
【OAK】オフシーズンのここまでまとめ
ジェイス・ピーターソンと2年9.5Mで契約!
アスレチックスがFA市場で動きを見せました!MILからFAとなっていたジェイス・ピーターソンと2年契約を結んだとのことです。
これまではいわゆる”一軍半”的な立ち位置の選手だったピーターソンは、昨年3Bのレギュラーを獲得。OAA+7の抜群の守備力と、wRC+96のまずまずの打力を発揮し、キャリアハイのfWAR2.2/bWAR2.3を記録しました。
昨年は3Bでの出場がメインとなりましたが、本来ピーターソンはMLBではピッチャー含む8ポジションの経験がある汎用性と、通算四球率11.2%の高い出塁能力が持ち味のユーティリティープレイヤーです。
3Bに絶対的なレギュラー候補がいないアスレチックスでは、引き続きメインの3Bでの出場となるでしょう。また、今後ザック・ゲロフのような有望株が合流しても、ユーティリティープレイヤーとしての貢献が望めるはずです。
遅れて金額も出て、総額9.5Mの契約ということが分かりました。1WARあたりのFA市場でかかる金額は昨年ではおよそ8.5Mと試算されているため、昨年2以上のWARを稼いでいるピーターソンとの契約はお買い得だと思います。
ピーターソンは、稼働リスクへの懸念もほぼなく、打撃が良くないシーズンでも四球率10%以上を必ず記録しています。堅実な守備力がバリューの根底にあることもあって、どう転んでも回収できるのではないでしょうか。
ジェフ・クリスウェルを放出し、チャド・スミスを獲得
ピーターソン契約の報と同じ日に飛び込んできたのがこの小規模トレードでした。
We have acquired RHP Chad Smith from the Colorado Rockies for RHP Jeff Criswell. pic.twitter.com/v9Ic9OYmqG
— Oakland A's (@Athletics) December 6, 2022
昨年デビューの救援投手チャド・スミスを獲得し、2020年ドラフト2巡目のジェフ・クリスウェルを放出しています。
ドラ2であり既にAAAにも到達しているクリスウェルを、実績のないリリーバー相手に放出するのはオーバーペイだ、という意見が多く見られるように感じます。
ただ、事情もよく分かります。
まずはFA市場の高騰です。
このトレードに先駆けて決まったマット・ストラーム(PHI)やカルロス・エステベス(LAA)の契約を見ると、一流のリリーバーでなくとも年平均で10M近い契約を得ることができる状況になっていることが分かります。依然としてお金はないA'sには、かなりタフな売り手市場だと思います。
そしてマイナーの投手陣の整備が進み、クリスウェルが浮き駒となっていたこともあります。
ドラフト当時は荒削りでリリーフリスクも孕むスタイルだったクリスウェルですが、プロ入り以来はデリバリーを修正し、チェンジアップを磨いてきました。しかし、かえって小さくまとまってしまったと感じざるを得ません。球速は93マイルそこそこ、破滅的ではないが良くもないコマンドと、先発で駄目ならリリーフで、という未来が描けないバックエンドタイプに落ち着いてしまいそうな予感があります。
来年AAAのローテーションにはホーガン・ハリス、コリン・ペルース、JT ギン、ライアン・キューシック、メイソン・ミラーらのプロスペクトはもちろん、メジャーのローテーションからあぶれた投手が加わることになるでしょう。
スポットからこぼれ落ちそうで、かつこれらの投手陣の中では伸びしろも見込めないクリスウェルをトレードチップにしようという試みはよく理解できます。
これらの事情を鑑みれば、だぶついたプロスペクトを使って安上がりにリリーフデプスを整備できた、という風にこのトレードを捉えることができそうです。
依然としてクリスウェルの方が高いバリューを保持していることには変わりはありませんが、保有6年・オプション2つを残すスミスのロスター上の価値を過小評価してはいけないと思います。
チャド・スミスは昨年メジャーデビューを果たしたリリーバーです。最速98マイルのシンカーと縦割れのスライダーの2ピッチが主体で、AAAでは29.4%の高い奪三振力を誇ります。懸念はデビュー後に四球率17.6%と荒れた制球への懸念と、平凡な球質から来る一発へのリスクです。
特に主体とするシンカーは沈む球質ながら横変化に欠け、用途が見い出せない球種。シンカーの改善がブレイクへの鍵となりそうです。
アレドミス・ディアスと2年14.5Mで契約!
またもピーターソンと似たタイプ、ベテランUTのアレドミス・ディアスとの契約を発表しました。
内野全ポジションとレフトの経験があるディアスは好守が持ち味。SS以外の内野ではプラスの数値を出しています。打撃も三振が少ないアプローチで、wRC+は96と及第点レベルのパフォーマンスに期待できます。
ピーターソンの場合もそうですが、現状チームの中で今年wRC+が100を超えたのはマーフィーとブラウンのみですから、平均レベルで打てさえすれば大きなアップグレードになります。
そして、ピーターソンと同じくここでも”汎用性”の高いプレイヤーの補強にこだわりました。
これにはA'sの育成重視のポリシーを感じました。
現状、メジャーの野手陣に絶対的な存在は皆無。せいぜいニック・アレンの定位置がほぼ確約されている程度です。
中堅所の若手がひしめく流動的なロスターが予想される中で、どのポジションにも蓋をせずに動き回れるベテラン2人を選んだ、ということなのだと思います。
契約総額は14.5Mと、ピーターソンよりは高めでした。決して安くはありませんが、ピーターソンより実績がある故でしょう。贅沢税まであと200Mくらいあるので、別にいいと思います。いや、決して安くはないんですけど。。
ドラフトロッタリーで来年の1巡目指名順位が確定
ドラフトロッタリーが行われ、来年の1巡目指名順位が決まりました。アスレチックスは1巡目を全体6位で指名することになりました。
ルール5ドラフトでライアン・ノダを指名!
全体2番目の指名権を持っていたルール5ドラフトでは、LADからライアン・ノダを指名しました。
正直な所、左利きの一塁手はFA市場で解決するのかな(代わりに控え捕手の問題をルール5で解決する)と思っていたため、予想からは外れた人選となりました。
しかし、昨年AAAで135試合し、wRC+120を記録した実績という点では、ノダに勝るルール5イリジブルのプレイヤーはいないでしょう。
ノダは昨年AAAで25HR20盗塁の20-20を達成。三振率が常に20%台後半と三振数がかさむリスクは孕みますが、四球率が15%を割ったシーズンはなく選球眼には定評があります。ハードヒット率は44.8%と、パワーも申し分ありません。
20盗塁を決めたアジリティがあるため外野手でも起用されますが、本職は一塁手。一塁守備の評価はかなり高く、ここも推せるポイントです。
Michael Busch, full extension!
— Minor League Baseball (@MiLB) July 9, 2022
The No. 3 @Dodgers prospect makes an incredible diving stop for the @okc_dodgers (and gets some help on the scoop by Ryan Noda). pic.twitter.com/1HSPEfYDja
ルール5ドラフトで指名された選手は1年中アクティブロスターに置かなければなりません。ノダは一塁で、右打者のダルミス・ガルシアやジョーダン・ディアスらとの競争にさらされることになるでしょう。
ちなみにフォーストGM曰く、A'sフロントは何年間もノダを追いかけていたとのこと。アダム・コレラクとのトレードでも要求したことがあったそうですが、ついにこのルール5ドラフトで長年の恋人を落とすことが出来ました。他にも指名してほしい選手はいましたが、こういうエピソードを聴くと、ノダへの期待もぐんと高まりますね。
今後の動き
例年に比べかなり精力的に動いていますが、これでまだ終わりではないと思います。
結局NYMと2年26Mで契約に至ったホセ・キンタナにも興味を示していたそうです。同じようにローテを埋められるベテランスターターの補強があり得るでしょう。
また、今オフ加熱の遠因とも言われる、MLBAMの子会社売却益が各球団に30M分配されている件を考えると、まだまだ動かせるお金はあると思います。
まだ動きがないショーン・マーフィーのトレードの対価も含めて、補強に期待しておきましょう。
いいなと思ったら応援しよう!
