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ぜ。んじつ(日記、03/14)

君に会うためのさいごの遠征準備は、実家を出る日にすこし似ていた。最後のまたね。わたしは結局、死なずに、生きて明日を迎えるようです。なんの告知も、あなたの言葉も、まだ靄がかっています。まだ随分遠いみたいに思う、けれど淡々とかばんに詰めたものたち、書き始められない手紙、赤い封筒、明日ぜんぶ嘘だって言ってくれてもいいんだよ、わたしは本当に、あすあなたがぜんぶ君のせいだ。という任を解かれたそのあと、何を頼りに、何に縋って生きていけばいいのか分からない。唯一の、ちっぽけな僕の信仰。裏に何を隠していても、わかろうとなんてしないから、分からなくていいから、唯一の真実。おれはばかだから、とてもよわいから、とか、まだ淡々と思う、実感は無い、言い訳ばっかりだね、ただ、おれは明日おれが見る景色が、きみが見る景色が、たのしみでたのしみで、その景色のなかにいられるのがしあわせで。明日がきっと、人生最高の日になるとおもう。あなたの人生においても、そうだったらいい。これから手紙を書くね、ぜんぶ君のせいだ。と、如月愛海に縋って生きて、消えないしるしさえ刻んだ馬鹿なひとりの患いを、一瞬でも思い浮かべてほしい。ただ、きっとしばらくは、じょうずに眠れない。

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