民藝旅 vol.2 沖縄 \原付🛵与那国島探検 3/
グッドモーニング・フロム・与那国島。
時刻は朝6時。
さて、与那国馬とプライベートビーチを探しに出かけよう。
原付初心者にうれしい、誰のお邪魔にもならない道。
どこまでも、自分の好きな速度で走れる。
ひとまず道を東へ、東へ。
東崎の灯台を目指して15分。
ここにいる与那国馬は、みんな女子。
とても人懐こく、なでなでを要求する。うーん、けしからんかわいい。
太陽が登ってきた。
崖をオレンジ色に染めながら、薄雲の向こうに隠れてぼんやり光る。
今日の天気は、くもりだ。
ギリギリの崖っプチから海を覗き込むと、いい感じの砂浜があった。
けれども、どうやったら崖の下にいけるのか、検討もつかない。
国民健康保険には入っているけれど、崖から落っこちた時、医療費カバーできるかな。
無理はしないほうが良いよ、と心の野生児をなだめながら灯台へ向かう。
馬の群を追って、東崎の展望台に近づく。
すると、崖下に続く、やけにクネクネした道が見えた。
お…?
子どもの頃に遊んだ、ニンテンドー64が頭に浮かぶ。
あったよね、視点を変えると行き方が見える仕掛け…そうだ、バ○ジョーとカズーイの大冒険。
馬ともっと触れ合ってから、あの道を下ってみよう。
馬は移動するけれど、道は移動しないんだから。ハ○ーポッターなら、話は別だけど。
* * *
女子の群れに、仔馬が4頭。
お母さん馬にぴったりと寄り添って、草を食んだり、ぼーっとしたり。
人間用の展望台の下で休んだり。
むぞり、むぞり。
馬が草を食べる音って、独特。いつまでも聞いていられる。
なんだか、与那国島って、人と馬の境界線があいまいだ。
みんなそれぞれ、自分の時間を生きている気がした。
* * *
馬と存分にたわむれたので、さっき見つけた崖下道へ行ってみよう。
上から見た感じ、崖下のプライベートビーチまで行けそうだ。
坂道、ちゃんと舗装されてるし、大丈夫〜
…と思ったけれど、原付で下りはじめて後悔する。
かなりの急勾配&ヘアピンカーブの道なのだ。まるで、リアル・マ○オカート。しかも、転んだりぶつけたりしたら賠償金つきの鬼バージョン。
原付から降りたいけれど、坂道を腕の力だけでコントロールできる自信はないし、それこそ原付と一緒に崖から「マンマミーア!」しそう。
脳裏にネットニュースの見出しが浮かぶ。
「ZOZOTOWNお年玉の使い道は賠償金と治療費」
運命を、変えるんだ!
大学入試の試験でも発揮したことのない集中力で、そろりそろり…と下りきった。心臓がバクバク鳴る。帰り道、どうしよう。
* * *
呼吸を整えてから、いざ、プライベートビーチへ。
第一関門、アダンの森。
この植物は、与那国島の海岸によく生えている木で、オレンジ色の実がなる。そして、葉っぱにたくさんのトゲがあるのだ。
前方をご覧いただけるだろうか。
突然の難所。半袖からはみ出たむちむちの二の腕に鳥肌が立つ。
「元気があればなんでもできる!気合いだ!気合いだ!気合いだー!」格闘界の名言リミックスで闘魂を注入して、アダンの茂みを突き破った。
第二関門、倒木。不思議なキノコ付き。
しかし、アダンを超えた冒険者には、こんなミッションちょろいちょろい。
間違って食べる凡ミスをすることなく、倒木地点を通過した。
そして、お次は…
第三関門、岩礁越え。
しかもこれ、ただの岩じゃない。クローズアップして見ていただこう。
めっちゃトゲトゲしてる。触るとめっちゃ痛い。
「なんで来ちゃったんだろう。」と気持ちがしぼむ。
しかし、プライベートビーチまで、あと150mくらい。
ちょこっと頑張れば、きっと素敵なビーチが見られるのだ。
ゴジラの素肌の中に、東京のビル屋上のビール泡モニュメントみたいな岩。
「浅草のう○ち〜」なんて、無邪気なひとりごとは、波音に消える。
岩から岩へ、飛び移る。すぐ隣で大きく波が散る。
こんなことなら、高額の生命保険でもかけてくればよかった。
汗だくになりながら15分。
ようやく、ようやくプライベートビーチに到着した。
くもってる。空が白いから、海の色もぼやぼや。
エメラルド色の海と、白い砂浜を期待してきたので、ちょっと切なかった。
でも、旅ってこういうこともあるから、次に来る時が楽しみなんだよね。
写真をみて気づいた方もいるかな。与那国島は、漂流ゴミが多い。
ラベルを見ると、中国や、東南アジアの言葉が並ぶ。
ゴミが打ち上げられた海岸を眺めていると、頭の後ろから声が聞こえた気がした。
「ひとつでも、拾って帰りなさい。」
鳥取の白兎海岸に続いて、また頭の声。もしや、何かに取り憑かれているんだろうか。いや、病院でみてもらったほうがいいのか。
無視するのも忍びないので、近くにあった、緑色の2Lペットボトルをひとつ、小脇にかかえながら、きた道をゆっくり戻った。
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『さきはら荘』で知り合ったダイバーのお姉さんによると、海の中はさらにゴミで一杯とのこと。与那国島には、黒潮に乗って、東南アジアや台湾方面から流れてきたゴミが流れ着くらしい。このお姉さんは、海中のゴミ拾い活動をしているので、興味がある方、ぜひOkinawa Seaside Laboratoryの活動をご覧ください。プラスチックゴミのこと、海洋ゴミのこと、これからの消費生活を考えたいですね。
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駐輪場にだんだん近く。
やけに暑い。ふと、空を見上げて気がついた。
晴れてる。
さっきまでどんよりとくもっていたのに、西の海から青空がやってきた。
ゴミを拾ったご褒美なのか…?
与那国島はすてきな自然現象が起きる。
まるで、物語の主人公になった気分。
ムシシシとにやける口元を抑えながら、急いで原付にまたがる。
茨城ヤンキーの血が、原付のエンジンに火をつける。アクセル全開。クネクネ坂道なんか、怖くない。
きっと、崖の頂上から見える。青い与那国島がどうしても見たいのだ。
蛇行運転もなんのその。坂道をノンストップでかけあがった。
それは、ため息まで極彩色になるような鮮やかさ。
一瞬の青空だったけれど、奇跡みたいに眩しくてキラキラしていた。
地球にいいことは、するもんだなぁと、外国語のかかれたペットボトルを指で撫でる。
私たちの日常生活が、日用品が、地球にどれだけ負荷をかけているんだろう。ただ、日用品の美しさを極めるだけではなくて、環境負荷の少ない日用品を支持することも、私たちのできる地球の守り方。
* * *
原付は24時間レンタルだったので、もうすぐ返しに行かなくちゃ。
このままずっと、乗っていたい。
与那国島をもう一度訪れる時は、米浜レンタカーで原付を借りよう。
島の織女、ゆりこさんのイチオシなのだ。「ピンク色のかわいい車もあるよ」との伝言を預かってきた。
原付をレンタカー会社さんに返却したあと、うぶる作りのふみえさんから教えてもらった、与那国島のうぶる職人、ゆうさんのご自宅を訪ねてみた。
猫ちゃんがいっぱい。軒下でクバの葉に寝転んでいる。
今日は奥さんが小学校の行事に行っているそうで、明日の午後、クバ仕事の様子を見せてもらう約束をくださった。
* * *
この日はとても蒸し暑かった。
汗びっしょりのもじゃもじゃをみて、ゆうさんが声をかけてくれた。
「近くに水が冷たい浜があるから、連れて行ってあげようか。」
てくてく、徒歩5分。
お墓の後ろにある小さな海辺には、サンゴ礁がびっしり。
「むかし、ここは屠殺場だったさ〜おじいの仕事場でね。よくここで遊んだんだ〜」
水の冷たさよりも、サブ情報で肝がヒュッと縮む。
でも、子どもの遊び場ということは、安全な場所ということ。
いまはなんてことない、綺麗な浜辺。
持ち前の図太さをフルスロットルさせて、脳内のもじゃもじゃを追い払う。
そして、ざぶんと海に飛び込んだ。気持ちいい。
「また明日ね〜」
ゆうさんはそう言って、ご自宅に帰っていった。
体が冷えるまでのんびり、サンゴを踏まないように、あっちへこっちへ泳ぐ。
暇つぶしに、岩礁で寝転んでみる。
暑くなったから、また海で泳ぐ。
与那国の子どもに生まれたら、こんな風に自然の時間を生きるのかな。
ふわふわとした気持ちで宿に帰ると、鏡の中には真っ黒に日焼けしたもじゃもじゃがいた。
「あなたは、だれ…?」
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>マックロクロスケ\( ˆoˆ )/
民藝旅、与那国島編、お楽しみいただけているでしょうか。
原付(バイクでも)で回る与那国島、本当に気持ちが良かったです。
記事にもかきましたが、レンタカーやバイクを借りるなら「米浜レンタカー」がオススメです。空港と、島内に二店舗あるので、非常び便利です。
明日は、ゆうさんと奥さんの「かぶち」づくりの様子をお届けします。
かぶちって何でしょう…?
どうぞ、お楽しみに!
【お知らせ 📖】
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自費出版につき、限定発行となります。
詳細は追ってお知らせいたします🌵
(燃えよもじゃもじゃ!入稿は間に合うのか?!次回、もじゃもじゃ、焦る。)