富士吉田「SHIGOTABI」共同楽曲制作で見えた、クリエーターが集まる場所としての地域の役割
日頃ワーケーションというもののあり方や、色々な地域が「働く人」の力で豊かになることを考えている中、山梨県富士吉田市でロフトワークさんが企画された富士吉田市のワーケーションプログラム「SHIGOTABI」で、the chef cooks meなどでおなじみ、下村亮介さんと曲を共同で制作するという企画があり、2020年12月11日~13日の3日間参加してきました。これが本当に素晴らしい経験だったので書いてみたいと思います。
SHIGOTABIプログラムとは
SHIGOTABI自体はビジネス系からアート系まで様々なプログラムがあって、滞在の合間に数時間のイベントに参加するタイプの「SHIGOTABIエトセトラ」もあれば、今回のように宿泊とテーマを持ったプログラムがセットになった「SHIGOTABIミートアップ」というものもあります。
今回は仕事は外部から持ち込んで滞在するタイプのワーケーションというよりは、海外でよく行われている楽曲を共同制作するコーライティングキャンプ、ですが、どこかに売り込むためというよりは、アーティスト主導型のスタイルでした。そういう意味で、普段からコーライティングというスタイルには慣れているとはいえ、何が起こるかわからないという楽しみと不安が混じったスタートとなったのです。
以前は氷室、FUJIHIMUROという場所がいい。
作業場所となったのは「FUJIHIMURO」という複合施設。元は氷屋さんだったという場所が改装されてギャラリー、スタジオ、お試し移住の施設となっています。
天井が高く、独特な鳴りがする部屋で、氷室ということもあり、分厚いドア(閉められると閉所恐怖症の人は怖いかも!)があるので防音はばっちりです。
音楽関連の作業は常に防音問題と隣り合わせなので、こういった音楽に向いた施設があるのはとてもありがたいですね。
ここに下村さんと私含め3人の参加者、得意技もバックグラウンドも違うミュージシャンが集まって作業しました。
音楽についてはいずれ完成した時に語られると思いますので詳しくは書きませんが、自然が豊かで、富士山が見えて環境音がとっても綺麗なので、外に出てそういった音をレコーディングしながらビートを作っていった現代音楽です。民族楽器を録音したり、シンセをいじったり、Fujihimuroという場所に宿る歴史の話をきき、そんな中から普段触れないジャンルの中で、めいっぱい表現することを楽しませていただきました。
アーティストとしての下村さんの凄さ、ふところの深さにも触れたし、一緒に参加したお2人のミュージシャンとしての力量もすごく、貴重な経験でした。
静寂と対話のある宿。
今回泊まっていたのは、FUJIHIMUROから徒歩10分以内の宿、SARUYA HOSTELのAnnex。築90年の元美容院を改装してできた宿です。寝心地の良い布団も良いし、共用スペースのインテリアも全てホッとするつくりでとても快適に滞在できました。宿の目の前から富士山が見えるスーパービュー!とても素敵な宿です。
https://www.saruya-hostel.com/
アーティスト・イン・レジデンスという形でアーティストやクリエイターの方が長期滞在するための施設「Dô-Sô(ドーソ)」も運営されているそうです。人がいれば類は友を呼ぶ。友がいればそこに滞在することが楽しくなる。そんな良い流れが生まれているのを感じました。
なんとなく出会う人たちが楽しい。
さて普段と違う場所に行くと、そこでの思わぬ出会いがあるもので、ここでも例外ではありませんでした。スタジオの隣は、なんとマイクロブルワリー「Bright Blue Brewing」があり、スタジオの隣にビールのタンク!
ブルワーの菊地さんに色々なお話をうかがうことができました。これだけ良質な水に恵まれた富士吉田ながら、マイクロブルワリーは初。本当に最近仕込みを開始したそうで、飲めるのは1月から。地元でホップも育て始めたそうです。来るたびに違うビールが飲めるようにしたいとのことで、来年が楽しみ。
ビールも、ホップも、街で一緒に育てていく。無事育ったビールにまた会いたいです。
https://www.facebook.com/brightbluebrewing/
また、南インドカレーのお店「カリアムドゥ」にも行くことができました。体調を崩したとき南インドのスパイスとヨガで健康を取り戻したというご主人が作るカレーは、辛い中にも優しさがある味。
この場所で素晴らしい南インドカレーに出会えるとは感動でした!
観光地ではないからこそ、ものづくりに集中できる場所。
富士吉田は、富士山が本当に素晴らしく見える場所ですが、観光客は富士五湖の方にいってしまうため、「富士吉田うどん」で立ち寄るくらいの場所。それだけに、物価も安く、自然と飾らない生活があるのは良い点でした。
一方で、結構車通りが多くて道を歩くのが大変だったり、徒歩圏内に外食できる場所はかなり限られていたり、という部分はありました(昨今の自粛の影響もあると思いますが)。多くの誘惑がないので曲作りに集中できたのは良いことかもしれませんが(笑)
最後に、共同楽曲制作という日本ではまだまだマイナーなことをこうしたワーケーションプログラムに入れていただいたことは大きいと思います。バンドやオーケストラで合宿したり、曲作りをしたりということは昔からやられていた一方で、知らない人同士が一期一会で曲を作る、という体験はプログラムがないとできないこと。これを実現してくれたことは本当にありがたいですよね。
そして、音を出せる環境が都市ではどうしても限られるからこそ、音楽を作ったり、演奏したりというプログラムで色々な地域を訪れられるようになるといいなと思ったのでした。
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