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【書評】みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

<本の概要>


みずほ銀行が19年越しに完成させた勘定系システム「MINORI」に関する開発秘話を記した本。2002年と2011年に起こった大規模システム障害の背景についても説明した上で、「MINORI」がどのような経緯で開発されていったのかを細かく記載している。本書は2020年2月に発売されており、「MINORIという素晴らしいシステムができた」というハッピーエンド的な描かれ方になっている。その後2021年にも数度に渡ってみずほでは大規模障害を繰り返すことになるが、その内容は記載対象外である。

<この本を読んだきっかけ>


あまりにも酷いと酷評されるみずほのシステムに関して、どうしてこんな事になっているのかを知りたいと思った。直近プログラミングを勉強中ということもあり、多少は専門的な話にも理解が追いつくのではないかと思った。

<読書後の感想>

全12の章に分かれているが、正直同じ事を何度も繰り返し説明しているので、まとめれば1/3くらいになったのではないかと思う。また、淡々と起こった事実を書き続けているので、ドキュメンタリーではなく報告書を読んでいるような気分が近かった。反面教師という意味でも具体的な検討過程を知れたのは良かったが、2度読む内容ではなさそう。

また、前述したように「MINORI」の完成を賞賛して終わる内容なので、「ここまで時間と金をかけて作ったのに、なぜ障害が無くならないのか」的な続編はぜひ読んでみたいと思う。

<本を読んでの学び>

①議論で決まった方針を、覆すために再度蒸し返す行為が愚かであることが改めて再認識できた。本書の中でも「第一勧銀のシステムに投合すると一度は決まったものの、後になって富士銀が再度その前提に疑問を投げかけた」というような趣旨の記載があった。

就職面接のグループディスカッションでも「一度決まった事を蒸し返すのはご法度」的な事を言われた事を思い出し、それでも実際は大企業でも派閥争いの中で同様ことが起こるのかと思うと悲しい気持ちにはなった。

②トップダウンで決め切ることの重要性。上記の蒸し返し議論も、現場レベルで話し合いをするから起こるのだと本書に記載されており、私も同じ事を感じた。本当に重要なことはトップの判断で決めて、現場を強引にでも納得させることが時には大事なのだと改めて感じた。とはいえ何でもトップダウンではただの独裁政権になるので、加減の難しさも勿論あると思う。

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