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▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼    (29)チガイがわかる・おもしろ日本語入門    ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

                 souy

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      元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
      講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
      移住して、早や20年。
      著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
      移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
       他に『NHKはもういらない』(三一書房)
         『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
         「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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        第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!

            その13、 「よろしくお願いします!」


「・・ください!」や“前(まえ)”と“後(うしろ、あと)”の他にも、日本語には
不思議なコトバが沢山あります。その代表が、この「よろしくお願いします!」です。

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 日本に住む外国人にとって、これほど意味の解らない挨拶も少ないでしょう。

初めて人に会った時、誰かにモノをたのむ時、何かを教えてもらう時、様々な会合やグループに参加した時、新年が明けた時・・・、日本人は必ずこの言葉を口にしたり、文字にしたりしています。時にはこの言葉だけを伝えるために電話をしたり、手紙やハガキ、メールを送ったりすることさえあるのです。


       でもこのコトバ、一体どういう意味なのでしょう?


ちなみに英語の辞書では“thank you”や“nice to meet you”と訳されていたり、
また時には「これに該当する言葉はありません」と記されていることもあるようです。

おそらく双方とも正しく、英語をはじめとした欧米語にはこの言葉は存在しないが、もしどうしても訳さなければならないなら、“thank you”や“nice to meet you”とするしかない、とでも解釈するしかないのでしょう。


私は日本語クラスの生徒たちに「スペイン語で言えば“Trátame bien, por favor!”
みたいな感じかなー?」などと、苦しまぎれに教えています。これを英語にすると、“Treat me right, please!”とでもなるでしょうか。

それらを再び日本語にダイレクトに訳し直せば、「どうぞ私を良く扱ってください!」などと、なんともミョーチクリンなコトバになってしまいます。

     どう説明しても、欧米人には全くその意味が理解できません。


    ところが実際にこの言葉を使ってしまった日本人がいるようなのです。

その話しによれば、スペインのとある町で一人の日本人が重要な会合に出席しました。彼はすでにこの地に永いこと住んでいて、スペイン語はペラペラ。その彼が最後に立ち上がって参加者全員に向け挨拶をすることになりました。そして流暢なスペイン語のスピーチのあと、最後にヒトコト言ってしまったのです。


                              「……、Trátame bien, por favor!!」

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その気持ち、同じ日本人としてよーくわかります。最終的にこのコトバを口にしないと今まで続けて来たスピーチを終了できないのです。どうにも心が落ち着かないのです。でも、聞いていたスペイン人全員が呆気にとられ、首を傾げるやら、隣りとヒソヒソ話をするやら・・・。それもそのはず、彼らにとっては理解の範囲を超えているのです。

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  一体なぜ、日本人はこの言葉を日常的に使わなければならないのでしょうか?


実をいうと、日本に個人主義はありません。もちろん個人主義的に考える人達もいるでしょうが、それはほんの一部。 全体的には“集団主義社会”といっていいでしょう。働くことも、学ぶことも、遊ぶことも・・・、私たちのすべての生活は、周囲の人達の支えや理解があってこそ成り立っていると考えるのです。

それは同時に、他のメンバーの協力がなければ何もできないということを意味します。


      つまり、「よろしくお願いします!」の意味を極論すれば、


 「私に親切にして、手助けして下さい!」ーであると同時に、
   「私に意地悪やイジメをしないで下さい」ーということでもあります。

スペイン語では“Trátame bien, por favor!”と“No me trates mal, por favor!”、
英語であれば“Treat me right, please!”と“Don’t treat me wrong, please!”の両面を、同時に意味しているとも考えられるのです。

考えてみれば、日本は一種の甘え合いの世界なのかもしれません。それは争いの少ない安定した社会を実現する可能性を秘めているものの、一方ではその“なあなあ”的考えが組織や社会を保守化していく危険性も含んでいることでしょう。

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          何にでも良い面と悪い面があります。

日本語は、私たちがその両面に思いを馳せ、日本社会のあるべき道を考えるための最適な教材でもあることでしょう。 さて、あなたはどう考えますか?

           では、また次回をお楽しみに!!

                 
ーーー 次回は第30回 第三章 日本語、コノ表現 & その極意!!
  

               その14、「イエス」と「ノー」が反対に?
                     

 を、お届けするつもりです。


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