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我らの大分旅、ひと夏の思い出「STRANGER HOTEL」日記:22



✸こんにちは。じっぽです。


お久しぶりです。

窓から入る風が少しずつ冷たくなってきているのを
背中に感じながら画面に向かっています。

突然なんですが、今月末に仕事が無くなります。

ますます、背筋が寒くなりますね……

◆まあ、なるようになるよね。
500回くらい呟いても、あたしの主体性が
後ろから顔を出しては不安そうにうえを見る。



✶我らの大分旅

10 coffee brewersのオーナー、川平さんが
Opam(大分県立美術館)にて「ハローアート」という
トークイベント企画に参加するという情報を得て
我々はバタバタと旅の準備を始めた。

旅のメインイベントである
国立国際美術館コレクション現代アートの100年。
私はウォーホルと内藤礼が大好きなので
ウォーホルのデザインのフライヤーの中に
内藤の文字を見つけて、生き急いだ。

なんたって、既に心は決まっているのだ。

共に旅に出てくれた多忙なシティボーイの為に
今回は大分市内を1泊2日の日程で行く。

しかしあまりにも計画をたてるのが下手すぎて
同居人が高速バスの予約を2日前に、
私がホテルの予約を前日の昼間に取るという
すでに怪しげな連鎖反応を起こす。



この時既に遅かった……


そうやってようやく到着したホテルで、
宿泊の県民割を利用する為の身分証を
2人ともが忘れるというミラクルを起こす。

同行者にいたっては財布を福岡に置いてきていた。

お兄さん、あんたは何しに来たんや?



エレベーターの中で、高まる己のダメさに涙した。


翌朝 爆睡中に鳴り響くアラームで
楽しみだった朝食ビュッフェの残り時間が
30分しかないことに気づく。



やっちまったなぁ?



時、既に遅しクールポコ。




寝ぼけすぎてジャンキーなプレートに手を合わせて
「おはようございます」と言っていた。

今見返せば、この画像には野菜のやの字もないし
2人には反省のはの字もない。


欧米か!!!!

ちなみに到着した晩には「いりぐち」に行った。
だし巻き玉子の天ぷらと、エンガワユッケが
本当に美味しかった。あとお醤油。

私は唸りすぎて誤魔化しようのない顔をしていた。
ごめんね、素直じゃなくて……

ホテルから歩いて10分ほどの場所に
Opamはあった。

川平さんは大人だったけど、川平さんのお話は
ありがたい感じでも、嫌な目線からでもなかった。

私はそれが嬉しかった。


✶きっと、この人はこの地球で
「はじめまして」を繰り返して
「縁」や「ネットワーク」を広げる宇宙人。

大人より少し近く感じられる存在。

10代の私から見た川平さんは
モラトリアムの時間を分かってくれる気がした。

それから、地元の田んぼに立つ「かかし」を
思い出して絵の横に立ってくれるのはこんな人が
いいなと思った。


川平さんは、アートのかかし。






帰りのバスもあと1分のラインを駆け抜けて
なんとか座席に着いた。

やれやれ、シティボーイは手が焼ける。
まどろんで見た大分の街は夜の瞬きの中にあった。
昼間歩いた広くて綺麗な歩道を思い出す。

◆夢の中だけ、もう少しだけ大分の道を行く。
きっと想像以上に騒がしい未来が私を待っている。




✶ひと夏の思い出「STRANGER HOTEL」

🔵8/10〜24の期間
STEREO COFFEEにて行われた
odakana×suisui Special Exhibition
「STRANGER HOTEL」




odakanaさんのイラストとsuisuiさんデザインの
グッズ、モビール作品で「STRANGER HOTEL」は完成する。

画像2枚目を参照すると2人の言語やデザイン、
コミュニケーションが共立する空間で
あることが分かる。

イラストを順番に見ていくことで共有される
ストーリーは、シンプルな線画の作品だからこそ
味わいのあるオリジナリティと余韻に包まれる。

長期期間の展示にともない季節の移ろいとも
相まって、一人で来ても複数人でも、
「非日常的な時間」を楽しめる空間であった。

女の子もあの場所で安心して1人になれるのは、
寂しさよりも解放を感じるから。

SNSが生活に当たり前にある時代を生きていると
本当に「生活している」だけなのに、自分自身が
驚くほど疲れている夜もあるのだ。

そんな日常にゆっくりと溶け込むように、
ホテルのアメニティーになぞらえて
デザインされたグッズはどれも実用向きであった。



また、印象的であったsuisuiさんのモビール作品の
展示を取り上げる。

アクリル素材の部分は透明なパーツと
ツルっとした質感の不透明なカラーパーツに
分けられる。

大人の手のひらほどのパーツでも軽く、
アクリルという素材は耐久性にも優れている。

また、吊るす為の糸の長さを調節することで
1つとして同じ構成の列がないモビール作品に
新たなニュアンスが加わっていた。



天井から吊るされたモビールを意識すると
人や風の穏やかな「流れ」が目に見えてくる。
それは音楽に感じるグルーヴにも似ている。



その風景も含めて「動く抽象画」という作品の
あり方は、時間や場所に制限を受けずに
鑑賞することができる自由度の高いものである。

「窮屈な毎日から解放されたい」
「自由になりたい」そんな気持ちの奥に感じる
彼女の人への優しさや愛は、コンセプトである
ホテルのホスピタリティに通ずるものがあると考察する。


不思議なお客様ばかり受けいれているホテルは
主人公そしてこの季節と別れ忽然と消えてしまう。

私はどうしたって、あの不思議なホテルは
彼女たちの心の中に空いたスペースに
本当に存在したかもしれないと考えてしまうのだ…

-✸✸✸-


フラストレーションも思い出として昇華すること、
孤独になるとしても自由になりたいと行動することは本当に勇気が要ること。

私たちがあのホテルから現実に戻ってくる頃
しばしの充実感やその勇気が私たちを守るだろう。

それは「STRANGER HOTEL」で過ごした
「非現実的な時間」が実は誰かの現実だからだ。

あのホテルのサービスはリアルな生活に溶け込む。
もしもあなたが消費される現実に自覚的になれば、
ファンタジーとリアルの境目の扉に気づくはずだ。



夏を謳歌した私たちは誰かの優しさを受け取って
次の季節へ進んでいく。風に吹かれるみたいに。


扉の向こうに、
あなたを受け入れるだけのスペースを準備して。





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