見出し画像

教員不足がもたらす教育現場の危機とその課題

教員採用試験での辞退

今年、高知県で行われた小学校教員採用試験において、280人の合格者のうち204人、約73%が辞退したという衝撃的な事実が明らかになりました。高知県では教員不足を補うため、高知県では13人を追加合格させましたが、このような対応を続けると、教員の質が低下する可能性が懸念されます。

この事態は、高知県だけでなく、全国的な教員不足の問題を象徴しています。全国では約32%の自治体が「教員不足が昨年よりも悪化している」と回答しており、深刻さが増すばかりです。

休職による人員不足

最近の学校運営においても、産休・育休の取得者の増加や、授業崩壊、親からのクレームにより休職する教員が増え、結果的に定数を満たしている学校でも実質的な人手不足に陥っています。管理職が現場をカバーしているものの、しわ寄せは他の教員にも及び、教育の質が損なわれる悪循環が発生しています。

自分が聞いた話によると、非常勤講師への需要が増えているものの、待遇は良くありません。非常勤講師は時間給で報酬が支払われるため、授業準備や雑務が評価されず、社会保障や福利厚生も十分でない状況です。これでは非常勤講師が安定して働ける環境にはなりません。

事務作業の肥大化

一方で、教員が本来果たすべき「児童・生徒に寄り添う役割」が事務作業の多さによって妨げられています。各省庁や行政機関からのアンケート調査や教育依頼、作文やポスター制作などが学校現場に押し寄せ、管理職や教員の事務負担が膨大化しています。こうした外部からの過剰な要求は、教育現場の実情を無視したものと言わざるを得ません。実際に自分も市の会議に参加し「子供の頃から教育すべし」と簡単に発言する人を見てきました。

勉強か人間の育成か

また、学校の教育目標も問い直されるべき時期に来ています。受験勉強を重視する塾のような役割を担うのか、それとも人間教育を中心に据えるのか。現在、親が子供に生活習慣や社会ルールを教えきれていないケースが増え、学校がその責任を背負わされている状況です。学校は学力向上だけでなく、社会性や生活習慣を身に付けさせる重要な場であることを再確認する必要があります。

教員不足と現場の負担軽減に向けて、教員の待遇改善、事務作業の効率化、教育活動の見直しが急務です。教育の質を守り、現場の声を尊重しないと、資源のない日本で、人材不足は深刻な結果をもたらします。


いいなと思ったら応援しよう!

10works
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!