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【OAK】英雄去る【月刊ポジアス6月号】

どうも、月刊ポジアスです。

6月が終わりました。アスレチックスは7勝20敗・勝率.259という成績(T_T)。

その不振の原因に迫るべく、6月のチームスタッツをおさらいしていきたいと思います。

攻撃オフェンスfWAR 0.5(26)
チームwRC+ 87(24)
チーム本塁打 27本(19)
投手オフェンスfWAR -0.6(30)
チーム防御率 4.80(26)
与四球率 9.4%(29)

カッコ内はMLB順位

酷いです。

まず投手陣の月刊成績から見ていきます。とんでもない量のマイナスが吐き出されているのがわかりますね。

min:5IP

チームとして痛かった部分は、ブルペンが崩壊してしまったことです。

これまでチーム最大の強みは、守護神メイソン・ミラーを中心としたブルペンでした。

しかし、ミラーの脇をよく固めていたオースティン・アダムス、TJ マクファーランド、ルーカス・アーセグが揃ってfWARマイナスの1ヶ月を送り、撃沈。ミラーもミラーで防御率2点台に突入するなど、神通力が薄れてきました。

さらに先月号ではポジポイントに挙げた先発投手陣も失速。特に大黒柱JP シアーズの失速は響きました。

続いて野手。

min:30PA以上

不振に喘いでいたザック・ゲロフが復調の兆しを見せたのをはじめ、wRC+100を超えた野手が5人いました。

ただ、良かったのはそれだけ。

これまでリードオフとしてチームを牽引してきたエイブラハム・トロは故障。さらに古参のセス・ブラウンもついに開幕からの体たらくに終止符が打たれ、アウトライトされました。

こういうと厳しいようですが、センターラインに座るシェイ・ランガリアーズマックス・シューマン(そしてJJ ブレデイ)は一転して不振に陥りました。センターラインの大黒柱たちが好調だった5月でも負けていたのに、いわんや彼らが打たなくなったら…ということです。


全体的に今季のポジティブなポイントが嘘だったかのように裏切られたということはありません。無残な負けを積み重ねた過去2年とは、これでも明らかに違います。

しかし、ちょっとやそっとの故障者、不振の選手が出ただけでいとも簡単に崩れてしまう。それをカバーできるデプスの厚みがないというのを実感させられる戦いぶりでした。


暗い話題はここまでにして、個別のニュースを見ていきましょう。

菊池に触れられて・・・タイラー・ソダーストロムが覚醒

アスレチックスの長年のNo.1プロスペクト、タイラー・ソダーストロムに覚醒の兆しがあります。

天才肌のスラッガー候補として弱冠21歳でデビューしたソダストでしたが、MLBの舞台では苦戦。課題であるアプローチの粗さがもろに露呈し、持ち前のパワーは鳴りを潜めていました。

今季の昇格当初もその傾向は変わらず、相変わらず考えなしに振り回しているだけに見える打席を繰り返す日々。

しかし、ソダーストロムは6月を月間wRC+137というチーム1位の数字で終え、6本塁打(同1位)も記録。さらに課題の三振率も23.6%とするなど、ついに大器の覚醒を予感させる1ヶ月を送ったのです。


このソダーストロムの覚醒には明確なターニングポイントがありました。

現地6月9日のブルージェイズ戦、この日もアスレチックスは延長10回で6対3と負けていました。

10回表一死から打者デービス・シュナイダーが放った小フライは、コロシアムの広いファーストのファールエリアを漂います。一塁手のソダーストロムが懸命に打球を一塁ベンチの手前まで追いかけ、ついに打球に肉薄すると、彼の目の前に飛び込む青い影が。

その青い影こと菊池雄星さんはソダーストロムに正面から激突しノックダウン。この不可解なプレーには守備妨害が宣告され、打ったシュナイダーがアウトになるという顛末に至りましたが、なんとも不思議な一幕でした。

画像はすべてMLB.comから

ヒヤッとする一幕でしたが、ところがどっこい、ソダーストロムは菊池のタックルを受けて覚醒

菊池タックル以前
68打席 1HR 打率.193 長打率.298 wRC+87 三振率36.8%

菊池タックル以後~6月
73打席 6HR 打率.254 長打率.552 wRC+146 三振率23.3%

それまで68打席でわずか1本だった本塁打を、菊池に触れられてからは73打席6本塁打と量産。長打は見る見る内に増え、wRC+は一気にエリートレベルの147に達しました。

打球の質を参照するのに便利な期待値指標xwOBAを見てみると、ソダーストロムの覚醒はまぐれではないと分かります。

菊池にタックルを受けたときのxwOBAはシーズン最低の水準でした。しかし、タックルを受けてから打球の強さは右肩上がりに向上。

タックルから6月終了までのxwOBA.446はMLB5位でした(min:50PA)。これは大谷翔平(1位)やアーロン・ジャッジ(3位)といった錚々たる強打者たちに次ぐエリートの数字です。


ソダーストロムの覚醒はあらゆる点で大きいと言わざるを得ません。長年、打線のコアを務められる逸材を見つけられるかが、この再建期の大きな課題だったためです。

同点弾や逆転弾などクラッチな一発も多いソダーストロムですが、まだまだそのアプローチには未熟な点も。とはいえど、ここまで打ってもまだまだ伸びしろを残すという底知れなさは、スイングの圧倒的美しさと共にファンを興奮させる要素ですね。

一方の菊池はこの一件以来、なんと失速。それまでERA3.48と安定したパフォーマンスだったものの、6月11日の先発からはERA6.23と不振に陥っています。心配になりますね。


アレドミス、ついにDFA

元写真の撮影:ぼく

ついに本題です。

アレドミス・ディアスが7月2日、DFAを受けました。昨季から2年契約で加入したディアスは、不振に喘いでいました。

アレドミスが2シーズンで残した成績は以下の通り。

121試合 374打席 4本塁打 打率.218 出塁率.268 OPS.585 OPS+65 bWAR-1.3

高い汎用性と平均水準の打力で、若手までつなぐベテランとしての期待されていたものの、その役割を果たすことはできませんでした。

もともと契約も2年14.5Mと比較的割高、昨季序盤は有望株ニック・アレンと出場機会を分け合っていたこともあり、要求される水準は低くなかったと思います。

しかし、そのハードルをクリアできないどころか、はるか下を潜るようなレベルだったのはたしか。チームにとっても本人とっても残念な結果に終わりました。

今季は開幕から故障で出遅れ、復帰したときにはダレル・ヘルネイズマックス・シューマンら新たな若手内野手が台頭しており、アレドミスの椅子は無くなっていました。ほとんど出場機会は無かったとはいえ、それでもそのスポットを他の選手にあてがう方が有用だと判断されたということでしょう。当然、デッドラインまでに買い手がつくはずもありませんでした。

マーク・コッツェイ監督によれば、アレドミスはDFAを告げられた際に低調なパフォーマンスに終始したことを謝罪したそう。ラテン系の若手の良きメンターでもあり、プロフェッショナルな姿勢には定評がありました。他球団での活躍を祈ります。

なお、アレドミスがDFAされてからのアスレチックスはエンゼルス3連戦をスウィープするなど、好調に転じています。


その他の小ネタ

メイソン・ミラーがオールスター初選出

先日、オールスター・ゲームのロスターが発表され、アスレチックスからはメイソン・ミラーが初の栄誉に輝きました。守護神として圧倒的なパフォーマンスを見せるミラーは選手間投票で見事に選出。昨年、選手間投票で選ばれたルーカーに引き続き、正真正銘のオールスターとなりました。

選出を受け、ミラーは「とても興奮している」「今年新たな役割で成功を収め、私たちのチームを代表できることは本当に光栄だよ」とコメント。オールスターでは是非とも、全米の度肝を抜く快速球を披露してほしいですね。そして、今後はスターターとして、何度もオールスターに出る投手になってほしいものです。

一方、ルーカーは選出を逃しました。

ルーカーの現時点(7/9)のwRC+153はア・リーグ9位、OPS.891はリーグ8位とその成績は堂々たるもの。両方のランキングの10傑の中、オールスターに選ばれていないのはルーカーだけでした。今季はオールスター投票開始の時点で、ア・リーグのDHでは一番の成績を残しており、スターター選出も期待していただけに残念です。

間違いなくオールスターに値する活躍を残しているため、代替選出で声がかかるのを祈るばかりです。ともかく、昨年のオールスター選出はフロックではなかったと証明する素晴らしい活躍を見せ、今季のルーカーは選手としても確実に成長しています。オフのAll-MLB選出、シルバースラッガーを目指して頑張ってほしいところです。


マイナー情報

ジェイコブ・ウィルソンが止まらない

6月半ばに故障者リストから復帰したジェイコブ・ウィルソンがAAAで打ちまくっています。

14試合でなんと打率は.509、OPS1.455という驚異的なペースで安打を量産しています。さらに28本の安打のうち、4本が本塁打、9本が二塁打と課題のパワーレスも全く問題ないかのようです。

そして、ウィルソンの安打製造力といえば人並外れたコンタクト力。その点でもすさまじく、全234球のうち117球にスイングを仕掛けながら、空振りはわずか4回。Whiff%はわずか3%という意味がわからない水準にあります。

守備職人として活躍した父譲りの遊撃守備でも毎試合のようにハイライトを作り、打撃と併せてすぐにでも昇格できるクオリティを示しています。

期待値系指標もxBA.319、xwOBA.342、ハードヒット率38.7%と、本来の成績と比べると見劣りはするものの、及第点の出来。焦りは禁物ですが、今季中に昇格しないのは考えづらいほどの成績です。

MLB昇格後の課題となりそうなのは、速いボールに適応できるかという点でしょう。ウィルソンはこれまで97mph以上のボールは6球しか見ておらず(そのうち2球はヒットに)、98mph以上のボールとまだ対戦したことがありません。今や先発でも98mphを余裕で投げるMLBでは、これまで通りの打力を発揮できるかどうか。とにかく迫っているであろうウィルソンのデビューが楽しみです。


コルビー・トーマスがAAA昇格

今季、ウィルソンに負けず劣らずの活躍を見せるのが、外野手コルビー・トーマスです。

今季はAAで59試合14本塁打wRC+146という抜群の成績を残し、AAAに到達しました。

トーマスはウィルソンとは対照的に、パワー自慢で空振りも多いスタイル。早いカウントから仕掛け、ボール球を追いかけ回すことも少なくありませんが、ボールゾーンの変化球すら長打にしてしまうほどのパワーは一見の価値があります。

AAAでは三振が増えていますが、wRC+115と平均以上の成績を維持。ウィルソンより時間がかかりそうなものの、今季中にデビューを飾る可能性も十分でしょう。


ガナー・ホグランドが輝きを取り戻す

マット・チャップマンの対価最後の生き残りであるホグランドが、昨年の不振から巻き返す好投を見せています。

5月末からの8先発は防御率1.43。大学時代から売りだった抜群のコマンドに加え、球速が93mphアベレージに戻ってきたのが大きいのでしょう。

もともと、ハイフロアーなタイプとして期待されていたホグランドですし、是非とも今季中の昇格と定着を目指してほしいです。


ヘンリー・ボルティがAA昇格

もーさんと同世代のヒーロー、2022年ドラフト2巡目のヘンリー・ボルティが20歳にしてAAにたどり着きました。

ポテンシャルの塊・ボルティは、A+の69試合で11本塁打28盗塁、wRC+155と大暴れ。早くもAAにお呼びがかかりました。AAでも6試合でwRC+145と良いスタートを切っています。

どのクラスでも三振率が30%以上と、三振の多さは依然としてボルティの課題です。しかし、それ以外のツールはまさに一流。60評価を受けるパワー&スピードに加え、守備力や選球眼も20歳とは思えないレベルの高さです。

この活躍を続ければ、全国区での評価も高まるはず。じっくりと時間をかけ、チームのコアになってほしい逸材ですね。


今後

MLBの7月はドラフトあり、トレードデッドラインありと、フロントにとっては地獄のような忙しさになります。

ドラフトやデッドラインのプレビューを書けたらかきます。また、内野陣の若手の渋滞や個々の選手の好不調の要因なども書けたらいいですが。わからないです。

では、ごきげんよう。


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