デジタル・アートの主戦場 または オンライン・アートショーの現在
今年はほぼ毎月、アメリカ、ヨーロッパ、南米のメディア・ショーに参加しました。参加した半分以上のエキジビションは、展示会場+オンラインです。オンラインだけというのもあります。ますますインターネットがデジタル・アートの主戦場になっています。
20世紀の資本主義アートの価値からは、デジタル・アートのオンライン・ショーは、アートの金銭的な価値がないと考える人が多いでしょう。しかしデジタル・アートのオンライン・ショーは、21世紀アートの新しい展開となるでしょう。
TAA OPEN CALL (The Art Association), Genève, Swiss
上に載せたイメージは、The Art Association が主催して現在YouTube上で行われている「TAA OPEN CALL」というオンライン・ショーです(1月15日まで)。スイス・ジュネーブの TAAはアートを世界共通言語として、平和的な取り組みを推奨する非営利団体です
私のこの作品は、24の言語で自然(森林、草原、初雪、水流)を背景に This Planet is Our Home の各国語の字幕が流れるビデオアートです。詳しくはYouTubeページに作品の概要があります。
このYouTubeのエキジビションは、最終選考に残った19組を視聴者が「イイね!」で選んで、その数で賞者が決められます。ポピュリズムと言えなくもないですが、いろいろあるネット上のアートショーの1つの形です。私のビデオ・アートThis Planet is Our Home に「イイね!」してもらえると嬉しいです。
ファイナル候補に選ばれた19のビデオ作品はこちらです。
TAA YouTube page
作品「This Planet is Our Home」は、始めの森林のパートだけを縦長画面にして、スロバキアのコシツェ市の屋外公共スペースで5月から9月まで展示されました。
今年行われてすでに会期が終わっているエキジビションでも、オンライン版が残っているものもあるので、幾つかその紹介をします。オンライン・ショーは、特定の形式があるわけではありません。
ニューヨーク市バルーク大学「New Media Art Space / Ripples展」に参加した「This Planet is Our Home」が、現在でもネット上で見ることができます。こちらはYouTubeのオリジナル版です(背景5種) 。
"Ripples" Organized by the New Media Art Space
at Baruch College in New York
こちらは主催者が作ったエキジビションのスプラッシュ画面が現れ、それぞれの参加作品にリンクする形です。
私の作品「This Planet is Out Home」は、5種類の背景の短編に分かれています。内容は上にあるTAAのバージョンとほぼ同じです。
私のビデオ・アートのテーマは大きく2種類あります。上記のようなエコロジー & アントロポセンをテーマとする社会性のある作品。
もう1つは、デジタル・データから知覚・認識の関連を探求するプログラミング・アートです。これには、現在メディアの記録はすべてバイナリーが使われている、という思想が根底にあります。
後者の今年の代表作は「Begins with Chaos - Lascaux」で、現在オンライン・ショーに載っているサイトを紹介します。この作品は今年6つのメディア・フェスに参加しました。また来年3月のフランス、ツールーズ市でのフェス参加が決まっています。
Digital Video Art International Streaming Festival 2024
Vienna, Austria, PREMIER SEASON 3
ウィーン市に本拠を置く「Team goes:art」2024年フェスティバルでは、主にポストデジタルリアリティをめぐる問題を扱った作品を集めています。2024年7月から始まったこのフェスは、毎月10作前後の「PREMIRE SEASON」にまとめて発表されて、12月現在「PREMIRE SEASON 5」が進行中です。
このショーは大規模な構成で、会期は2024年7月に「PREMIERE SEASON 01」が始まって、ほぼ1か月ごとに10組前後のアート作品が開幕されます。先日「PREMIERE SEASON 05」が始まりました。上のイメージに付けたリンクは「PREMIERE SEASON 03」です。
エキジビション総合のホームのリンクは下のイメージに。
私の作品は SEASON 3: Begins with Chaos - Lascaux と SEASON 5: A Sunday Afternoon on the Island of La Grande Jatte の2作が選ばれました。どちらも視覚データを、ワンタイム・パッドという暗号・復号技術で音楽データに変換した作品です。
ALL STREET GALLERY Online Solo Show
March, 2024, New York City
上記の「SEASON 5: A Sunday Afternoon on the Island of La Grande Jatte」は、ニューヨークの ALL STREET GALLERY の オンライン・ソロショーにも選ばれています。
このオンライン・ショーはギャラリー(主催者)のウェブページに、作品のイメージ、ビデオ、概略等があって、そこからアーチスト自身のプロジェクト本体のページに飛ぶ形式になっています。
オンライン・アートショーは形式として整っていないので、それぞれの主催者が独自に新しい形を開発中の面白さもあります。
今年は少しAIを取り入れた作品を開発するつもりでしたが、まだどうもはっきりした方向が見えていません。現在のほとんどのAIのアートは、過去のデータの寄せ集めで、私の目指す方向を向いていません。来年何か見えてくると良いのですが。