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3分で人物史 | 《前編》シシィの姪 - エリザベート・ド・バヴィエール

エリザベート・ド・バヴィエールは、1876年7月25日生まれ バイエルン出身、後にベルギー王室に嫁ぎ王妃となった人です。

(1815年のバイエルン王国 by Alphathon 
CC BY-SA 3.0 Wikimedia Commons)

◆概要

名前が同じでややこしいですが、ミュージカルで有名なオーストリア皇后・エリザベートの姪にあたります。
(↑名前はこの皇后エリザベートから貰いました)



夫がベルギー国王に即位した5年後、第一次世界大戦が起こります。

その際は王宮やホテルを利用して病院を設置し、自らもそこで医師の手伝いをしたり 看護師や負傷兵を励ましたりしていました。


また第二次世界大戦中は、ナチスドイツ占領下の中 自身の母国語であるドイツ語を使い、ユダヤ人の子供約100人を収容所送りから救い出しました。

更にその一方で芸術や学問に関心を寄せたり、共産主義に傾倒したりします。

とにかく偏見がなく幅広い分野に興味があった王女でした。
今回は、そんなエリザベートの人生を詳しく見てみたいと思います。
全3話です。

◆変わり者の父

エリザベートを語るには、彼女の父の存在が欠かせません。
遠回りになりますが、まずは父親の人生を簡単にご紹介します。

エリザベートが生まれたヴィッテルスバッハ家とにかく風変わりな人が多かったのですが、彼女の父もなかなか異色の人でした。

《変わり者一族ヴィッテルスバッハ家の面々》

・バイエルン公マクシミリアン
子供達と変装して街で大道芸人を演じる

・オーストリア皇后エリザベート
夫と子供を置いて放浪の旅に出る

・バイエルン王ルートヴィヒ2世
騎士伝説に憧れて城を建てまくり、王家の財産を使い果たす。あだ名は「狂王」「メルヘン国王」



そんなヴィッテルスバッハ家の一員であるエリザベートの父カールは、バイエルン王国の貴族でした。

軍隊に従軍したのち大学で哲学、法学、経済学、薬学を学びます。
1870年普墺戦争に駆り出されますが、戦後更に薬学を学び、眼科医となります。

(エリザベート父)

もう1度言いますが、彼は貴族です。
それにも関わらず自身の城を利用して何と
眼科医院を開業します。

現代の感覚だと貴族で医者なんて超ハイスペック!と思ってしまいますが、当時のウィーン宮廷は父カールやその家族を「浮浪者の一団」と笑い者にしていました。

やがてミュンヘン市内にも開業するのですが、この病院は今でも残っています。

(エリザベート父の名がついた
カール・テオドール公眼科医院。by Rufus46 
CC BY-SA 3.0 
Wikimedia Commons)


父カールは貧しい人達への診療も行い、看護師である妻もそれを助けました。

エリザベートは、両親がこのように誰にでも分け隔てなく治療を施す姿に影響を受けたと言います。

(エリザベート両親)

実はエリザベートは父カールの2番目の妻の子
カールは最初の妻と結婚からわずか2年で死別していたのです。
そういった経緯があり、彼は医者を志すことになったようです。

◆少女時代


エリザベートに話を戻します。

カールは最初の妻との間に女の子が1人、2番目の妻との間に5人の子供がいました。

(1880年、エリザベート4歳頃 母と姉、妹と。)

エリザベートと妹マリーは、バイエルンにある寄宿学校でドイツ語、フランス語、英語を学び、ピアノやバイオリンも習っていました。

(1880年代 姉、妹と。)


また家族で北アフリカを訪れ、またアフリカの遊牧民族・ベドウィンに会ったりと珍しい経験を積むのでした。

(ラクダに乗るベドウィン族、CC BY 3.0
Wikimedia Commons)

◆運命の出会い…か⁉︎

1897年、エリザベートの叔母であるゾフィー・シャーロット公爵夫人の葬儀で、未来の夫となるベルギーのアルベール王子と出会います。

(子供の頃のアルベール)


この公爵夫人は、アルベール王子の姉アンリエットの義母でもありました。


実は将来の夫アルベールは、この時点ではオルレアン家のイザベル王女と結婚したいと考えていました。

(オルレアン家のイザベル)


しかし、政治的な理由から当時のベルギー国王はイザベルとの結婚に反対。
アルベールは意気消沈します。

一方、エリザベートを気に入っていたアルベールの姉アンリエットは、彼女を弟に再び会わせたいと考えるのでした。


続きます。

次回、エリザベートとアルベールが再会。
運命の再会となるのでしょうか…?

↓続きはこちら↓

参考

Wikipedia: 日本語英語フランス語
Unofficial Royalty

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#世界史がすき


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