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六法にマーカーをどう塗るか


◯はじめに

神戸大学法学部の法律科目(一部例外あり)ならびに、神戸大ロー入試では、指定六法の持ち込みが認められています。そして、この六法には一切の書き込みが禁止されていますが、マーカー/ラインを引くことは禁止されていません。

このマーカー/ラインをうまく活用して、少しでも有利に戦ってやろうというのが、私が学部試験からロー入試までの一貫した発想でした。実際に、これを工夫することによって、点数はかなり変わると私は考えています。

そこで、今回は私が実際にロー入試に持ち込んだ六法の写真と共に、どのようにマーカーを引くべきかを紹介しようと思います。


◯「マーカーは何色も使え!」

まず、マーカーを引いて良いと言われていて、何色までにしなさいという指定はありません

そこで、マーカーを何色か用意して、使い分けて引くことによって、試験中の自分に対してメッセージを伝えようと考えました。

以下では、私の実際にやっていた使い分けを紹介します。色は自分で好きに変えてもらって結構ですし、私はやりすぎくらい引いていたので、いくつかの色は削ってもらっていいと思います。

  1. 使う条文は黄色で引いておけ!

  2. 解釈が問題となる文言はオレンジ色で引いておけ!

  3. 定義条項はピンク色で引いておけ!

  4. 忘れがちな条文は緑色で引いておけ!


◯1.使う条文は黄色で引いておけ!

私は、授業中やレジュメで出てきた条文は黄色で引くようにしていました。重要なものは平塗りして、やや重要度が落ちるものは線で引いていました。

こうすることで、試験中に、試験に限りなく出る可能性が低い条文と出る可能性が高い条文を一瞬して見分けることができます。特に条文が多い民法や会社法などでは、これによって条文検索効率が上がります。

黄色マーカーの例

・119条などで、引いている引き方が平塗り
・123条などで、引いている引き方が線で引く形

例のように、重要な条文が続くところだと、ほとんどが黄色になってしまうことも多いです。なお、2〜4のマーカーはこの黄色のマーカーの上から重ね塗りすることになります。


◯2.解釈が問題となる文言はオレンジ色で引いておけ!

最も、助けになるのが、このオレンジマーカーです。このマーカーは解釈が問題となる文言、すなわち論証展開(規範の展開)が必要となる文言に引きます。例えば、民法177条であれば、「第三者」がそれにあたります。

177条の「第三者」には、「当事者及びその包括承継人以外の者であって、当該物権変動の登記の不存在を主張するにつき正当な利益を有する者」に限定すべきという有名な論点があります。そのため、オレンジマーカー対象となります。

オレンジマーカーの例

このマーカーが引いあれば、177条を引くときに「第三者」は重要な論点だったと気づくことができます。これにより、論点のドロップを避けることができるのです。177条のような有名な論点であれば、ドロップしない人が多いと思いますが、すべての条文について必要な文言の解釈を想起できるかとなれば、このマーカーの有用性は言わずもがなだと思います。

また、少し切れていますが、185条のところには、「新たな権原」に平塗りではなく線でオレンジが入っています。これは、相続の場面で、この文言に関連する重要論点があるため引いています。いつもではないけど、場面によっては論点となり得る文言には線でオレンジを引いていました。


◯3.定義条項はピンク色で引いておけ!

ここからは、少し登場回数が減るマーカーになります。私は、定義の書いてある条文はピンクで引いておくと決めていました。

条文に定義があるものは当てはめを条文を使ってするのが確実です。そのため、意識して弾けるようにという趣旨で引くようにしました。また、会社法などであれば、定義が当該条文より前でなされているというケースも多いので、そのような条文をすぐに引けるようにという目的もあります。

前者の例は、行政手続法でしょう。
理由の提示の論点などを述べる前に、必ず「不利益処分」の認定を定義に則して当てはめるようにしていました。

ピンクマーカーの例①


後者の例は会社法838条2項です。
この条文に、株主等の定義が書かれています。これは、後に緑マーカーの例で出てくる831条1項(株主総会決議取消の訴え)の「株主等」の定義にもなります。この定義を押さえていないと、「株主等」に取締役(特に株式を保有していない取締役)が含まれるか迷うと思います。「株主」という文言に引っ張られて取締役は訴えを提起できないという結論にしてしまう可能性があります。

ピンクマーカーの例②


◯4.忘れがちな条文は緑で引いておけ!

人それぞれ、落としてしまう要件というのがあるはずです。
そこで、私は、そのような忘れがちな要件については緑マーカーをつけることで、意識的に試験中に注意喚起させようと考えました。

例えば、先ほど説明した831条(株主総会決議取消の訴え)には、裁量棄却の余地があり、これが同条2項に規定されています。この検討を私はよく忘れてしまうので、2項の「2」の部分に緑マーカーをつけて目が行くようにしていました。

緑マーカーの例


◯終わりに

実は、このようにマーカーを引くのは、学習効果としても高いと思います。引いているときに条文を意識して勉強をすることになるので、条文出発の答案を書けるようになります。いわゆる論点主義を避けられることに繋がるはずです。

途中には、具体的な条文や論点の例も出しながら説明しました。私も勉強中なので、もしかしたら間違っているかもしれません。そのときには、下記の質問箱か、XのDMにてご連絡ください。修正を致します。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
読者の皆さんの学習の手助けとなれば幸いです。

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