母 その2

92歳の母は眠っている時間が多くなりました。やすらかそうです。眠れるのは幸せなことかもしれません。

ヘルマンヘッセ「 眠りにつくとき 」
昼に疲れ果てた 今
心からの望みは
星降る夜に抱かれること
遊び疲れた 子供のように

手を使うのはやめよ
 頭を使うのも やめよ
 すべての感覚を
まどろみへと沈ませよ
見張るものなき魂も
自由な翼を得て 羽ばたけ
夜の魅惑の世界で
深く 千代に生きるため

中学生のとき、ヘルマンヘッセの「車輪の下」を読んで感傷にひたりました。(完全な背のび)。読書感想文を書くためでした。

ふりかえって、嫌だった読書感想文も若い頃いろいろな本を読んでおくと、その時はわからなかったことが、今大人になってよりそってくれる気がします。眠ってばかりの母に、素敵な詩のふとんをかけました。


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