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質量の正体

アインシュタインの有名な方程式
𝐸=𝑚𝑐2
は、質量とエネルギーが等価であることを示しています。しかし、「光子」は質量が0でありながらエネルギーを持つという、一見矛盾した性質を持っています。これを理解するために、少し難しい内容となりますが、エネルギーや質量の本質について見ていきましょう。

質量とエネルギーの関係

質量は物体の「動きにくさ」(慣性)を表し、エネルギーの一形態と考えられます。静止している物体のエネルギーは、質量に光速の2乗をかけたもの(静止エネルギー)で表されます。一方で、運動する物体には運動エネルギーが加わり、質量が変化するように見える場合があります。例えば、静止している200gのiPhoneが29.9万km/sで移動すると、その見かけの質量は約2.8kgになります。この現象は、相対論的質量の増加として説明されます。

光子の性質:質量0でもエネルギーを持つ理由

光子は質量を持たない粒子ですが、エネルギー
𝐸=ℎ𝜈(hはプランク定数、𝜈は振動数)
を持っています。質量がないため、光子は常に光速で移動し、静止することができません。そのエネルギーは運動量に依存しており、純粋なエネルギーのかたまりとして振る舞います。

陽子の質量とヒッグス粒子

質量の起源には、ヒッグス場の役割が大きいです。素粒子は本来質量を持たず、ヒッグス場との相互作用を通じて質量を得ます。しかし、陽子の質量の大部分はヒッグス場ではなく、内部のクォークやグルーオンの運動エネルギーや結合エネルギーに由来します。陽子を構成するアップクォークやダウンクォークは、ヒッグス場によってわずかな静止質量を得ていますが、陽子全体の質量の99%以上はエネルギーによるものです。

太陽からの光子とその質量の影響

光子を箱の中に閉じ込めると、そのエネルギーが質量として箱全体に寄与します。これによって、光子エネルギーを物理的に質量に換算することができます。

太陽を箱として光子エネルギーの質量を求めます。太陽内部で生成された光子は、プラズマとの相互作用によってまっすぐ進むことができず、17万年かけて外部に放出されます。この光子のエネルギーを質量換算すると、太陽の一部を成していたことがわかります。放出されるエネルギーは膨大ですが、それでも月の質量の約3分の1に相当します。

質量とエネルギーの本質

質量とは「動きにくさ」のエネルギー的な現れであり、エネルギーがあるところに質量の性質が現れます。光子は質量を持たないにもかかわらず、エネルギーを通じて宇宙に影響を与えます。ヒッグス場や量子場、そしてエネルギーと質量の関係は、私たちが宇宙の本質を理解する鍵となります。


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