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資本主義のアップデートに向けて:KIFUBARが描く新しい社会の形

縁あって「資本主義のアップデートするアドベントカレンダー2024」に参加させて頂きました。12/24の担当として、本記事を執筆します。

現在の資本主義の課題については、様々な観点で議論がなされるようになってきています。
書籍やメディア記事でもたくさん議論され、インパクトを志としたスタートアップなどもたくさんでてきていますが、各自が「独自の目線」で理想の資本主義を語っても、社会を変える大きな潮流は生まれません。
色んな考えの人がいますが、「資本主義を変えると社会はよりよく変われるんじゃないか」という、思いは同じなはず。
色々な立場の方の「より良い資本主義」のための情報発信を集約することで、資本主義社会がより良い方向に前進するための企画です。

「資本主義のアップデート」について考えるアドベントカレンダー
「資本主義のアップデート」について考えるアドベントカレンダー

皆さん様々な視点/観点から「資本主義をアップデート」について論じておりますが、私は「飲めば飲むだけ寄付になるKIFUBARの発起人」という視点からの考えをお話できたらと思います。

KIFUBARとは

資本主義どうこう語りだす前に、KIFUBARを知らない方が多いと思いますので、まずはそういった方向けに「KIFUBAR」についてお話ししたいと思います。

KIFUBARとは

KIFUBARとは社会貢献が身近になる社会を目的に、参加費やドリンク代の一部が寄付になるBARイベントです。

BARを貸し切り、NPO法人や公益法人など社会をより良くする団体に登壇いただき、参加者はその話を聞きながらお酒を飲み、応援したい/寄付したいと思ったら、飲んだ杯数分だけその団体に投票(寄付)ができます。

運営はBARの参加費やドリンク代の売り上げの一部をNPO法人や公益法人に投票数/投票割合に応じて案分し、寄付/謝礼を行っています。

KIFUBARの実績

2024年末時点のKIFUBAR実績

2017年に初めて開催して以来、これまで111回開催してきたKIFUBARでは、累計2,500名以上の参加者が、5,500杯以上のお酒を飲んできました。
そして”お酒を飲んで交流する”という身近で気軽なアクションを通じて、約300万円にのぼる寄付が全国の社会貢献団体に届いています。

ありがたいことに取材されています

取材実績(TV)

【Fresh Faces #445】谷田脩一郎(KIFUBAR 発起人)

取材実績(WEB)

飲んだお酒が「寄付」になる? ミレニアル世代が考案した、新体験のバーイベントに潜入してみた | Business Insider Japan

お酒の場で気軽に寄付を体験。「KIFUBAR(寄付バー)」ってなに? | 日本財団ジャーナル

簡単に2024年の振り返り

2017年に始まったKIFUBAR、2024年は大きく飛躍した年でした。

〈2024年の実績〉
開催回数:37回
参加人数:1,013名
杯数:2,246杯
寄付額:1,033,540円

TOPIC① Global Agentsさん

・ソーシャルアパートメントを経営するGlobal Agentsさんとのコラボ開催では、ソーシャルアパートメントの住人の方へ登壇者/参加者募集の告知を行い、いつも一緒に住んでいる友人が登壇し、一緒に住んでいる友人が応援しに行くという「こんな仕事してたんだ!」「こういう背景でこの仕事選んだんだ!」とか発見があるハートフルなKIFUBARになりました。

世の中的に、「ソーシャルグッド」や「エシカル」「フードロス」「SDGs」という言葉を耳にする機会が増え、"自分も世の中にとって良いことを取り組んでみたいけど、具体的に何をしたら良いかわからない"という方は少なくないと思います。
そこでソーシャルアパートメントを通して、世の中に良いことを少しずつ、"みんなで一緒に楽しく"始めてみようというところからスタートしたのがこのプロジェクト。
様々なソーシャルグッドな活動を通して、少しずつ意識が変わるきっかけづくりとして、みんなでやってみたいと思うことに挑戦していきます。
実現可能な範囲で幅広いジャンルの活動内容を想定していますので、いつでもアイデアをお寄せください!

ソーシャルアパートメント運営事務局 Social Good Neighbors プロジェクト

TOPIC② LINEヤフーさん

・LINEヤフーさんとのコラボ開催では、社会課題に取り組むNPO法人など活動をする人ではなく、ドキュメンタリー作品とその作品をつくった作家さんの話を聴くことで、社会課題に対する新たな観点を知ったり、当事者の声をそのままリアリティを感じることができたKIFUBARになりました。

日本最大級のショートドキュメンタリープラットフォーム。普段見過ごしてしまう世の中の出来事の裏側を、ドキュメンタリー映像でお届けします。

Yahoo!ニュース ドキュメンタリー

TOPIC③ 新しい贈与論さん

・新しい贈与論さんは毎月テーマに合わせた団体選出し、投票によって会費から寄付を行うコミュニティで、コラボ会の登壇団体は過去に寄付先になった団体にプレゼンいただきました。登壇者も参加者も自らの気づきや姿勢をハッキリと言語化される方が多く、私自身ハッと気づかさせれるKIFUBARでした。

新しい贈与論の桂さん

寄付や贈与についてみなで学び、実践してゆくコミュニティです。オンラインの交流をベースに、時折イベントや勉強会を開催しています。個人主義や交換経済が蔓延り、人間や人間的関係がますます痩せ細ってゆく現代において、今一度、贈与という観点から社会について考え行動する場をつくりたいと思います。

新しい贈与論

TOPIC④ 全国に広がるKIFUBAR

2024年37回開催したKIFUBARの内、谷田(私)が主催で行っている赤坂開催は8回(全体の22%)しかなく、コラボ会を抜いても20数回は有志が主催し、企画運営を行っています。

【開催レポート】KIFUBAR Yamanashi-飲めば飲むだけ寄付になるスタンディングバー @甲府朝日通り

例えば山梨県甲では既に10回も開催しており、地元の新聞に活動を取り上げて頂いております。

朝日通り商店街で「寄付バー」地元ワイナリーのワインも提供 - 甲府経済新聞

資本主義のアップデートを考える

ここまでかなり長めに「KIFUBARについて」と「2024年の振り返り」をしてみたわけですが、ここで本題の「資本主義のアップデート」に戻りたいと思います。

結論から言うと私は「今、資本主義のアップデートされている最中である」と考えています。

18世紀イギリスでの産業革命がきっかけになった資本主義。
たくさん作ることができればたくさん売れる、たくさん儲かる。
家内制手工業から工場制手工業、工場制機械工業へ。
作業工程を分業することで生産効率を上げ大量生産する。
個人生産者は撤退、労働者は都市部へ集中。
資本家と労働者が生まれる。
日本でも士農工商から四民平等へ。自由に職業を選べるように。

上記のことから資本主義には
「たくさんつくる、たくさん売れる、たくさん儲かる」
「分業制&機械化で生産効率を上げて生産性を上げる」
「好きな仕事を自分の意志で選ぶことができる」
であり

端的にいえば
・マーケティング
・労働生産性
・仕事探し
に集約するでのはないでしょうか。

私が「最中である」と言った背景としては、人類はテクノロジーの発展に合わせて、デバイスが変わり、メディアが変わり、資金調達の仕方が変わり、仕事探しや働き方が変わりと。世代や住んでいる地域でグラデーションがありつつも消費者/生活者の大きな行動変容が起きています。

マーケティング観点でも
消費者/生活者の行動変容に合わせて
モノ消費ver01 モノをたくさん安く売れば売れる
モノ消費ver02 モノを選べる、消費者主導
コト消費 ストーリーや憧れ、価値主導
トキ消費 参加や体験、非再現性、貢献性
と移り変わっていっています。

モノ、コトに続く潮流、「トキ消費」はどうなっていくのか/夏山明美(連載:アフター・コロナの新文脈 博報堂の視点 Vol.13)

かくいう私も普段は企業のマーケティング担当として雇用され勤務しているのですが、最近盛り上がっているスポットバイト/スキマバイトというものを体験してきました。

とあるお好み焼きを中心とした居酒屋で6時間ほど皿洗いに没頭したわけですが、少なくとも私にとっては「6時間ノーストップで油汚れMAXの皿洗い」「足も伸ばせないような狭い休憩室での10分で食べるまかない」「大学生のアルバイトに囲まれてキャリアや恋愛の話」「翌日振り込まれる1万円弱の給与」はどれも非日常でかつ貢献もできる体験だったなと思うわけです。

資本主義のアップデートとKIFUBAR

資本主義というよりマーケティングの話になってしまいましたが…

KIFUBARもまだまだ認知が低くムーブメントを起こせるほどのところまでいけてない現状ですが、参加経験のない知人からの口コミで飛び込んでみたり、以前からテレビやネットを通じて知って地方から参加してくれたり、月曜の夜から飲めるイベントをPeatixで探して偶然見つけてくれたり…
このような実際の参加者の皆様からの声を聞いたり、現場で見ていると、この近年の消費者/生活者の行動変容である「モノ→コト→トキという変化」「非再現性、参加性、貢献性」が、KIFUBARにも当てはまるところがあるな!と感じています。

参加者にとっては
毎回主催者も会場も登壇団体が違うから二度と同じ話は聞けない(非再現性)
お酒を飲みながら話を聴いて投票することで参加できる(参加性)
飲んで投票することが寄付になり感謝される(貢献性)
であり

何度も参加する中で
参加者でありつつ企画者である人
登壇者でありつつ企画者である人
が生まれ始め

発起人の谷田の手を離れて、他の団体やコミュニティ、企業とのコラボや他地域での開催が実現しています。

これはKIFUBARというコンセプトを中心に
参加者、登壇者、企画者が相互に作用しながら
参加者、登壇者、企画者の境目が曖昧に溶けていき
共創されているのではないでしょうか。

これから資本主義のアップデートしていく社会で
それらを前身させ、人々に受け入れられるのは
「モノ→コト→トキという変化」
「非再現性、参加性、貢献性」
を内在させているものになると思います。

【おまけ】〇〇から語るKIFUBAR

ここまで「資本主義のアップデート」と「KIFUBAR」について私の言葉で綴ってきたわけですが、長文書いて何なんですが「何かが足りていない」「伝えきれてない」感がぬぐえないので、いくつか要素を補完するためにも第三者の言葉をお借りしたいと思います。

新しい贈与論さんの推薦文

「‐簡単に2024年の振り返り‐TOPIC③」で紹介した新しい贈与論さん。毎月会員の投票により宛先を決定する共同贈与で「酔い」がテーマの際に「KIFUBAR」の推薦文、発起人である私自身がKIFUBARを語る以上にエモくて、何度も読み返したくなる文章なので引用させて頂きます。

寄付というのは、勇気や大義を必要とする行為だと思われています。何かしらの前向きな決意や、大胆で熱い想いや、もしくは気高い志が必要だろうと思われている。寄付をする人は、よほど徳が高いか、財産にひどく余裕のある人だと思われている。しかし、ここにいるみなさんは既にご存知のように、寄付をするのにそんなものは必要ありません。

人間というのは自分のためだけに生きて、自分のためだけに死んでいけるほど強くない。そう言ったのは三島由紀夫でしたが、まったくその通りだと思います。誰かのためになりたいというのは、人間の根源的で普遍的な欲動ではないでしょうか。であったなら、人を寄付や贈与に駆り立てるものは、そう壮大であるはずがない。いわば私有という石堤に、ちいさな穴を開けるだけでいい。そこから水は流れ出します。

しかし、世の中は絶えず強固な石堤を築き上げることを要求しています。日本経済がどうとか、国債がどうとか、年金がどうとか、恐怖ばかりを煽ります。もっともっと高く強く石を積み上げねばと、心配が募ります。人のために生きる余裕なんて、今の自分にあるのだろうか。そういう不安を吹き飛ばすには、どうすればいいでしょう。

簡単です。酒を飲めばいいのです。酔っ払えばいいのです。

好きなお酒を傾けリラックスしていると、体の奥からふつふつと幸せが湧き上がってきます。うまくいかない仕事のこととか、将来への漠然とした不安とか、誰彼との根深いトラブルとか、そういうことはすべて消え去って、純粋で全体的な陽気だけが脳髄に広がっていきます。すべてがどうでもよくなる。これでいいんだ、という気分になる。

人間にはそういう時間が必要ではないでしょうか。不確かな未来という軛から自由になって、いまここに確かに生きていることの享楽を味わう時間が。心地のよい酔いは、世俗の喧騒から人間を救出します。そういうとき、人は本来の魂を思い出し、人のためになることをしよう、損したっていいじゃないかと思えるのだと思います。

KIFUBARは、参加費やドリンクの購入金額の一部が寄付になるBARイベントです。これまでの開催は50回超。コロナで休止していましたが、2022年7月から再開が始まりました。当選した場合には、KIFUBARと新しい贈与論で共催回を開き、今月の寄合分を当日の寄付額に上乗せして寄付するイベントにしてみたいと思います(難しければ運営費として寄付します)。酔いからはじまる新しい寄付の形を、ともに見にいきましょう。

新しい贈与論|KIFUBARへ寄付を行ないました

同様のテーマで生成AIに書いてもらいました

さらに直近のテクノロジーの進化は私の言いたいことをどれだけ表現してくれるのかを試したく、蛇足かもしれませんが…同じテーマで生成AIさんに書いてもらいました。

現代の資本主義は、私たちの生活を豊かにすると同時に、多くの課題も生み出しています。格差の拡大、孤独感の増大、環境問題の深刻化――どれも一人ひとりの生活に影響を与える重大なテーマです。それらに対処するため、近年では「資本主義のアップデート」が求められています。ですが、抽象的な議論や制度設計だけでは、人々の心に響く変化を起こすのは難しいかもしれません。必要なのは、もっと身近で、もっとカジュアルに社会に貢献するきっかけなのです。そこで生まれたのが、私たちの「KIFUBAR(キフバー)」という取り組みです。

「社会を良くしたい」と思う気持ちがあっても、多くの人にとって寄付や社会貢献は心理的にハードルが高いものです。例えば、「自分が出したお金がどう使われるのかわからない」「ちゃんとした効果があるのか心配」といった疑念が挙げられます。また、日常の忙しさの中で、社会問題と向き合う時間を作ること自体が難しいという声も多く聞かれます。このような現状の中で、寄付や社会貢献は「特別な人のための活動」だというイメージが広まり、かえって敷居が高くなってしまっているのではないでしょうか。

私自身が「寄付」という行為に新たな価値を見出したのは、リアルな場で人と人が直接つながる瞬間を目にした時でした。そこで始めたのが「KIFUBAR」です。お酒を片手に、NPOや社会貢献活動を行う人々の話を聞きながら、気軽に一票を投じる――そんなシンプルな仕組みが、多くの人々の心を動かしてきました。

「寄付は重くて難しいものではなく、ちょっとした“ノリ”で始められる」という雰囲気を作ることで、多くの人が初めて寄付に挑戦しています。こうした体験を通じて、寄付が「誰にでもできる行為」として日常の一部になっていくのです。

例えば、不登校の子どもを持つ保護者のために開かれた特別な「KIFUBAR」では、普段は打ち明けられない悩みや想いを共有する場が生まれました。また、動物愛護に関する議論では、異なる視点を持つ団体同士がぶつかり合う場面もありましたが、その対立すらも「多様な考え方を知る学びの場」として捉える声が上がりました。

2024年は、KIFUBARにとってさらなる飛躍の年となりました。年間37回の開催において、1000名の参加者が集まり、2,200杯のお酒を通じて寄付金額100万円を集めることができました。これらの数字は、KIFUBARが単なる寄付の場にとどまらず、地域や分野を超えて人々をつなぐハブとして機能していることを物語っています。

また、LINEYahoo! さんや Global Agents さんなどの企業・団体とのコラボレーションを通じて、新たな価値を創出しました。例えば、LINEYahoo!さんとの協業イベントでは、ドキュメンタリー映像を通じて「アクティブな視聴者」として社会問題に向き合う大切さを共有し、視聴者が文化を育む可能性を改めて実感しました。一方、Global Agentsさんとのイベントでは、ソーシャルアパートメントの住人が登壇者として、自分たちが取り組む社会課題やその背景を語り合い、住人同士の新たなつながりが生まれました。

これらの成功事例の背景には、「つながり」というキーワードが欠かせません。KIFUBARでは、参加者が単に寄付をするだけでなく、寄付先の活動を深く知り、共感を持つ機会を大切にしています。これにより、「寄付をする」という行為が、「寄付を通じて関わる」という感覚へと変化していきます。この体験こそが、私たちの取り組みの核となっているのです。

また、最近では地域ごとの課題に特化したKIFUBARも増えてきました。例えば、地方の過疎化問題に取り組む団体を支援するイベントでは、地元住民だけでなく都市部からも多くの参加者を迎え、地域と都市の新たなつながりを創出しました。このような取り組みが、日本各地に広がりつつあります。

資本主義がアップデートされる未来は、単なる制度やルールの変更だけでは実現できません。それは、一人ひとりが「自分の行動が社会を少しでも良くする」という実感を持つところから始まります。KIFUBARが目指しているのは、そんな実感を誰もが手に入れられる社会です。

「飲みに行くついでに寄付をする」――この一見ささやかな行為が、私たちの社会を変える大きな一歩になるのです。あなたもぜひ、KIFUBARで“寄付の新しい形”を体験してみませんか?

KIFUBARへの参加の仕方

ここまで長文お付き合い頂きましてありがとうございました。

資本主義のアップデートには「モノ→コト→トキという変化」を捉え「非再現性、参加性、貢献性」を内在させ、企画者や登壇者、参加者の境目を曖昧に溶かしていけるとよいのではないでしょうか。

KIFUBARが描く新しい社会の形、体験してみませんか?

KIFUBARの活動をWatchする|https://www.facebook.com/KIFUBAR

KIFUBARのイベント情報をみる|https://kifubar.peatix.com/events

累計寄付額100,000,000円目指して頑張るぞ!(現在達成率:3%)

〈終わり〉

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ShuichiroTanida
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