「バイナリによる視覚データの音楽的解釈」ポートフォリオ 2021-2022
2021年から始めた絵画、写真、映画のデジタル・データから、音楽を取り出すプロジェクトのポートフォリオ(2021年から2作品、2022年から10作品を厳選)から、アーチスト・ステートメント、プロジェクトの概要、並びに作品画像をここに載せます。画像のクリックでビデオ作品が開きます。
アーチスト・ステートメント 2022
私は、見ることと聞くことには、関連があると考えてきました。このプ
ロジェクトは、コンピューター・アートとしてそれを試みています。
COVID-19 パンデミックの後、私はビデオ撮影のために、外出することを控えていましたが、すぐにアートの素材として、パブリック ドメインの絵画、写真、映画等を、ウェブからダウンロードできるのに気づきました。これはデジタルの世界から、アナログアート史を振り返る良い機会でした。
現在、人類史に現れたメディアは、すべてデジタルに還元され、バイナリで記録されています。洞窟のアーチストは、土の顔料を発見して絵を描き始めました。私は洞窟アーティストの顔料のように、最も基本のアートマテリアルとして、バイナリを考えています。バイナリのデータは、他の感覚データと交換ができます。それが実用的で、商業的な価値があるかどうかは、別の話です。私はアートについて話しています。バイナリは電気的なオンとオフです。物質としては空です。バイナリはクリーンで、気持ちを軽くします。
21世紀は、地球環境を含めた文明の大きな変化の時代です。近代世界は、物質的欲求を拡張しすぎました。気候変動活動家の荒らし行為には、同意できませんが、彼らの行き場のない感情には、ある種の共感を覚えます。前世紀以来、私たちはこの地球上であまりにも多くの、物質的な芸術作品を作ってきました。美術館はまもなく、多すぎる現代アートを保管できなくなるでしょう。アーティストが地球にできる最低限の事は、アートワークという名前のゴミで、地球環境を汚染したり破壊したりしないことです。今私たちは現代物質世界の、美意識と価値観を変えなければなりません。
バイナリによる視覚データの音楽的解釈
プロジェクトは、画像のデジタル解析から視覚と聴覚の関係を探り、アート&テクノロジーのビデオを作成します。コンセプトは20世紀初頭の画家ワシリー・カンディンスキーと、作曲家アレクサンドル・スクリャービン( 参照ビデオ: https://youtu.be/V3B7uQ5K0IU )が探求した、別々な視覚・聴覚を統合する表現を受け継いています。このプロジェクトは20世紀の先人を継承し、コンピュータによる複数感覚の融合と互換性を、21世紀の新たな進化と捉える実験アートです。
アーティストの小島健治は、見ることと聞くことは関連があると考えています。小島は画像ピクセルのRGBカラー値を音符に変換し、コンピューター楽器で演奏する、アルゴリズム作曲プログラムを開発しました。このプロジェクトの基礎的な技術はその上にあります。プログラムは、音階の中央の C をRGB値の120 に定めています。この数値は HyperTalk のメソッドに対応しています。HyperTalk は1990年代にポピュラーだった、スクリプト・コンピューター言語です。
プログラムは、暗い色には低い音の値を設定し、明るい色には高い音の値を設定しました。プログラムはこれまで何度もアップデートされて、最近の重要なアップデートは、ビデオから音楽を作成できるようにしました。ビデオには膨大な量の視覚データが含まれていますから、プログラムはデータを削減するため、モザイクを作成しいくつかのグリッドのデータを、ランダムに選択して音符に変換します。
この無作為に選択された視覚的統合方法は、カリフォルニア大学の最近の研究に基づいて構築されています。この研究によると、私たちの脳は異なるバラバラの視覚情報を組み合わせて、安定した環境認識を作成します ( 参照ビデオ: https://youtu.be/Lub3lsJdko0 )。次にビデオ・ キャプチャ・アプリケーションで、プロジェクト・プログラムが色彩から音楽を作成するプロセスを撮影します。
以上がプロジェクトの基本的な流れです。このプロジェクトでは、ビジュアル・テーマに古典絵画のイメージと、古い映画を使用しました。このページには、最近の作品から選んだ12のビデオ作品の画像を載せています。各ページに短い説明があります。画像はアートワークビデオにリンクされています。ビデオはフルスクリーンに設定してください。
このプロジェクトは、コンピューターのアルゴリズムが人間の感性を再現できるかどうか、そして異なるコンピューター・データの交換が可能かという実験的なアートです。同時にこのプロジェクトは、将来のアートの役割について考慮しています。
アーティストの小島健治は、バイナリを洞窟アーティストの顔料のような、基本的なアート素材として扱っています。人類の歴史に現れたすべてのメディアは現在、デジタルデータで構成され、バイナリで記録されています。バイナリは文字で表現された 0 と 1 ではありません。バイナリはデジタル・アートに不可欠です。バイナリは、電気的にオンとオフです。物質的にバイナリは空です。空から有を作成します。これは新しい美術史の始まりです。私たちは今、さまざまな価値観の世界にいます。
ポートフォリオ PDFファイルのリンク
KenjiKojima_Portfolio_2022-English
KenjiKojima_Portfolio_2022-Japanese