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一日ひとかけらのチョコレート

冷蔵庫の中にレシートが入っている。

買い物した商品にレシートがくっついたまま冷蔵庫に入れたとか、買い物をしたときに袋にレシートを入れて、その袋ごと冷蔵庫に入れたとか、ズボラあるあるではなく、今回はれっきりとしたある目的のために、レシートを入れているのだ。


「好きなおやつは?」と聞かれると
「チョコレート!」の即答だ。
今でもおやつを買うとなるとチョコレートを選ぶ頻度が高いし、ケーキやドリンクもチョコレートが入っているものをついつい選んでしまう。

子供の頃は小遣いからおやつを買っていたが、少ないお小遣いからチョコレートを買うのは清水の舞台から飛び降りるぐらいの覚悟が必要だった。

でもおやつはチョコレートが食べたい。
そんな子供の私が編み出したのは板チョコを1枚買って、14等分し、ひとかけらずつ2週間かけて食べるというみみっちい方法だった。

夏場以外は私用で使う鞄の中に割った板チョコレートを忍ばせていた。棚や冷蔵庫に入れると家族に全て食べられていたことがあったからだ。ずっと鞄の中に入れていて、よく蟻にたかられなかったものだ。

大人になってからは流石に板チョコ一枚を等分するようなことはなくなったがら代わりに大袋に入っているチョコレートを買って、1日一つずつ食べるようになった。大量に入っているかつ安い物をつい買ってしまうのだが、数量とお値段だけで判断するとどうも満足度が足りない。結局、一つで治らず二つ、三つとたくさん食べてしまいあっという間になくなるのだ。

安すぎず、高すぎず程よいチョコレートは無いものかと探していたところ出会ったのが、


『カレ.ド.ショコラ』

掌サイズの四角い箱に正方形の薄いチョコレートが20枚ほど入っている。


薄すぎず、厚すぎず、パリパリ感が最高だ。
もちろんお味も上品だ。

HPを見たところチョコレートの分厚さも試行錯誤を繰り返し、程よい厚さを作り出したとか。
研究が生きている。納得の美味しさ。

少しお高いので、頻繁に手が出せるお菓子ではないが、1ヶ月に1箱購入し、ちょこちょこ食べていくとすると、他のチョコレートを毎週袋買いするよりコストパフォーマンスはいいだろう。


私が認識しているのは黒いパッケージの1種類だけだったが、いつの間にか種類も増えていた。どの種類も魅力的で陳列されている棚に10分ぐらい立って悩んでいたほどだ。

しかも、今「特別な『カレ.ド.ショコラ』をプレゼント」という企画もやっているらしい。

すばらしい。

全て食べ終わってからじっくり箱の応募要件を読んで応募しよう、と後回しにしたのがいけなかった。

箱が空っぽになり、さあ応募するか、と詳細を見ると、カレ.ド.ショコラを二つ買わなければ応募出来ないことがわかった。仕方ない。もう一つ買うまで待とう。

あともう一つの応募条件がある。購入したときのレシートが必要らしい。
元々レシートを元に家計簿をつけていたが、支払いをクレジットカードで行うことが増えたので、カードのアプリ内に履歴が残るからとつい先日レシートは捨てるようにしたのだ。
購入したのは1ヶ月前だ。ゴミ箱を漁ってもレシートは出てくるまい。

なんとも悔しい思いをしながら、次のカレドショコラを買ったわけだが、レシートをどこに保管するか悩んだ。
棚の上は間違って捨てそうだし、財布の中にレシートを溜め込むのは金運が逃げていくとかであまり好きじゃない。あまり奥まった場所だと応募自体を忘れてしまいそうだ。

結論、冷蔵庫に置いている『カレ.ド.ショコラ』の箱の中にレシートも入れておくことにした。

チョコレートと一緒に冷やされているレシート。

応募までの辛抱だがなんともシュールな絵だ。
冷たく冷やされたレシートが、特別な『カレ.ド.ショコラ』を待っている気もするのだった。

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