▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼ (30)チガイがわかる・おもしろ日本語入門 ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
souy
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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や20年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!
その14、「イエス」と「ノー」が反対に?
“To be, or not to be, - that is the question.”
これは、あのシェイクスピアの悲劇『ハムレット』に登場する有名なセリフ。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ!」と翻訳され多くの日本人にも親しまれています。
まさにイエスかノーかは、二者択一の究極の選択肢です。
“生か死か?”ばかりでなく、“好きか嫌いか?”、“美味しいのか不味いのか?”
“賛成か反対か?”、“お金を払うのか払わないのか?”、“結婚するのしないの?”
などなどいずれも決定的な問いかけであり、またその最終的な回答を要求しています。
そういえば意思疎通の難しい外国人との会話では、最終的に“YES OR NO ?”(英語)や“SI O NO ?”(スペイン語)などと口に出して確認しないと、思いもしない結果を招くこともあるようです。(奥ゆかしさを大事にする日本人の場合はご注意を!)
というのも、この重要な「イエス」と「ノー」が、
日本語では逆になるケースがあるのです。
もちろん「イエス」はフォーマルな日本語では「はい」、「ノー」は「いいえ」です。またインフォーマルでは「イエス」に「うん」、「ノー」に「ううん」という奇妙な言葉を使います。(ちなみに「ううん」のアクセントは“ドミド”、つまり低高低で、できれば最後の「ん」をちょっとずり上げてみてください!)
例えばそれは、こんな風に質問された場合に起こります。
“Don’t you go to your company, tomorrow ?”
「明日あなたは会社に行きませんか?」
“Yes, I’ll go to my company, tomorrow.”
「いいえ、私は会社に行きます」
“No, I’ll not go to my company, tomorrow.”
「はい、私は会社に行きません」
そうです、英語の返事が明らかに“Yes”なのに日本語では「いいえ」、そして英語では“No”なのに日本語では「はい」と答えることになるのです。
もしこれがインフォーマルな会話であれば、
「ねえ、君は明日会社に行かないの?」
「ううん、ボクは会社に行くよ」
「うん、ボクは会社に行かないよ」
となるわけで、いずれにしても“Yes”が「いいえ」や「ううん」、“No”が「はい」や「うん」と、なんと日本語ではまるっきり正反対になってしまうのです。
どうしてこんな奇妙なことが起こってしまうのでしょうか?
たぶん“Yes”“No”、“Si”“No”に対する欧米人の感覚が日本人とは全く異なるの
でしょう。おそらく彼らにとっては、どんな時でも肯定は肯定、否定は否定と、絶対的な尺度であるのに対し、日本人にとってそれは条件的あるいは限定的な概念でしかないのかもしれません。
また別の角度から見ると、日本人はすべての質問文「・・・か?」(フォーマル)を、「・・・は正しいのか?」の文と捉えて理解する性向を持っているのかもしれません。
ですから、「明日あなたは会社に行きません」あるいは「君は明日会社に行かない」の文章が正しいのなら「はい」か「うん」、間違いなら「いいえ」か「ううん」と答えることになるのです。 お分かりですか、質問が否定形の時には気をつけましょう。
ところがこれにはちょっとした例外があるので、これまた要注意です。
それは次のような場合に起こります!
例えば英語で“You are Japanese, aren’t you ?”、スペイン語で“Eres japonés,
no ?”などと問いかける時。あるいは男性が女性を誘う時にいう言葉、「あのー、どこかでお茶でもしませんか?」なども、その一つです。
これは否定形というよりも、ある種の確認のための質問と考えられますので、この場合日本語でも“Yes”は「はい」、“No”は「いいえ」と答えればいいでしょう。
ちなみに英語の“You are Japanese, aren’t you ?”は、日本語で「あなたは日本人
じゃありませんか?」で、その答えは「はい、日本人です」でかまいません。 また「どこかでお茶でもしませんか?」への答えは、「はい、いいですよ!」や「いいえ、けっこうです!」とダイレクトに肯定、否定することになります。
(この場合の「けっこう」はOK!でなく、NO!。つまり英語の“I’m fine, thank you!”のような意味合いです、御注意ください!)
この2種類の質問の違いについては、ちょっとしたイントネーションを聞き分ける必要がありますが、これはもう多くの日本人と話すことで慣れるしかないでしょう。
まさに日本語に上達するためには沢山の日本人と話すこと、ですネ!
では、また次回をお楽しみに!!
ーーー 次回は第31回 第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!
その15、赤と青のヒミツ?(色の形容詞)
を、お届けするつもりです。
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