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【OAK】勝って勝って止まりません【月刊ポジアス8月号】

先発の頑張りで2ヶ月連続勝ち越し!

絶好調アスレチックスの8月を振り返ります。

8月は14勝12敗・勝率.538と、15勝9敗と破竹の勢いだった7月に続いて勝ち越しで終えました。マーク・コッツェイ監督にとっては任期3年目で3月目の勝ち越し月となっています。

さらに8月18日にはエンゼルスを抜かして地区4位に浮上しました!

チームスタッツは以下の通り。

チーム野手fWAR: 2.9(21)
チームwRC+: 105(14)
チーム投手fWAR: 3.2(9)
チームERA: 4.01(12)

チームwRC+137が堂々のメジャー1位で、オフェンスが引っ張った7月と比べると、投手陣の貢献によって勝ち越しをマークできたという感じです。

8月の投手陣のスタッツは以下の通り。

8月投手陣(min:10IP)

WAR1.1でチーム1位に立ったビドーを筆頭に、先発投手陣の貢献が光ります。8月はメジャー8位の12個のクオリティスタートが記録されました。

ビドーは月間ERA1.55、5先発中4回のQSをマーク。内容も素晴らしく、来季以降フロントスターターを担う可能性を示してくれました。9月11日にIL入りしたのが残念ですね。

さらにジョーイ・エステスの安定感も抜群。3度のQSをマークし、3自責以上の先発も1度だけと、試合を作り続けました。

そして、エースのJP シアーズは3.2回9失点でKOされたMIL戦(8/23)を除けば、全4先発で7回以上を投げ抜く大車輪ぷりを発揮。先日の登板では2年連続の規定投球回にも到達し、すっかりチームの大黒柱を担っています。

そして、言わずもがなのメイソン・ミラーの活躍に引き続き、ミシェル・オタニェスとタイラー・ファーガソンのマイナーFAコンビが健闘を見せたのも大きかったです。オースティン・アダムスとスコット・アレクサンダーを故障で失い、ショートリリーフ不足に直面した8月を勝ち越せたのは、この新人コンビの奮闘抜きではあり得なかったでしょう。

そして、8月の野手陣の成績も以下の通り。

min:50PA

ローレンス・バトラー、ブレント・ルーカー、シェイ・ランガリアーズ、JJ ブレデイは7月に引き続き猛打を振るいました。この4人を取り上げて「新たなコア4だ」というツイートが(他球団ファンから)多く見られるようになり、頼もしいばかりです。

そして、注目すべきはセス・ブラウンがwRC+144と大活躍したこと。7月11日の再登場までwRC+62と出口の見えない不振に陥っていたものの、アウトライトされたAAAでの調整が実りました。再合流してからはwRC+151と完全に別人になりました。

一方、やや調子がかげったミゲル・アンドゥハーは筋肉系の怪我でシーズンエンドに。打撃貢献もほどほどだったので、一塁・両翼で別の若手を登用できる良いチャンスになりそうなのでこれはOK。

また、月ごとの好不調の波が激しいシューマンは7月の好調から一転して不振に。8月下旬から有望株ジェイコブ・ウィルソンを正遊撃手に据え、シューマンは三塁を中心に流動的に起用されそうです。

期待値系指標の優秀さから期待していたダズ・キャメロンは8月も不振。アンドゥハー離脱という絶好のチャンスを活かしきれませんでした。

赤いサヴァントに唇寄せて 黙っていられぬオタクたち


「新たなバッシュ・ブラザーズ」登場 ルーカーとバトラーの歴史的な打棒

かつて黄金期アスレチックスを支えた「バッシュ・ブラザーズ」。マーク・マグワイアとホゼ・カンセコからなる強打者コンビを彷彿とさせる新たなコンビが現れました。

それがブレント・ルーカーとローレンス・バトラーです。

画像はMLB.comから

<新バッシュ・ブラザーズ 7月から8月の成績>
ブレント・ルーカー:48試合 18本塁打 打率.331 出塁率.413 wRC+204 fWAR2.8
ローレンス・バトラー:50試合 18本塁打 打率.314 出塁率.353 wRC+190 fWAR2.9

FanGraphsから

わずか2ヶ月間で18本塁打ずつを荒稼ぎ。wRC+はともに200近辺の大暴れを見せました。

現代野球最高のデュオであるアーロン・ジャッジとフアン・ソトと比べても、なんら遜色ない成績をマークしています。

7・8月の成績から

ちなみに本家のバッシュ・ブラザーズは1988-91年の全盛期の間に2人合わせて266本塁打・wRC+143をマーク。今季のルーカーとバトラーは2人合わせてwRC+155をマークしています。この数字だけ見れば、ルーカーとバトラーを「新たなバッシュ・ブラザーズ」というのは決して過大な評価ではありません。

そして、8月11日からはルーカーが2番に入るようになり、この2人は1・2番コンビを結成しています。絶好調の2人の打線内の距離が縮まり、得点力は最大化されているように感じますね。

「ジ・アスレチック」もこの2人の活躍を取り上げています。全国区で取り上げられるほどの活躍ってことですわ!


先発5番手に有望株が続々名乗り

MLB.comから

前述の通り、8月はシアーズ、ビドー、エステス、そしてミッチ・スペンスも及第点のパフォーマンスを見せ、先発ローテが盤石でした。

一方で、先発5番手はロス・ストリップリングことデスボールが想定通りブルペンに回ることになり、AAAで復調していたジョー・ボイルもイマイチ。決め手に欠ける状態となっていました。

その状況下、楽しみなプロスペクトが続々と5番手に名乗りを上げています。

先発ローテの椅子を掴んで立場を固めつつあるのが、JT ギンです。

ギンは2020年のドラ2でメッツに入団後、クリス・バシットとのトレードで加入しました。

故障にも祟られ、2022年はAAの35.1回でERA6.11、23年もAAの22.1回でERA8.06と未熟なパフォーマンスが続いていました。今季は故障なくシーズンを送り、AAでもERA4.15と若干持ち直し。打者天国のAAAラスベガスではERA5.72とやはりそこそこ苦戦していました。

オフのルール5ドラフトを見据えてセレクトされた際には、時期尚早の感も否めませんでした。しかし、ロングリリーフで存在感を残し、8月29日のレッズ戦からローテに組み込まれると、なかなかどうして堅実なゲームメイクを見せています。

特に想像を超えているのが、平均以上の空振り/三振奪取能力。ここまでイニング以上の三振を奪ってK%:24.4%、Whiff%:27.9%をマークしています。

投球の8割以上を占めるのがシンカーとスライダーのコンボ。右打者の外角/左打者の内角への出し入れが素晴らしい変化量豊富なシンカーと、コマンド抜群の横変化のスライダーで簡単にストライクを取ります。

マイナーでのスタッツから期待感が低かっただけに、これまでのパフォーマンスには正直驚かされています。

投球を見ていて感じるのが、少ない球種を自在に出し入れするピッチャビリティの高さ。高校時代は4シーム主体の剛球スタイルでドラ1指名を受けたものの進学、大学ではシンカー主体に切り替えて完成度を上げてきた経歴が物語る通り、投手としての基礎の高さを感じます。

ただ、マイナー時代から叫ばれているサードピッチはまだまだのよう。個人的には中指が強いシンカーと人差し指が強いスライダーを両立させているのだから、スプリッターを投げさせたらハマりそうな印象です。スコット・エマーソン投手コーチはスプリッターを教えることもこれまであったため、オフの進化に期待を寄せたいところ。

ギンのパフォーマンスについては、オフ会でアスレチックスファンが集ったときも話の種になったほど。ほとんど「ギンがさぁ!」「やっぱり高校時代からUSA代表でやってるだけあってさぁ!」という話になっていました。


そして、ギンだけではなく、ブレイディ・バッソも先日好投を見せました。

バッソはAAAで調子を上げ、ついにローテに滑り込んだ形。AAAで過ごした8月は5先発でERA2.84、25.1回で27三振/4四球と、打者天国もなんのそのというパフォーマンスを見せていました。

先日のタイガース戦ではメジャー初先発で、6回無失点の好投。ビドーの故障者リスト入りに伴ってローテに組み込まれました。

バッソといえば、平均縦変化量61.3インチ(約156センチ)の落差を誇る美しいカーブが持ち味。初先発でもその持ち味を存分に発揮していました。

もともと故障が多く、実戦経験に乏しかったバッソですが、昨季から飛躍的に成長。カーブだけでなく、4シームの平均も上昇し、サードピッチのカッターも良くなりました。

このパフォーマンスが続けば、メジャーのローテーションも十二分に守れそうです。


過去2年は信じられないほど先発の人手不足に苦しんでいたアスレチックス。タイミーを呼ぶ感覚で安価なベテランを補強していたのも今は昔。先発投手はかつてないほど層が厚くなっています。


9月の残りの戦いに向けて

セプテンバーコールアップのロスター拡大では、よりにもよってトリスタン・グレイとジャンソン・ジャンクという2人の怪物をロスターに招き入れてしまったアスレチックスですが、徐々に来季に向けてチームが固まりつつあると言えます。

捕手:シェイ・ランガリアーズ(フレーミングとブロッキングどうにかして)
一塁:タイラー・ソダーストロム(AAAのリハビリで好調。復帰も近い)
二塁:ザック・ゲロフ(地味に復調中)
三塁:マックス・シューマン(三塁フルタイムだと力不足感も)
遊撃:ジェイコブ・ウィルソン(苦戦も適応の跡は見える)
左翼:セス・ブラウン / ダズ・キャメロン(ブラウンを左翼に。ダズはもっと打てる)
中堅:JJ ブレデイ(疲労で守備のミスが目立つように)
右翼:ローレンス・バトラー(神)
DH:ブレント・ルーカー(神)

こうしてみると、なかなかいいラインナップになってきました。来季に向けてでいうと、やはり三塁です。

遊撃のレギュラーとして健闘していたシューマンが回っていますが、三塁のフルタイムレギュラーとしてはややしょぼい感じもあります。マイナーを見ても絶対的な候補はおらず、外部補強を検討すべきでしょう。

シューマン、まだFV50はあるであろうダレル・ヘルネイズ、AAAで存在感を見せたローガン・デビッドソン、そして怪我に苦しむマックス・マンシーの競争だとすると、ちょっと心許ないかもしれません。

個人的にはAAAで猛打を振るっていたニック・アレンの躍進にまだ期待しています。あの守備力があれば来季もベンチピースとして生き残る可能性は高いでしょうし、打撃で存在感を見せてほしいです。

ウィルソンは指標上は守備でやや苦戦しています。守備指標は決して短期的に見るものではないですし、ウィルソンが犯したいくつかのポカミスが響いているのは間違いないです。ただ、守備力でいえばアレンが上。アレン遊撃で、ウィルソンは三塁で打力発揮が現状一番バリュー最大の落とし所ではないでしょうか。


このままいけばアスレチックスは70勝ペース。願わくは勝率.450の73勝でフィニッシュすることです!頑張ってくれー

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