題が世界的に注目されるようになったが、ほぼ全ての国が国内のマイノリティーに対する警察権力の取り締まりに関して根強い問題を抱えていることは、現代の自由主義国家の顕著な特徴であると言えるだろう。例えばフランスでは、警察制度、人口構成、福祉政策、犯罪率、銃規制などが根本的に米国と異なるにも関わらず、同様の問題を抱えている。私はこうした問題は自由主義国家に内在する、暴力を独占しようとするウェーバー的な野心と、法的規制の範囲に制限を課そうとするロック的な野心との狭間にある緊張感から生じていると考える。自由主義国家が生み出すこの緊張感を理解するためにはまず、法と、法執行に関する警察の役割についての誤った見解を捨て去っておく必要がある。社会秩序を維持するために警察が果たす役割についての明確な社会学的理解があってはじめて、その活動が引き起こす規範的な課題を明らかにすることができる。そうすることで、如何にしてマイノリティグループとの関係が結果として争いの火種となり、抑圧的で非効率な警察権力による取り締まりが実施されることにつながるのかを容易に理解できる。また、こうした慣行が多くの場合なぜ社会改革に対して特に抵抗を示すのか、その理由も理解できるようになる。
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