3分で人物史 | 《第6話》ロマノフ朝ラストエンペラーの母 - マリヤ・フョードロヴナ
ロマノフ朝時代のロシアに嫁いできたものの、46歳の時 皇帝である夫に先立たれたマリヤ・フョードロヴナ。
夫亡き後は、マリヤの長男がニコライ2世として皇帝に即位します。
しかし、長男は何事も自分だけでは決められない性格。
しかも、マリヤと夫が渋々結婚を許した長男嫁アレクサンドラは なかなか後継者の男の子を産めず、いつまでもロシア宮廷に馴染めませんでした。
マリアは持ち前の社交性を活かして、息子に代わって政治をサポートするようになります。
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◆長男の後継者誕生
そんな中、長男ニコライ2世と嫁アレクサンドラの間に待望の男児が誕生。
待ちに待った吉報かと思いきや、この事がロマノフ王朝を破滅に追いやるのです――。
別にこのかわいらしいお坊ちゃんがクーデターを起こして帝国を破滅させたとかそういう訳ではなく、
アレクセイは当時難病とされた血友病にかかっていたのです。
◆王家の病、血友病
血友病とは、少しの出血でも血が止まらなくなり、生命の危険に繋がる病気。
当時はまだ治療法が確立されていませんでした。
この頃 血友病について分かっていた事は、
アレクセイの母アレクサンドラは、ヴィクトリア女王の孫。
アレクサンドラが血友病の遺伝子を持っており(女性なので発症はしない)、更に遡るとアレクサンドラの母(アレクセイの祖母)がヴィクトリア女王から血友病の遺伝子を受け継いでいた事になります。
マリヤが、長男ニコライ2世とアレクサンドラの結婚に際しもう一つ危惧していたのは、この「血友病の遺伝」でした。
嫌な予感が見事に的中するのです。
◇
血友病の子供を産んでしまった事で、アレクサンドラはますます自分の殻に閉じこもります。
元々社交的なマリヤと内向的な嫁アレクサンドラは折り合いが悪かったのですが、この後嫁はますますマリヤを遠ざけようとします。
そして、アレクサンドラはあの悪名高き男に心酔してゆきます――
◆怪僧ラスプーチン
アレクセイの血友病は公然の秘密でしたが、ある日彼の病気を治してみせましょうという男が現れます。
男の名前はラスプーチン。
シベリアの農村生まれで読み書きも出来ない彼でしたが、不思議な力でアレクセイの病状を治したという事で、ニコライ2世と嫁アレクサンドラは ラスプーチンに絶大な信頼を置くようになります。
しかしマリヤをはじめ、国中誰もが彼の存在を怪しく思います。
マリアはニコライ2世夫婦にラスプーチンと距離を置くよう進言しますが、嫁に逆らえないニコライ2世は黙ったまま。
更にアレクサンドラは「それは出来ない」と姑であるマリアに逆らい、とりつくしまもありませんでした。
◇
そう言った経緯もあり、マリヤはアレクセイが生まれた頃から徐々に外国へ出かける事が増えてゆきます。
そして、子供達の中でいちばん可愛がっていたニコライ2世とも、物理的・心理的に距離が離れていくのでした。
次回、最終話。
ついにロシアで革命が起こります。
マリヤの運命は?
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参考
残酷な王と悲しみの王妃 2 (集英社文庫)
Wikipedia 日本語