小難しいことを考えてみる
僕の中で、いつも気になってしまう、小難しいことがあります。
それは「シュミレーションとシミュラークル」という思想です。日常生活では恐らくどうでもいいことなんですが、もともと文学部出身の僕にとっては非常に感銘を受けた考えだったので、それ以来、頭から離れません。ちょっとイキっているように見えるかもしれません。www
この「シュミレーションとシミュラークル」というのは、フランスのジャン・ボードリヤールという哲学者が唱えた思想です。
シュミレーションとは、何か模倣することです。原物や原型があるものを模倣(真似)することです。例えば地図。山や川、道や家があって、それを地図という模倣(コピー)にする。これがシュミレーションの考え方です。もっとわかりやすくすると、シュミレーション・ゲームなんかがそうです。現実世界にある状況を仮想的に再現し、そこでバトルやレースをすることです。
一方、シミュラークルはちょっとややこしくなってきます。これは原物や原型の無い模倣(コピー)です。つまり、考えや思想、仮想的なことが先行し、その先行したものによって原物(あたかも原物であるかのように)をつくることです。
地図で例えると、本来はシュミレーションで例えたように地図は作られていくのですが、シミュラークルの場合は、地図は道や家ができる前に作られます。そう、設計図です。先に地図(設計図)が作られて、それをリアルの世界に具現化されていくのです。こうなると、何が原型で、何がものごとの出発点かがわからなくなってきます。ディズニーランドも例に挙げることができます。あれは完全なる仮想世界を現実に具現化されています。ジャン・ボードリヤールは、「東京もディズニーランドと同じだ」というようなことを述べています。(わかりやすいように意訳しています)
人間が賢くなって、先にコンセプトやイメージ、アイディアを企画できるようになってから、シミュラークルが蔓延しました。
ビジネスに例えると、時系列的には何か始めた先に収益や成功が生まれてくるのですが、最近は、成功を定義した上で何かを始めることが多くなっています。そうすると、うまくいかなかったときに理解不能になったり、失敗したと思うようになります。
僕はビジネスをするにしても、何をするにしても、ますます難しい世界になってきたなあと感じています。
ちなみに、宇宙開拓をしているイーロン・マスクや、そのマスクの民間宇宙船の第一号になったZOZOの前澤社長、他にはホリエモンなんかは、この辺の考えをしっかりわきまえていて、シミュラークルすべきことなのか、それとも真っ新な頭で新領域を切り開いていくことなのかが分かるんだと思います。そういう意味では、ある種バカな部分もあり、秀才な部分もあるなあと思っています。
これからますますビジネスをしていく身にとっては、成功を定義した上で進めていくことと、とりあえずチャレンジしてみること、これを判断し行動していかないといけないと思う次第です。言いかえれば、ゆく先々をわきまえて、ほふく前進するときなのか、フロンティア精神を持つときなのかを考えるということだと思います。