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食べ物を分けずにいられない
母は、食べ物を自分と子供達で分けるとき、父にも必ず取っておいた。「鬼食いはよくない」が口ぐせである。自分の大好物で、しかも子供や父がそれほど好きでない食べ物についても、やはり独占しなかった。
うちは3人兄弟で育った。母は、「3つある物は1人1つずつ。1つしかない物は3等分」と教えた。この考え方もやっぱり体に染み付いている。
それから母は、もらい物でも買った物でも、量の多い食品は何でもかんでも近所に配っていた。特にくだものが多かったように記憶している。それらは家族で食べきれない量でもないのに。もったいないとはひとつも思わない。分配しないと気が済まない。何かの強迫観念だ。「鬼食い」の表現はともかく、現在のわたしも母そっくりの行動する。保存の目安を約8日間となんとなく決め、9日以上持たない物を家に置いておかない。
この分配癖のために家族と揉めてきた。「うちで食べる分がなくなっちゃう」そうである。別にいいんじゃんか!? わたしは「ひとりじめしたくない」と言い張る。「最近じゃ、おすそ分けじゃなくて『お福分け』って言うらしいよ!」と熱弁して。
近所などに持っていくための小ぎれいな手提げ袋も完備済み。「これは○○さんちと、○○さんちと、○○さんちに。これはアナタのお友達の○○さんへのおみやげに」と言いながら、わたしはせっせと仕分けする。
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