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8月30日

毎日、空があまりにも濁って気持ちまで押しつぶされそうになる。そんな気持ちに負けないよう美味しいスイカ味の飲み物を探し求めてチャレンジしてみた。前回の方がスイカ味で良い。カブトムシだってこれは好きじゃないかも。こっちは何故かスイカにはないはずの酸っぱさが勝っていている。6本も買っちゃったのに。

2008年の8月の終わりはボストンから電車で1時間ちょっとで行ける小さい美しい街にいた。娘が一番行きたがっていた大学に入学したからだ。この大学からは合格通知が3月の半ばをすぎてもなかなか来なくて娘も少しあきらめモードですでに通知が来た学校から選ぼうか悩んでいた3月31日にそれはそれは心のこもった手書きの合格通知を頂いた。今でもちゃんとってあるといいんだけど。きっとないだろう。

そこを選んだ理由はサンフランシスコの近代美術館である写真家の展示を見たところから始まったのだが長くなるのでまたいつかの日記に書こう。娘曰く見学に行った時にその街の空気やキャンパスに触れ、ここで勉強できたらいいなあと強く思ったそうだ。大学巡りはあちこち私も仕事の休みを取って行った。受験に至るまでもいろいろ母娘バトルなどもあったけど一番行きたい場所に行けることになった娘を精一杯応援しようと一緒に夜中のフライトでボストンに飛んだ。寮で使う大きいものはあらかじめオンラインで買って入寮前に3泊するホテルに送っておいた。着いてからは細々したものをまた買い物に行ったり、街を散策した。小さい街なので大学の周りは歩いてあちこち行けそうだ。大学在学中にお隣のデザインスクールでクラスも取れるのでそこも一緒に見学に行った。

楽しく過ごしていよいよ入寮の日。アメリカでこの時期になるとよく車などの宣伝で巣立っていく娘や息子が車に荷物をいっぱい詰め込んで涙を浮かべながら両親とハグをするというのがある。とうとう私もその日を迎えたのだ。カリフォルニアからは遠いこの街で明日から大丈夫なのかしらという心配と寂しさで入り混じった気持ちで前日は寝れなかった。お別れの時にハグしたらきっと泣いちゃうだろうな、でも湿っぽくはなりたくないと思っていた。この街並みに溶け込むような寮も赤いレンガ作りだ。荷物を運びながら寮の設備を見るとかなり古い建物だが中は改装してきちんとしていた。女子寮、男子寮ではない男女共に住む学生寮。びっくりしたのはトイレ、シャワーが男女の区別なくみんなで使うらしい。荷物を運び入れて、中も一通り見せてもらいドアの前でいよいよお別れだ。娘の旅立ちに言いたいことをグルグル考えていると娘が「ママ本当にありがとうね。じゃあね。バーイ。」軽くハグをしてきてバターン。目の前のドアが閉まった。『えっ』残された私はまさかの展開に涙が引っ込みクスクス笑いながらホテルに歩いて戻った。娘らしい。湿っぽいのは私も嫌だからこれでいい。後で聞いた話だが私が娘の入寮を手伝って荷物を運んで行ったり来たりしていた同じ場所でハリウッドで有名な映画監督も娘さんの入寮のためにご自身がいろいろ荷物を運んでいらしたとか。運ぶのに必死で残念ながら気づかなかったなあ。あんなに有名な人でも子供のためには同じなんだと思ったらバターンと目の前でドアが閉まった時に感じた胸のせつなさが吹っ飛んだ。娘に笑われそうだがお母さんはミーハーで単純なんです。

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