ヒッチハイクで初めてスケッチブックを掲げた日
大学4年生のころ、人生で初めてヒッチハイクをしました。
ヒッチハイクがしてみたい、と最初に感じたのは恐らく大学一年生のころ。
他大学の学生と飲み会で話す機会があり、その場に行くと、同級生なのに既にバックパッカーとして世界中を旅している男に出会いました。
その男は旅のこと、世界のことをものすごく楽しそうに語ります。こいつには人として完全に負けてるな、とそのとき肌で感じました。
その男がヒッチハイクの話をしており、自分には到底できないなと当時は思いながら、そのことがずっと頭にひっかかっていました。
大学2年、3年と色々経験を積む中で少しずつ自信がつき、もしかしたら今ならヒッチハイクできるかもしれないな、と思うようになっていました。
そして、大学4年の1月。
就職活動やら、論文やら、諸々の大変なことが片付き、旅をしようと思いました。
ヒッチハイクの聖地とも呼ばれる用賀に足を運びます。
車を拾いやすそうな場所に移動すると、ちらほらと見えるヒッチハイカーの姿。
流石は聖地。びびりながら、自分はただの歩行者ですよという顔をして通り過ぎます。
3往復ほどした後、ようやく決心を固め、スケッチブックをカバンから取り出しました。道端でこんなことをするのはヒッチハイカーだけです。
あぁ、あなたもなんですね、という感じで、他のヒッチハイカーと言葉を交わし、あっち側のほうがいいですよ、というアドバイスが。
優しそうな人でよかった。
しかし、いざポイントに立つと、なかなかスケッチブックを掲げることができません。
自分は一体何をやっているんだろうか。
人に迷惑をかけるんじゃないか。
もしかしたら逮捕されるんじゃないか。
なんて図々しい行為なんだ。
様々な不安が頭によぎります。
車が何台も通り過ぎるのを見送った後、恐る恐る、震える手を上に上げました。
なんともラッキーなことに、近くを走っていた車がすぐに止まってくれて、すぐに一台目に乗車することができました。
このヒッチハイク旅の詳細については、また別のところで書こうと思いますが、今振り返ると、あの経験はすごく大きかったなと思います。
大学一年のころはできないと思っていたことが、いつのまにかできるかもに変わり、実際にやってみて、できた。その自信は今の自分を支えてくれています。
道に迷ったときに、勇気を振り絞ってスケッチブックを掲げる。
その選択が役に立つ時がきっといつか来るのでは無いでしょうか。