コーヒー豆はヤギが見つけた
仕事をしているとどうしょうもなく嫌なことがある。
いや、仕事をしていなくても嫌なことはあるだろうから仕事ってだけじゃなく、生きているとあるのかな。
嫌なことがあったとき、私はそれを引きずりがちだ。いいことがあっても悪い気分に引っ張られて気持ちが悪い方に塗り替えてしまう。
嫌なことはまあ、机が汚いだの仕事の要領が悪いだの、重箱の隅つつくの助を飛び越えて重箱の隅ほじくるの助(わからない人は検索しよう)が言いそうなことを言われたのだが。
正直議論のすり替えをしたかったんだなという感じだったので、あまり気にする必要もなさそうなのだが、どうも気分がひっぱられてしまった。
何だかせっかくのいいこともなかったことになってしまうようで勿体無いし自分でも嫌なのだが、どうもこの壁を乗り越えられない。
大抵は嫌なことかいいことかどちらか一方だけの日だが、今回はどちらもあった。いいことで始まり、悪いことで終わったので、いつもなら悪い気分に塗り替えられて終わる。
でも今回は違ったのだ。
先日、年に一度の監査を行った。
監査を行う、ということはもちろん、監査を受ける人が存在する。
受ける側はいい気はしないだろう。誰だって自分の仕事にケチをつけられるのは嫌だ。昔、監査を受ける側も経験したことがあるので、気持ちは痛いほど分かる。
監査を受ける側の人はこれまでも何度か関わったことがある人で知っている人だった。
簡単にまとめるとその人がとてもいい人だったのだ。
監査の中に少し世間話をしたのだが、関西の方から転勤してきたらしい。私も転勤してきたので、同じ転勤者ですね、といった話から入り、以前の職場の話や仕事の話など関西人だけあって(関西人に対する偏見か?)話は盛り上がった。最後に年齢を聞かれたのでちょっと笑ってしまったのだが。
※ここでPoint。
年齢を聞かれて『いくつに見えますか?』と聞き返す人はアラサー以上。
(出典;いつぞやのツイッター)
アラサー、アラフォーの皆さん、気をつけましょう。
上記ポイントを押さえつつ、正直に年齢を伝えたところかなり驚かれた。
年齢より若く見られていたらしい。
今回のいいことは年齢より若くみられたこともあるが、その人の立ち振る舞いや接し方が心地よかったのだ。
ドア一つ開けるにしても、道案内するにしても心地よい気の使い方が滲み出ていた。
監査を行う側の人は邪険に扱われがちだが、邪険な感じはひとかけらもなかった。その人の人柄もあると思うが、それだけではなかった。
昨年、新しいシステムを導入した。かなり大規模なシステムだったので導入後はアフターフォローで社内を走り回って対応した。このフォロー活動は使用者側の受けがかなり良かった。新しいシステムの導入当初というのは通常苦情ばかりだ。だが、この時は感謝の言葉が寄せられ、他の支所にも良い評判が流れたぐらいだ。
このシステムフォローでよく関わった人たちが、今日私が監査することを聞いて私のことをべた褒めし、お世話になったから良くしてくれと根回ししてくれたらしいのだ。
仕事の結果が回り回って、良い形で返ってきた。
正直仕事をしていてこんなに嬉しいことはないし、こんなときは倍嬉しい。
仕事冥利に尽きる。
反芻ってのは至福だ。ヤギが反芻して草を噛むのもわかる気がする。
コーヒー豆を最初に見つけたのはヤギらしい。ヤギとその飼い主がコーヒー文化をつないでくれたからこそ私も美味しいコーヒーが飲めるわけだ。
今回の仕事を終え、数日経った今でもいい気分に浸っている。私もこの気持ちを繋いでいきたい。ヤギの繋いだコーヒー文化程広がりはしないだろうが、そうしたらきっと回り回ってまた私に返ってくる。
その時の反芻が楽しみだ。
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