#いちごつみ (短歌計20首)
ツイッターにて、中本速さん(@sknkmt02)と「いちごつみ」(相手の短歌から一語(いちご)摘んで、次の自分の短歌に詠み込む。詳しくはこちらをどうぞ→http://kohagi-orz.jugem.jp/?eid=2349)をしました。
奇数(1.3.…)がとわさき作、偶数(2.4…)が中本速さん作。
1.一発でプルタブ綺麗に上げられてわたし専用ブラックホール
2.波の音だけど無数のプルタブを流したみたいに聞こえるだろう
3.波になる瞬間の声 わたしたちどこにいるのか 揺れる境界
4.殺さずに飲ませてくれたら本当の蚊の鳴く声を聞かせてあげる
5.生まれたいいのちがあって血液をたらふく抱え蚊が飛んでいく
6.ひとときのいのちを湯船にかたむけていま外をゆく月を思った
7.空回りしてきた足を放り出し湯船、このままどこかへ行って
8.急ぎすぎて足だけ来ちゃったかと訊けばパタパタとたぶん肯定される
9.肯定をひるがえすたびあなたから薫るさびしさ共に味わう
10.さびしさのステンドグラスに届かずにあらがい続ける噴水がある
11.あのひとはステンドグラスになりたくて日夜透明感の練習
12.練習をしていたはずが惚れているそんな気合で練習しよう
13.惚れているとはふわふわと惑星になりゆく塵のひとつのような
14.閉じられたラップトップの上蓋で塵がしずかにそよぐ花冷え
15.花冷えのソフトクリームのてっぺんが凪いでいるような夜があります
16.凪いでいる海をずるりと脱ぎ捨てて人の姿となる土がある
17.わたくしの姿をそのまま焼いていく太陽光で光は影に
18.葉の影が揺すれて揺れてそのあいだ頭上でずっと鳴いていた鳥
19.頭上では人工の風が吹いていてつむじあたりのへりくつ撫でる
20.飛行機の後に残った一本のまっすぐな雲のようなへりくつ
とても楽しかったです。速さん、ありがとうございました。
/2018.6.1