健康:栄養学:EAAはお金の無駄?EAA否定派の根拠
今回のブログはEAA(必須アミノ酸)やBCAA(分岐鎖アミノ酸)のサプリメントの効果に関するものです。フィットネスの専門家や人気YouTuberたちは、これらのサプリメントを摂取することで筋肉の成長が促進され、維持もしやすくなるといっていますが、彼らの言うとおり、EAAを摂ることで筋肉の合成反応が改善され、分解が防げるのでしょうか?
また、EAAがプロテインサプリメントよりも吸収速度が速いというのは、実際に筋トレの成果にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
実際私も日本を代表するボディービルダー山本義徳氏の著書を参考にしてEAAの有効性を書きました。
山本氏はEAA肯定派の意見として書きましたが、今回は否定はの意見を書いていきます。
一見、筋肉増強や維持に欠かせない奇跡のサプリメントのように思えるEAAですが、実際にはその効果には根拠があるのか、科学的な検証を通じてその真実に迫ります。EAAサプリメントの摂取が、筋トレ中のパフォーマンス向上や筋肉回復において、本当にコストパフォーマンスが高いと言えるのか、それとも市場に溢れる情報の中に誤解があるのかを徹底的に解析します。
肯定派、否定派の意見を両方落とし込むことによって、判断材料の一つとしていただけたらと思います。EAAサプリメントの効果を科学的根拠に基づき検証し、その必要性を再評価してみましょう。
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EAAについて
EAAブレンドサプリメントは、筋肉の構築と維持に不可欠な必須アミノ酸を提供するために設計された製品です。人体は、自身で生産できない9種類の必須アミノ酸を含む、合計で21種類のアミノ酸を使用してタンパク質を合成します。この数字は、伝統的に言われている20種類から、2012年の研究でセレノシステインが加えられたことにより21種類となりました。
アミノ酸は、筋肉の成長、修復、維持において極めて重要な役割を果たします。これらはタンパク質の構成要素であり、タンパク質を摂取することで体内に補給されます。必須アミノ酸は体内で生成することができないため、食事やサプリメントを通じて外から取り入れる必要があります。一方で、残りの12種類は非必須アミノ酸として知られ、体内で生成することが可能です。
必須アミノ酸の不足は、筋肉の成長に悪影響を及ぼすため、適切なタンパク質の摂取またはEAAサプリメントを通じてこれらのアミノ酸を補うことが推奨されます。EAAサプリメントは、これら必須アミノ酸を集中的に補給し、筋肉の合成を促進することを目的としています。しかし、EAAサプリメントの効果については、科学的根拠が不足しているか、誤解されているケースが多く、その有効性には議論があります。一部の研究ではポジティブな効果が示されているものの、これらのサプリメントが提供するメリットが実際に証明されているわけではなく、より多くの科学的検証が必要とされています。
EAAサプリメント、特にその中でもよく知られているBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸)やHMB(β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート、ロイシンの代謝物)の効果に関しては、多くの科学的研究が行われています。
これらのサプリメントは、筋肉の合成反応を促進し、筋肉の分解を抑制することで、筋肉量の増加に貢献すると広く信じられています。しかし、これらの主張を支持する科学的証拠は、一貫しているわけではありません。
BCAAとHMBの研究結果
BCAAに関する多くの研究では、特にロイシンが筋肉の合成反応を強化することが示されています。これは、筋トレ中における合成反応の増加と分解反応の減少により、理論的には筋肉量が増加する可能性を示唆しています。実際に、いくつかの短期的な研究では、BCAAやHMBの摂取が筋肉の合成を促進し、分解を抑制することが報告されています。
しかし、2023年のメタ分析など、より広範なレビューを行った研究では、BCAAの補給が筋肉の分解を抑える可能性はあるものの、実際の筋肉量の増加やパフォーマンスの向上にはつながらないという結論が出されています。これらのレビューは、複数の研究結果を総合的に分析し、BCAAやHMBサプリメントの使用が筋トレにおけるパフォーマンスや筋肉量の増加に有効であるという証拠は不十分であることを示しています。
筋肉の合成と分解に関する理解
筋トレを行う際、筋肉の合成と分解は同時に発生します。アミノ酸の摂取は、理論上はこのプロセスに影響を与え、筋肉の成長を促進すると考えられています。
しかし、実際には、トレーニングの質、全体のタンパク質摂取量、および栄養状態が、筋肉の成長にはより大きな影響を与えます。多くのトレーニーが日常的に摂取するタンパク質の量は、すでに筋肉の合成を最大限に促進し、分解を抑制するのに十分であることが多いです。
吸収速度の議論
EAAサプリメントの吸収速度が速いという主張については、メノ・ヘンゼルマンズ博士による分析など、科学的検証が行われています。これらの研究では、EAAとホエイプロテインの吸収速度に大きな差はないことが示されています。人体は、長年の進化の過程で、食事から摂取したタンパク質を効率的にアミノ酸に分解し、吸収する能力を発達させてきました。そのため、EAAを直接摂取することのメリットは、理論的なものに過ぎない可能性があります。
EAAサプリメントに関する科学的研究は、その効果について複雑な結果を示しています。一部の研究では筋肉の合成反応の促進や分解の抑制が観察されても、これが長期的な筋肉量の増加やパフォーマンスの向上に直結する証拠は限定的です。筋トレの効果を最大化するには、適切なトレーニングプログラムとバランスの取れた栄養摂取が最も重要であり、EAAサプリメントの摂取は補助的な役割に留まる可能性が高いです。
EAAサプリメント、特にBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)やHMB(β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート)が筋肉の合成を促進し、分解を防ぐという主張に対する科学的根拠は複雑であり、一部は明確な証拠に欠けることが指摘されています。サプリメントの効果を宣伝する際、消費者の注目を引くために、科学的根拠に基づかないメリットが強調されることがありますが、EAAサプリメントに関してもこの傾向は例外ではありません。
研究結果の具体的な検証
EAAサプリメントの最大の課題の一つは、その効果が科学的研究によって一貫して証明されていないことです。例えば、BCAAとHMBは筋肉の合成を促進し、分解を防ぐとされますが、これらの効果を裏付ける研究結果は一貫性がありません。2008年の研究では、高齢者を対象に、ホエイプロテインとEAAサプリメントの比較が行われ、ホエイプロテインの方が筋肉の合成反応をわずかに促進する効果があることが示されました。この結果は、EAAがホエイプロテインに比べて優れているという根拠が弱いことを示唆しています。
EAAサプリメントの問題点
EAAサプリメントが直面している問題の中心は、その価値がプロテインサプリメントと比較して超越していないことです。EAAサプリメントが筋肉の合成反応を促進するとされるものの、多くの場合、食事やプロテインサプリメントから得られる全てのアミノ酸を摂取することで同様の効果が得られます。さらに、EAAサプリメントは一般的にプロテインサプリメントよりも価格が高く、そのコストパフォーマンスに疑問が投げかけられています。
業界におけるEAAブレンドの問題
EAAサプリメント市場のもう一つの問題は、サプリメントの配合比率が製造業者によって決定され、これが必ずしも最適な比率とは限らないことです。必須アミノ酸の理想的なブレンドを作成することは複雑であり、多くの場合、業者はコスト削減や市場での競争力を考慮して配合を決定しています。これにより、消費者は価格の割には科学的根拠の乏しい製品を購入するリスクがあります。
EAAサプリメントには、筋肉の成長やパフォーマンス向上に対する潜在的なメリットがあるとされていますが、これらの主張を支持する科学的証拠は限定的です。特に、プロテインサプリメントやバランスの取れた食事から十分なアミノ酸を摂取している場合、EAAサプリメントの追加的な利益はほとんどない、または全くないことが示されています。したがって、EAAサプリメントを購入する前に、その効果、コスト、および自身の栄養状態を慎重に評価することが重要です。