monochrome
写真を撮ること実に難しく どの角度で何処を切り取るかで 自分のセンスから心理状況までも全て晒され 明度やピント シャッタースピードなんかでは技術レベルがバレる。…でも時々起こる陶芸の様な偶然の産物もアリで やっぱりなかなか面白い。
一度だけ写真講座なるものを受けたことがある。
織作峰子氏の特別講座だった。
彼女の写すモノクロームの植物写真が 羽衣の様に本当にエレガントで 何処か艶めかしくココロ惹かれ…是非一度 彼女の話を聞いてみたかった。
白黒のグラデーションで魅せるモノクロをどんな風に撮ったのかも とても知りたかった。
けれど講座では 基本動作と他自作品の話が主で 特に専門的な話は…だった。そのうえ 淡々とした語り口は 元ミスユニバースの写真家目当てで来ていたオジサマ方には相当ご不満だったらしく
『なんだ、無愛想だなぁ』と あちこちで直球ツィートが。笑
撮られる側が撮る側へまわろうと思った心理を知りたかったワタシの質問に答えてくださる姿もやはり淡々としたものだった…が ワタシには逆にとても好意的だった。
媚がなく 少し泥臭い 職人気質を見る思いがしたからだろう…
コトに師匠、大竹省二氏の師事の部分も 男女間に於ける師弟関係という事で とても興味があった… 少し下世話な感覚もありで…
でも そんな自分が恥ずかしくなるような関係性で 至極羨ましい気持ちを抱えることになった。。
その後 自身もその様な師弟関係に入るところ 全うできないまま 随分と人生が過ぎてしまい 今に至ってしまった。
しまった…と思ってしまうということは やっぱり今も少し悔やんでるところなのだろう…
今朝 蜷川幸雄氏の追悼関連で 一昨年に藤原竜也主役の「ハムレット」の稽古風景を放送していた。
体調も…なハズなのに大声で「ゆっくり言え」「声が汚い。ガマガエル」「バカ、才能なし」と力の限り罵声。
…でも見ていて嫌じゃなかった。
自分が発掘し 育ててきた逸材に 自分の“終わり”を意識し始め 老害がやるべき仕事と 何とか自分の全部をこの役者に遺していってやろうという想いが伝わるからなんだろうと。
そして 本番も近くなりステージ下からの指導で
「竜也 崖から落っこちる時は一緒に落っこちるから……やんな」
と微笑んだ場面に 膝から崩れ落ちそうになるくらい 理想の師の姿を見た気がした。
藤原竜也は今日の訃報にショックでコメントも出せない状態だったと…本当に誰よりも幸せなお弟子さんであろうかと。
そんな蜷川幸雄氏の長女 蜷川実花氏も写真家。
偉大な父を誇り高く見送りつつ、悼み 公開した写真もモノクロームだった。
モノクロームは尊い色…
またモノクロームの写真がより一層
…好きになった。
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