【オリジナル童話】かぜのたより
となりまちにすむ
おばあちゃんに
おてがみかいた。
おばあちゃん、よろこんでくれるかな。
ぼくはおうちをでて
ポストにむかった。
きょうはすこしつめたいかぜがふいている。
あかいポストのくちに
おてがみをいれようとすると
ひゅ〜とおとをたてて
かぜがぼくにむかってやってきた。
ぼくはこわくなって
ぎゅっとめをつぶっていた。
そのときてにもっていた
おてがみがそらにむかって
とんでいった。
「あ、ぼくのおてがみ。
おねがいだからかえして」
ぼくはかぜにむかってさけびながら
てをのばした。
だけど、かぜはおてがみを
かえしてはくれなかった。
かぜはダンスでも
するようにてがみとあそんでいた。
「まって〜」
ぼくはひっしでおいかけた。
おいかけておいかけては
ひっしにてがみにてをのばす。
ジャンプをしてみたけど
ぜんぜんとどかない。どうしよう。
「おねがい。もどってきて」
あのてがみは
なかなかあえない
だいすきなおばあちゃんへ
かいただいじなてがみ。
おぼえたてのもじで
おかあさんといっしょにかいた。
(ぼくのきもちとどけたい!)
こんなにはしったのははじめてで、
いきがくるしい。
ぼくはこれいじょうはしれなくて
とまってしまった。
「はぁ…はぁ…おばあちゃん…ごめん」
なみががでそうになった。
そのときかぜもピタっととまった。
ぼくの前にひらりひらりと
てがみがおちてきた。
「やったー!」
ぼくはてがみをりょうてではさんだ。
もうぜったいにはなさない。
ポストをさがし、あるきだした。
こんどこそてがみだせる。
「あら、ゆうちゃん」
ききおぼえのあるこえに
ぼくはふりかえり、めをまるくした。
「おばあちゃん!」
なんとそこにはぼくのおばあちゃんがいた。
おばあちゃんもめをまんまるにしている。
あたりをみまわすと
ちかくにおばあちゃんのおうちがあった。
おばあちゃんのところまできちゃったんだ。
ぼくはてがみをかいたこと、
かぜにとばされておいかけて
ここまできたことをぜんぶはなした。
ぼくのはなしがおわり、
てがみをわたすと
おばあちゃんはにっこりわらって
「まさにかぜのたよりね。
かぜにおれいいわなきゃ」
といった。
「え?どうして?」
「だって、こうしてゆうちゃんに、あえたから。おばあちゃんのためにてがみかいて、
ここまできてくれたんでしょ。
おばあちゃんね、とってもうれしい。
ありがとう、ゆうちゃん。だいじによむね」
「う、うん」
なんだかきゅうにはずかしくなって
おばあちゃんにだきついていた。
なんだかなみだがでてきた。
「あらあら、あまえんぼさんね」
おばあちゃんはぼくをぎゅっとだきしめて、せなかをぽんぽんしてくれた。
いいにおいがした。おかあさんのにおいににてる。
おばあちゃんのことばに
さっきまでいじわるだったかぜが
ちょっとだけやさしくおもえた。
ふわりとあたたかいかぜがふいていた。
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ひらがなを覚えたての子供向け(未就学児)に数年前に書きました。
夢のような企画に参加させていただきます。
どうなるかな。ドキドキ。