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【詩】あたたかい場所

戸籍上は大切にされてきたけれど

ふとした瞬間

プツンと糸は切れる

「探さないでください」と

どこかで見た置き手紙

安易に置いて駆けてきた

駆けてきた

駆けてきた

あたたかい場所は

どこにもないから

心の中に住み始めた

皮膚が冷えても

寒さを感じないのは

ありあまった愛を

受け取れる人になれたから

甘い匂いを嗅がせてくる人

喜ぶフリする僕

本当は匂いなんて感じないけれど

せっかくだからと微笑むのが上手くなったね

寂しさは無くすものでも隠すものでもないよ

次の愛に繋げるための

僕にとって嬉しい材料

どんな感情からだって

それなりのぬくもり生み出して

幸せだよってあしらいながら

そもそも存在すらしない場所で

呼吸していけるようになったよ

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伊藤七 | ライター
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