キンモクセイとギャラリー風曜日
玄関の扉を開けると、キンモクセイの香りが、すごい勢いで鼻の穴に飛び込んでくる。
例年よりも3週間遅れ。
どうやら、今年の夏のむちゃくちゃな暑さのせいらしい。
でも、おかげで、この香りに背中を押してもらって、面倒くさくてしかたがない用事をしに出掛けることができた。
猛暑にも、一つくらいはいいところがあるんやな。
用事というのは、自動車運転の免許更新の手続きである。
ゴールドなので、5年ぶり。
5年前に更新した免許証の写真は、抗がん剤治療を始めて10日ほどした頃のもの。
せめて、ウィッグになる前にと慌てて手続きに行ったものの、
出来上がった写真を見ると、しっかり薄毛になっていた。
うわ~~ん。
自分では、まだ大丈夫って思ってたけど、そうでもなかったんやなあ。
そんながっくり感を味わってから、はや5年になるのか。
今回は、しっかり地毛で写真撮影にのぞめた。
新しい免許証を受け取って、すぐに写真を確認する。
あれれれれ?
前の写真とたいして変わらないやん。
どういうことなん?
結局、自分で思っている自分像は、実物よりもかなりの割り増しってことなんか~。
抗がん剤とか、全然関係ないやんか~~~。
そんなことを、5年後に気づく。
あ~。人生はまだまだ深い。
気を取り直して、NICOLAOでカフェラテを購入し、湖岸まで出てまったりする。
風が少しあるものの、気持ちの良い秋晴れで、比良山がとても美しい。
むしろ風が湖面を小さく波立たせるので、それをぼんやりと見つめていることで、癒され度合いが高まる。
ラテも美味しい。
釣り人や、キャンパーたちに交じってのお茶タイム。
誰もしゃべらない。
静かな湖には、ときおり投げ込まれるルアーの音がするだけ。
編隊を組んで飛んでいく鳥たち。
きもちいいよなあ。
贅沢やなあ。
写真のことは、もういいか・・。
まだ、こだわってたんや。
帰る途中にある住宅街の中のとあるお宅。
そこでは、不定期にギャラリーが開かれている。
今日はちょうど開催日。
久しぶりに訪れてみた。
今回は、見事な和凧が壁一面に飾られ、迫力ある展示になっている。
それを緩和させるかのように、モビールがのんきにゆらめいていたり、ガラス瓶や足踏みミシンの部品で作られた椅子などがあり、ばらばらのものたちなのに、不思議とバランスがとれている。
さすがやなあ。
作品はもちろん、展示もお見事。
このギャラリーは、「風曜日」さんといって、展示だけでなく名前も素敵。
そして、ギャラリーを運営されている方も、これまた不思議素敵な魅力的な方。
そしてそして、ギャラリーだけでなく、お庭も素敵。
シュウメイギクやタマリュウなど季節の植物に混じって、バナナの木が花をつけていたりする。
そして、庭にでんと鎮座するゴリラ。
がっつりと目を合わせてくるでっかいゴリラが、なぜか庭にいる。
(本当は実物をお載せしたいんやけど、美術作品なので。
どうか、鉄なぞでできているでっかいゴリラが、美しいお庭に存在感たっぷりと居座るところをご想像くださいな。)
ごちゃごちゃ考えてんと、ここにいてたらええんや。
そんな感じで、ででんといる。
いいもん見たわ。
お土産には、大好きな「はるやのおやつ」と、仰木の赤米のスワッグを買った。
「はるやのおやつ」を食べながら、廊下の壁に飾った赤米のスワッグを見ながら、ゴリラのことを思い出すんやろうなあ。
あんな風に、どっしりとはなれへんけど、やれることをがんばってみるわ。
秋の気候と、それに伴うお出かけに元気をもらった一日やった。
こういう一日もいいもんやなあ。