目を離したくても離せなかった／『死刑にいたる病』
今回は絶賛公開中の映画から、強く印象に残った作品をご紹介します。
なるべくネタバレ無しで頑張ります！
前知識0で観る予定のある方はバックしてください〜〜〜
『死刑にいたる病』(2022)
あらすじ
ある大学生・雅也のもとに届いた一通の手紙。
それは世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村からだった。
「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。
過去に地元のパン屋で店主をしていた頃には信頼を寄せていた榛村の願いを聞き入れ、
事件を独自に調べ始めた雅也。
しかし、そこには想像を超える残酷な事件の真相があった―。
連続殺人鬼の榛村(はいむら)を演じるのは阿部サダヲさん。
阿部サダヲさんといえば映画やドラマだとコメディな印象を持つ方が多いかもしれません。
『謝罪の王様』や『マルモのおきて』は代表作ですね！
そのコメディと同じくらいシリアスな役もこなしているんです。
『アンフェア』のシリーズや、最近だと『MOTHER マザー』の役がそうでした。
そんな沢山の役柄をこなす阿部サダヲさんの演技にまず目が離せなかったです。
榛村はごく身近なパン屋の店主なんですよ。
人とのコミュニケーションにも長けていて、人から好かれる魅力ある人。
きっと僕も初対面で榛村に会ったら、人として好きになると思います。
そんな人が連続殺人鬼。
各シーンで時折見せる「目」の使い分けが物凄い。
普段の近づきやすい優しい目と、全部を見透かされているような闇が広がっている目。
目を合わせたくないけど、阿部サダヲさんの黒目に引き込まれてしまいます。
予告でもその演技の凄さが垣間見えます。
そして人のコントロールが上手い。
心理掌握というんでしょうか？
相手がして欲しいことをして、
満たし、
自分の思い通りにする。
殺人も含め、これら全部を作業として習慣化しているのが怖い。
だから榛村にとってはなんてことない普通の日常。
ジョジョに出てくる「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ！」
というセリフがあるんですが、
こういう人間のことを言うのかなと思います。
この榛村から１件の冤罪を晴らしてくれと頼まれるのが、岡田健史さん演じる雅也(まさや)。
雅也と榛村が度々面会室で対話するシーンが印象的で、ガラスを介して写る２人の顔の心理描写に見入ってしまいました。
真相に近づくにつれ、
なぜ雅也に依頼したのか？
榛村の目的は？
が暴かれていって二転三転するストーリーは見ごたえ抜群です！
残酷なシーンが劇中にあるのですが、僕の隣に座っていた男の人は目を伏せていましたね。
それぐらい、リアルで辛いシーンなので苦手な方は要注意です。
そしてきわめつけはラストシーン。
驚愕のラストと謳っているだけあって鳥肌ものでした。
タイトルの「死刑にいたる病」は感染するんですね。
それはぜひ、劇場で