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将来構想におけるエクスパンションの意図

Bリーグは、元々B1 18クラブ、B2 18クラブの36クラブで構成されていました。(B3は、別法人のためここでは割愛。しかし、2026年にB3もBリーグと同一法人化を決定済み)コロナの影響で甚大な影響を受けたクラブ経営を守るため、昇格有り、降格無しのルールを実質3シーズン続けてきました。(来シーズンから降格再開)結果として2022-23シーズンは、B1 24クラブ B2 14クラブの38クラブになります。

当然のことながら、コロナが発生せず元々のB1 18クラブを維持していたならば、6クラブはこのB1の舞台には立てていないことになります。現在 B3まで含めると全国に50以上のクラブがある中でB1にたどり着けるのは18クラブのみ、厳しい競争環境、狭き門ですね。

2016年にBリーグが誕生し、昇降格制度によって、昇格したい、降格を避けたい、上位進出を狙いなどのモチベーションから勝利を手にするためのチーム投資が活発化してきました。よって選手の年俸も上昇しました。(選手に夢ある状況が生まれるという意味ではポジティブなこと)この選手人件費を捻出するためにも稼がなくてはいけないという状況がクラブの成長エンジンとなってきたことは間違いありません。

しかし、B1とB2のカテゴリー格差どころかB1の中でも資金力の差がどんどん広がることになります。(良い悪いの話ではありません)

Bリーグは、資金力のあるクラブ(首都圏中心)と資金力として厳しい(地方中心)の格差が広がる状況が年々目立つようになりつつありました。競技としては、「勝つか負けるか、勝負はやってみなくてはわからない」は事実あるにしてもあるにしても、長いリーグ戦、且つバスケは投資力が戦績に直接的に影響を与えやすいという性質があります。

つまり、実質的に現行ルールでは格差社会が色濃く反映されはじめていました。カテゴリーごとにクラブ数を固定する現行ルールでは資金力のないクラブは、夢があるようで実際はかなり厳しいルールになりつつあるという見方もありました。

たからこそ、勝つ負けるという競技力だけでなく地域に愛され、必要とされ、地元のステークホルダーが一丸となって応援しようと思われるようなクラブ(入場者数・売上高、アリーナなどの基準)ならば、何クラブでもトップカテゴリーに昇格可能にするというのが将来構想、エクスパンションの考え方です。

将来構想が、地方クラブ排他というような誤解を受けることもありますが、むしろ地方や現時点で資金的に厳しいクラブでも計画的に力をつければチャンスがあり続けるという優しいルール設定にしていると考えています。2026年が全てではなく、クラブと地域のステークホルダーの意志で昇格タイミングは検討可能なのです。2026年に間に合わないと終わってしまうというようなことはことは一切ないのです。

例えがどうかわかりませんが、人事評価で言えば、評価対象者のなかでS、A、B、Cのような相対評価となるのが現行ルール。つまり、どんなに頑張ってももっと上がいたら下の評価になるというものです。他方で周囲は関係なく目標を決めて、その達成度に応じて評価する絶対評価となるのが将来構想ルール。つまり、勝った負けたの不確実性の中での勝負ではなく、地元の支持をどれだけ集めたかどうか、ある種コントロール可能な自分達の努力次第という仕組みです。

リーグに課せられた使命は、将来構想におけるトップカテゴリーをピカピカに輝かすこと、セカンドカテゴリーでも盛り上がり、トップカテゴリーを目指しうるマーケットを創り上げることです。全てのクラブに夢とチャンスがあり、成長を目指せる仕組みを作っていきたいと思っています。この仕組みの中で成長意欲を絶やさず、地域に徹底して根付く努力をするクラブを通して地域活性化、最終的には地方創生に繋げていくことが私達のゴールです。

事業の話ばかりですが、事業的観点無くしてリーグ、クラブが存続、成長、発展していくことはありません。バスケ界の未来のためには、日本社会への貢献のためには、事業力が必要なのです。しかし、バスケという競技を大切にしていくこと、普及、育成、日本代表の強化に資するBリーグであるとは忘れません。勝利すること、チャンピオンになることの価値も並行して高めていきます


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島田慎二
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