未厨伯(みくりや はく)

現代思想のトレンドを必死に追っています。時折、経済学101で翻訳をさせていただいております。 https://econ101.jp/author/aka_mikuriya/

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最近の記事

【翻訳】 Swann Arlaudによる演説: パリでの極右反対デモにて

こちらの記事は、2024年7月3日にパリで行われた極右反対デモでのSwann Arlaudによる演説内容の翻訳記事になります。 Swann Arlaudは、最近では『Anatomy of a Fall』に出演されたフランス人俳優で、パレスチナ支持を表明する急進的かつ熱心な左派かつ、フェミニスト、環境保護の立場を貫いている人物でもあります。 近年ヨーロッパでは極右化傾向が激しく、現在のフランス総選挙でも極右政党である国民連合(Rassemblement National:R

    • 【翻訳】 「なぜ人々はインフレを忌避するのか」(ステファニー・スタンチェヴァ氏のXポストより|2024年4月1日)

      ハーバード大学の経済学者Stefanie Stantcheva教授ご自身によるNBERのペーパー "Why Do We Dislike Inflation" の要約・まとめを紹介します。 (原文はStantcheva教授のXポストより。〔〕の内容は訳者による追記。) 今回Brookings Institutionに掲載される論文では、「人々はなぜインフレを忌避するのか」というShiller (1997) によって提起された往年の問いかけを現在のデータと調査手法に基づき再検

      • 【翻訳】 「キャンセルカルチャーを"キャンセル"する方法」(2023年10月19日)

        本エントリは、エコノミスト誌にて掲載されたウォーク、ひいては政治的二極化傾向についての処方箋を提示する論考の要約・解説記事です。 ジョセフ・ヒースなどに代表される昨今の古典的・伝統的なリベラリズムに回帰する流れとウォーク批判の結びつきを理解する上で必読の記事だと思います。 注意:訳者(未厨伯)の知識不足、技量不足により解説や本文等で誤った箇所がある可能性があります。お気づきの際は適宜ご指摘いただけますと幸いです。 また本エントリは一切収益化しておりません。 [以下要約

        • 【翻訳】政治イデオロギーにおけるジェンダーギャップはなぜ広がっているのか(2022年8月19日)

          エリック・カウフマン氏による政治的なジェンダーギャップに関するエントリの要約・解説記事になります。 [以下要約] 〜文化戦争の問題について、男女の意見が割れつつある〜 先日、中道派の評論家マシュー・イグレシアスが、18歳から29歳までのアメリカ人の政治的イデオロギーに関するギャラップ調査の変遷をツイートした。 このグラフでは、男女間のイデオロギーに関するギャップが拡大していることが示されており、男性ではなく女性の間で「リベラル」の割合が急増している。二極化が進むにつれ

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        • 翻訳記事まとめ
          9本
        • 日記以外の書き散らし
          10本

        記事

          8月が終わりました

          二十歳になって最初の8月が終わった。十の位が一つ繰り上がっただけなのに、毎日の情景が示唆を富んで視界に飛び入ってくる気がする。豊かと言えばそうなのだろうけど、どこか忙しなくもあり、10代の頃から抱えている漠然とした生きづらさの解像度が無為に高まっただけのようにも思う。 ただ少なくとも感性が冴えている今のうちに、日々のうだつの上がらなさを解消するべく、まずは「生活」をすることにした。 生まれてこのかた引越すことなく、ただ毎日同じ窮屈な部屋に身を置くことに慣れてしまった。そう

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          またしてもとっても久しぶりの日記。程よい忙しさは鬱になる暇を与えないので健康的にはいいのかもしれないけれど、私の諸々の活動の原動力は「抑うつ感情」だったようにも思うし、現にこうして文章を書く作業が滞っていることはその証左だ。 基本的にやりたいことしかやらないというスタンスで自分の機嫌を自分で取ることにしているためか、気がつけばいろんなことに手を出している。最近は知人と法人を立ち上げてなんかしてる。自分でも正直何をやっているのかはよくわかっていないけれども、とにかく目の前の現

          体調が悪い時は無理しなくていい

          体調が悪い。普段からすこぶる体調が悪そうな文章を書いているけれど、何も年がら年中そうというわけじゃないし、私にだって快活に日々を過ごせることはある。それにしても体調が悪い。ここ1週間はずっとそんな感じ。 メンタル的には、まぁ普通。しにたいとかはもうあんまり思わないようにしてるし、生活をちゃんとすることに意識を向けると自然と生きるとか死ぬとかはどうでも良くなる。生き死にの前には生活があるから。とはいえこうも体調が悪いとその生活がままならなくなるのでやや心は荒みがち。 低気圧

          体調が悪い時は無理しなくていい

          いろんなパターンの仮定法実例まとめ

          仮定法:Conditionalと言われる文法事項ですが、これがまた非常に興味深い。かれこれ5年以上英語学習を続けておりますが毎度実例に出会すたびに味わい深い気持ちになります。 ところでネット上では仮定法の用例についてあまり網羅的にまとまったサイトがないように思われます。もちろん2nd conditionalはこうで3rdはこうで〜のような教科書の再生産のような説明サイトはあれど、「仮定法時制の伝播」といった現象や、「実際は3rd conditionalだけど2nd cond

          いろんなパターンの仮定法実例まとめ

          面白い人間のフリをするのに疲れた

          面白い人間であることと、笑われどころが多い人間であることでは意味合いがまるで異なる。もちろん私は面白い人間なんかじゃない。生まれつき体に不調が多く、およそほとんどの社会生活がままならない。ほとんどは私自身にも責任があり、そのことついては少しばかり反省することもあるが、決して"笑われどころ"として飲み込めるほど私は器用じゃなかった。 ある程度の年数を生きる中でそれなりに穏便に、笑われずに済む生き方を模索する必要に迫られた。思いつく限りの努力はしたが、結局のところ自分には社会で

          面白い人間のフリをするのに疲れた

          狂わず生きる

          汚い大通りのど真ん中で大声で語らう、鈍感さと厚かましさのサラブレッドが幅を利かせるこの東京を、私はどうにも許せないでいる。この場所で大胆に振る舞える存在は、相手を少し小馬鹿にして愛想笑いを誘うのが楽しいコミュニケーションだと勘違いしている人間だ。生まれ持った不調をどうにかするために四苦八苦し、それでも笑われどころが多いらしいことを自覚しながら生きる私にとって、そんな世間は脅威でしかない。 世間に溢れるカルチャーは時として心の拠り所になり得る。それでもコンテンツの供給に一喜一

          人生における身体性

          つくづく「人間は肉体だ」と思う。広い家、広い部屋、広い土地で生きる人々と、狭い家、狭い部屋、狭い土地に生きる人間とでは、その立ち居振る舞いも、声の出し方も、考え方までも変わってくる。 私は「狭い」人間である。なにせ生まれてから一度も、住まいのおよそ半分の面積を占めるリビングに足を運べた試しがない。 生きることは、人間の実例を増やすことでもある。この二十年間、日本の狭い国土のそのまた狭い東京で生きる中で出会す実例の大半は、「広い」暮らしを送る「広い」人々であるように思われた。

          人生における身体性

          10代の終焉

          ある朝、何か気がかりな夢から目を覚ますと、10代が終焉し、自分が寝床の中で一匹、いや一人の20歳に変わっているのを発見した。人に成ると書いて「成人」と言えど、いくつになっても左右の靴をあべこべに履いてしまったり、自転車に乗ることができなかったり、言うべきことと言わざるべきことを取り違えたり、私はそういう特別誰かが傷つくわけじゃない些細なボタンの掛け違いのある人間のままで、未だに「人成らざる者」の卒業見込みを勝ち得ることはできていなかった。 思えば自分の観測範囲には20代を謳

          夏はバカ

          憎い。夏が……、夏が憎い…。 今は4月も中旬ですが、実質もう""""夏""""ですよ、この暑さ。暑い。暑すぎる。 2ヶ月半に及ぶ春休みも無事に千秋楽を迎え、いよいよ大学が始まりました。2年目、対戦よろしくお願いします。 ……ごめんなさい、負けました!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 暑い!!!!!暑すぎ!!!!!!バカなのかな????バカでしょ!!!??!??!????!?! 人多っ!!!教室狭っ!!!そんでもってあッッッッッッッッッつい!!!!!! 座ってるだけで尋

          4/9 人生リフレイン

          特に何もしていません。強いて言えばキングオージャーを見てあまりにも良すぎて発狂した挙句そのままひとしきりツイートし散らかした後に気絶するように二度寝したくらいしかこの世界に爪痕を残せていない。非生産的な生活態度も板についてきました。 最近また『波よ聞いてくれ』を見てます。ドラマ化するというのもありますが、単純にこのタイミングで見返す必要がありました。儀式、とでもいうのでしょうか、まぁ願掛けのようなもので、3年周期で人生のリフレインをしないと過去を精算できない、そんな気がして

          4/8 カラオケってあんな使い方できたんだね、という日の駄文

          誰が言ったか知らないが、ロン毛の男が見たいのなら下北に行け、というのは本当で、春らしい暖かさが馴染んできた日の下北沢にはいかにもサブカルらしい女性を両脇に抱えたロン毛の男性が複数観測できました。 そんな酒池肉林一歩手前の町、下北沢には多種多様な人間が雑多に偏在しております。老若男女、恋愛強者もいれば、文化強者もいる。そして、カラオケボックスで戦隊モノを見て喚き散らかすオタクももちろん。東京を東京たらしめるのは、寛容と不干渉なのです。 人間の実例に乏しい人生を送ってきたので

          4/8 カラオケってあんな使い方できたんだね、という日の駄文

          4/7 "深夜のファミレス"という文化遺産

          眠れない。深夜2時です。厳密には今は4月8日。今日はなんだか悲しくて家に篭っていました。本を読んだり、物を書いたり、自分に餌付けしたり。やっぱり一日中独りは寂しい。結局、私は独りが得意じゃないみたいです。 退屈を無為に費やすことはなんら厭わない私ですが、孤独を無為に費やすことはできません。孤独は己を成熟させる「嗜好品」ですから、とことん満喫せねば。 以前は、眠ることを保留したい気分の深夜によくファミレスに行きました。深夜のファミレスは良い。ドリンクバーの代え難い豊かさと、

          4/7 "深夜のファミレス"という文化遺産