地図に無い街
いつも濡れた町
店が始まる前から降っていた。
傘を失くした人が歩いてる
歩きながら歌っていた。
咳込みながら酒を吐く。
歌いながら独り笑ってた。
いつも濡れた町
店が終わっても降っていた。
打たれながら雨を見上げてる
湿った煙りは臭いが濃い。
咥えたまま独り探していた。
今日も町には雨が降り
奥の席で夜を探していた。
あれから誰かが死んだと聞いた。
誰かが誰かと知らないが泣いた。
今日も誰かが死ぬのだろ。
いつも誰かが死ぬ町で。
独りきりの雨に打たれれば
傘を差さずに死ぬのだろう。
それでも雨は降っている。
吸い殻だらけの町を洗う。
煙草を咥えながら死ぬのだろう。
笑えば口から溢れるから
笑わぬ様に。
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