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2016年10月の記事一覧
小説 人蟲(改訂版)2
左門町にかかった辺りだった。
真っ黒な雨雲から水滴が一粒ふた粒落ちてきたと思うと瞬く間に豪雨となった。
いわゆるゲリラ豪雨というやつである。
ここ数年、日本の気候は熱帯雨林にでもなったかのごとく常識外れの豪雨をもたらす。異常気象なのだが、慣れとは恐ろしいもので10年に一度の豪雨が二度も三度もおとずれると最近では誰もそのことを普通のこととして受け入れてしまう。
「間に合わなかったか。。」
人蟲(改訂版)プロローグ
2012年7月。
四ツ谷左門町の古いアパートの一室で白骨遺体が見つかった。
死後、数年を経過していたものと見られ、遺留品も少なく身元不明。
検死結果から、20代の女性と判明、死因は不明。
事件性はないとみられる。